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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第8章〜外交編〜
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拒絶

人は皆、何かを得る為に非道な選択をする。

私も、コクヨウ達も。

選択には、何かしらの犠牲がつきもの。

それでも、人は禁断の果実を求めずにはいられない。

何を犠牲にしても。



「ふふ、王子殿下方、お分かり、いただけまして?」



呆然と私を見つめる3人の王子様達に、ふわりと微笑む。



「お分かりいただけたなら、私への、その気持ちはお忘れ下さいな。」



迷惑なので。

すっぱり忘れる事を、強くお勧めいたします。



「簡単ですわよね?」



首を傾げる。



「私の事など、何1つとして王子殿下方は知りませんもの。」



甘く王子達へと毒を流し込む。

もちろん、私は一目惚れを否定する気は無い。

が、私のこの無駄に良い外見だけで好きになられても困る。



「その気持ちも一瞬の気の迷いでは?」



そうでしょう?

私への王子達の思いを疑うのも致し方ない事。



「私の好みも、趣向さえ知ろうともなさいませんでしたしね?」



それをいまさら、本気だと言う。

笑わせるな。



「「「っっ、」」」



言葉に詰まる、王子様達。

事実である。

パーティーの時に色々と質問してきた王子様達を適当にあしらってきだが、どうしても私が好きなら、何度でも聞き出すはずだ。



「一体、王子殿下方は、その程度の思いしかない私に対して何をお望みなのでしょうか?」



愛玩動物?

意志のいらない、お人形?



「私にも意思があるのです。王子殿下の隣にいるだけで良い妻をお望みなら、他の方をお選びください。」

「っっ、私、は、ただ、ディアレンシア嬢、貴方が、好きで、」



アレン王子が声を振るわせるのを、冷ややかに見据える。

健気な告白に心が動かない自分は、本当に冷たい人間だと思う。

しかし、仕方ないのだ。



「・・それで?アレン王子は、私に何をお望みなのです?」

「ディアレンシア嬢にも、私を好きになってもらい、側にいてくれれば、」

「そんな口先だけの言葉など、私は不要ですわ。」



アラン王子の言葉をぶった切る。

一欠片の誠意の見えない言葉ほど、心に響かないものはないのだから。



「ーーお話は以上でよろしいですよね?」



固まる王子達を見つめる。

あんに、私にこれ以上話す事はないと言う意思表示を示す。



「では、これで私達は帰らせていただきます。王様、ミンティシア様の護衛の件は、お考え下さいませ。」



席から立ち上がる私。



「ーー・・あぁ、最後に、ご自分の中の優先順位をはっきりと付けておかないと、後で痛い目を見ますよ、王子殿下方?」



これは、私からの優しさである。

彼らは王族としてこのまま生きていくのであれば、冷酷になってでも誰かを切り捨てていかねばならないのだから。



「それでは、本日は楽しいお茶会にお呼びくださり、ありがとうございました。これで失礼いたします。」



私は決めたのだ。

今の自分の家族だけを大切にするのだと。

他の何よりも。



「ミンティシア様の護衛についてのお返事、お待ちしておりますわ、王様。」



一礼した私は背を向けて歩き出す。

特に引き止める様な声もなく、お茶会を終わらせた私達は、ようやく、王城から屋敷へと戻ることが出来た。



「・・はぁ、疲れたわ。」



ベッドに倒れ込む。



「お疲れ様でした、ディア様。もう少し休まれてから、お風呂になさいますか?」

「ん、アディライト、そうする。」



問うアディライトに頷く。

しばらくは、もう何もしたくない。



「コクヨウ、ディオン、私とフィリアとフィリオの3人は食事の支度の方を手伝いに行くので、ディア様の事をお願いしますね?」

「もちろんです、アディライト。」

「ディア様の事は、私達に任せて下さい。」



交わされる、過保護な会話。

・・あの、私1人でも平気なんだけど?

私そっちのけで会話を終わらせたアディライトは、フィリアとフィリオの2人を連れて部屋から出て行ってしまう。



「ディア様、少し眠られますか?」

「それとも、何か暖かい飲み物でもご用意した方が良いですかね?」



そうなれば、必然と私の世話を甲斐甲斐しく始めるのはコクヨウとディオンの2人で。

ダメ妻である。



「ごめん、眠らない。でも、紅茶が飲みたい。」



が、2人に甘える私。



「分かりました、用意してきます。」

「ディア様、起きられますか?」



甘える私に、2人は微笑む。

ーーこうやって私が甘える事を、2人が喜ぶと知っているから。



「んー、紅茶、美味しい。」



紅茶で一息。

王城で出されたお茶も美味しかったが、こうして家でのんびり飲む方が良い。

一緒にお茶を飲む相手もコクヨウとディオンの2人だから、リラックスが出来るし、とても落ち着ける。



「王様から王女様の護衛の件に対する返事があるまで、もう王族とこれ以上関わる事は無いでしょうけど、王子達が厄介だわ。」



溜息を吐く。

王子達も、私を諦めると良いのだけど。

どうだろう?



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