暴走ユリーファ
新しい従魔を得る為にティターニア国の屋敷へと飛んだ私達。
「「「ディア様、お待ちしておりました。」」」
そんな私達を出迎える子達。
揃った一礼である。
「良く私が来る事が分かったね?」
「精霊王様が教えて下さいました。」
はきはき答える、こちらの屋敷の全権を任せている子の責任者。
ロッテマリーとルルーシェル、アディライトとリリスが認めた子だ。
「皆んな、こちらの屋敷はどう?」
「はい、ディア様。もう少し人手が欲しいですが、何とかなっております。」
「やっぱり人手が足りないのね。」
「そうですね、万全の状態でディア様をお迎えするのには、心もとないです。」
「・・そう。」
全ては、私の為なのね。
本当にブレない。
「ささ、ディア様、中へお入り下さい。」
「ありがとう。」
促され、中へと入る。
とりあえずは、一息着いてから新しい従魔を作ろうとしましょうか。
「ふう、」
アディライトが淹れたお茶ん飲んで一息。
相変わらず、美味しい。
「ディア様、お疲れでないようでしたら、ユリーファがお会いになりたいそうです。」
「え?ユリーファが?」
ディオンの報告に、カップを置く。
「ユリーファは、何か私に用があるの?」
「いえ、ただ、ユリーファはディア様のお顔を見にきたいようですよ?」
「はい?」
ただ、私の顔を見に来るの?
ユリーファ、一体、仕事はどうした!?
「精霊王様達から、ディア様が来た事を知ったユリーファは我慢できなかったようですね。ですが、自分のやるべき事は終わらせたみたいですが。」
「・・あぁ、そう。」
一応、仕事は終わらせたのね。
やる気の使い所が違うような気がするのは、私だけだろうか?
てな訳で、さっそく来たユリーファ。
「っっ、ディアレンシア様、お会いできて嬉しいです!」
感激の表情である。
「うん、ユリーファ、少し落ち着こうか?」
「はっ、失礼しました。」
恥ずかしそうに、頬を染めるユリーファ。
・・・くっ、ユリーファ、その表情、可愛いすぎるじゃないか。
ますますディオンに似て、その可愛さに磨きがかかってきたように感じるよ。
「ーー・・えっと、ユリーファが良かったら、今日の夜ご飯を私達と一緒に食べる?ディオンとも久し振りに会ったんだし、ね?」
ついつい、そんな可愛いユリーファを甘やかしたくなっちゃう。
こんなにも私の事を慕ってくれるユリーファを、無下には出来ないよね?
なので、ユリーファを夕食に誘ってみる。
「っっ、!?良いのですか!?」
そうすれば、ユリーファの食いつきがとんでもなく凄かった。
瞳を輝かせ、身を乗り出すユリーファ。
「い、良いよ。」
「まぁ、ありがとうございます、ディアレンシア様。」
頷けば、ふんわりと花開くようにユリーファが嬉しそうに微笑んだ。
「もう、この世に、悔いなし、です!」
なんて事を言いながら。
頬が引き攣る。
「・・ユリーファ、それ、笑顔で言う事じゃないから。」
暴走がちのユリーファ。
君、変な方向に向かってないかい?
私の周りは、個性豊かな子達が多いと思う。
・・まぁ、楽しいから良いけど。
不満はないし、ね?
「ーーさて、私がここへ来た目的を果たすとしますか。」
1番の目的だしね。
てな訳で、新しい従魔を得る為にユリーファと一旦別れ、さっそく屋敷の外へと出る。
「ここなら、あのモンスターを作り出しても問題ないね。」
広がるのは、広大な土地。
これなら、あのモンスターを作り出したでしても広さは十分あるだろう。
「・・あ、の、ディアさま?」
「ん?何、アディライト?
「これから一体、ディア様は何の従魔をお作りになるのですか?」
首を傾げるアディライト。
「ふふ、アディライト、それは、ね?」
ーー竜よ。
私はアディライトに微笑んだ。
「竜、です、か。」
驚きに見開かれる、アディライトの瞳。
「うん、前から作りたいと思っていた子だったんだよね。」
ロマンじゃない?
竜の背中に乗って空を飛ぶとか。
「竜と騎士とか?小説でも定番の組み合わせじゃない?」
かっこいいよね?
竜と、それに乗る騎士は。
憧れる。
「また、凄いモンスターをディア様は従魔に加えるのですね。」
「さすがディア様です。」
「「カッコ良さそう!」」
コクヨウの呆れとディオンの感心、そしてフィリアとフィリオの期待。
「はう、そんな素晴らしい従魔をディアレンシア様はお作りになるなんて!」
ユリーファに至っては、瞳を潤ませて頬を高揚させている。
・・うん、倒れないか心配だ。
「ーーまぁ、うん、作っちゃう、ね?」
色々と心配なので。
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