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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第8章〜外交編〜
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閑話:世界の中心

コクヨウside




ご機嫌な様子のディア様。



「うふふ、私の為に何かを貢ぐぐらい、あの王子達ならしそうよね?」



くすくすと笑い続けている。

どうやら、ディア様は、この国の王子達で遊ぼうとしているらしい。

王子達の事でご機嫌なのは複雑な心境だが、ディア様が楽しいのなら我慢だ。



「ディア様、このまま王子達と交流を続けるのですか?」

「んー、どうしよう?王子達で遊ぶのは楽しそうではあるけど、後が面倒かな?」



自分の家族以外に対して、とても冷たいディア様。

一欠片も信用しようともしない。



「まぁ、あの王子達に婚約者が決まるまでのお遊びみたいなものよね?」



ーーディア様に求愛した王子達さえも。

僕の愛するディア様は、その心が歪で、壊れてしまっている。

それは、ディア様の過去のせい。



『愛って本当に残酷よね?簡単に人を傷つけられるんだもの。』



冷たく笑ったディア様を、今でも覚えている。

愛に飢えたディア様。



『コクヨウ、私の側にいて?』



そして、臆病だ。

僕達を失う事を、何よりも恐れている。

だからこそ、惹かれた。

この人に愛されたら、僕は永遠に捕らわれてしまう。



「・・あぁ、それは、」



なんと甘美な事なんだろうか。

僕はディア様に捕らわれる事で、狂気の愛を手に入れる。

誰よりも深く。

そして、誰にも奪われる事の愛を。



「ディア様、王子達で遊んだら、いくらなんでも王の怒りを買いますよ?お遊びも少しは控えてくださいよ?」

「・・むう、可愛い悪戯じゃない。私から王子達に何かする訳でもないし。」



窘めれば、膨れるディア様。

ころころと変わるディア様の表情に、安堵するのは僕だけだろうか?

時々、怖くなる。

目の前の愛おしい人が、消えてしまかのような焦燥感。

繋ぎ留めておかなくては。



「聖王国パルドフェルドでも、ディア様は遊ぶ予定なのでしょう?」

「ふふ、もちろん。大切なコクヨウの事を傷つけた元凶様を私が許す訳がないわ。」

「なら、自重して下さいよ?」

「はーい。」



渋々、納得するディア様。

別に僕は、聖王国パルドフェルドや両親の事など、どうでも良いのだけど。



「まぁ、ある意味、国を壊す方が王子様達との恋愛ゲームをするよりも楽しそうだしね?」



ディア様は違うようだ。

ディオンの時もそうだったが、ご自分の大切なモノを傷つけた元凶を、ディア様は絶対に許さない。

ーー自分を傷つける元凶よりも。



「コクヨウは嫌?生まれ故郷が消えるのは。」

「いいえ?あの国に対して特になんの思入れもない、どうでも良い存在ですね。」



それは、僕も同じ。

自分が誰かによって傷つくよりも、ディア様が傷つく方が何倍も嫌だ。

狂っているのも、僕も同じなのだ。



「ふふ、それを聞いて安心したわ。」

「聖王国パルドフェルドを、ディア様は灰燼に帰すつもりですか?」

「それも、面白そう。」



きらきらと瞳を輝かせるディア様。

ディア様の頭の中では、聖王国パルドフェルドは悲惨な結末を迎えているのだろう。

どうでも良い事だが。



「ーー全てを壊してしまえば、私は何も失わないのかな?」

「ディア様?」

「そうすれば、煩わしい事もなくなるし。この世界は私達だけの楽園よね?」



奪われる事もないと、ディア様は狂気を瞳に宿して笑った。



「ーーあの国を消さなきゃ。」



残酷に。



「・・そう、しますか?」

「え?」

「ディア様が望むなら、僕はそれでも構いませんよ?」



ディア様が望む事こそ、全て。

だけど。



「貴方の心を占めるモノを、これ以上は形容できませんよ?」

「・・なぜ?」

「ディア様が思うのは、僕達の事だけで良いんです。」



この人の全ては、僕達だけのもの。



「ふふ、コクヨウ達は、国にさえも嫉妬するの?」

「いけませんか?」

「うぅん、嬉しいわ。」



あまりに身勝手で、僕の子供じみた独占欲の言葉に嬉しそうにディア様は微笑む。



「私もコクヨウが、皆んなが他の誰かに心を傾けたら、嫌だもの。」



僕へと伸ばされる、ディアの手。



「ーー私になんか捕まって、可哀想な皆んな。」



細く、小さな手が僕の唇をなぞる。



「ーー・・いいえ、ディア様が言うほど、可哀想でもありませんよ?」

「ん?」

「それが、僕達の幸せなのですから。決して、不幸でも、可哀想な存在でもありません。」



これが幸せと言わず、なんと表現すればいいのか。

これ以上の幸せを、僕は知らない。



「全員、ディア様の腕の中にいる事を願っている者達ばかりですからね。」



同意とばかりに、ディオンが僕と同じように笑った。



「っっ、本当に、皆んなはバカよ。」



ディア様の目から、ぽろぽろと涙か頬を伝う。

泣き笑いを浮かべたディア様のが僕とディオンの腕の中に飛び込んでくる。



「だーい好き。」



この方の愛情さえあれば、僕は、僕達は生きていける。



「ずっと、これから先も、私の側にいてね?」

「もちろんです。」

「言われなくても、お側を離れません。」

「ふふふ、」



僕達の狂気の世界は、ディア様を中心にして成り立っているのだから。

他の誰も邪魔する事は許されない。

僕達だけの世界。



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