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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第7章〜精霊編〜
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異常な愛

ヒシュタルがユリーファを次の長として認めてからは、話は早かった。

里の全ての住民がユリーファへ額ずく。



「ーーでは、ユリーファ様、長として最初のお務めを果たして下さいませ。」

「え?」

「お父上達を断罪するのです。」

「っっ、」



ユリーファが息を飲む。



「彼等は、この里を危険に晒した犯罪者。ユリーファ様が御心を痛める必要はございませんよ。」



逆に私は喜ぶ。

ついに、待ち望んだこの時が来た、と。



「お辛いでしょうが、ユリーファ様、この里の新たな長として、どうかお向き合い下さい。」

「ーー・・、分かり、ました。誰か、罪人達をこの場へ。」

「「はっ、」」



ユリーファの命令に、数人の男性達が罪人達の元へと走り出す。

数分で連れ出される罪人達。



「っっ、これは、一体、何のつもりだ!?」

「離しなさい!?無礼者!」

「次期長になる私に対して、この様な事をして許されると思っているのか!?」



喚く一家。

似た者同士ですね。

縛られたままだから、何を言っても、しても無駄な抵抗だけど。



「なっ、お前は、っっ、!?」



ユリーファの姿を見つけた屑な父親は、その目を大きく見開く。



「ーーお久しぶりでございます、父上。」



一礼するユリーファ。

その顔は固い。



「な、な、なぜ、お前がここにいる!?」

「・・いて、は、いけませんか?」

「当たり前だ!誰が外に出る事を許可した!?」

「私が外に出る事に許可などいりません。」

「お前っ、私に口答えするなど、何様だ!この私の言う事が聞けないのか!?」

「ーーっっ、」



屑な父親の怒号に、ユリーファが肩を震わせて下を向く。



「あら、怖い。」



私参戦。

これ以上ユリーファを、屑な父親のせいで下を向かせる事はさせない。

屑な父親の視線が私の方へ向く。



「おま、そなた、は、」

「うふふ、愛おしんだご息女をご覧になられて、そこは喜ぶ所では?」

「何?」

「地下牢に監禁するぐらい、ご息女を大切になさっていたのでしょう?」

「っっ、ぐっ、」



引き攣る、屑な父親の顔。

おめでたい方。

知られてないと思ってたの?



「監禁?」

「確かに、ユリーファ様のお姿を拝見する機会はなかったが。」

「だが、なぜ、長はご自分のご息女を監禁などしていたのだ?」

「ーー、まさか、ユリーファ様が亡きセリス様に瓜二つだから、か?」

「それでは、まるで、」



ーー・・ユリーファ様は、セリス様の身代わりではないか。

向けられる疑惑の目。



「あらあら、弁明が必要みたいですよ?」



嘲笑う。



「っっ、きさ、ま!」

「はっきりと皆様に言ってはいかが?ユリーファ様を、亡きセリス様の身代わりにしようとしていた、と。」

「ユリーファは、セリスは、私の唯一の妻だ!」



屑な父親が吠える。

ユリーファへ欲望にギラつく瞳で。

静まり返る、その場。

唖然とした表情で、里の皆んなは自分達の元長を見つめる。



「セリス、私の縄を解きなさい。」



狂気を宿した元長を。

ユリーファの事をセリスと呼び、歪な笑みを浮かべる。



「ーーやはり、ユリーファ様は長の、ご寵愛を受けて・・?」

「血族間の婚姻は、確かに前例はあるが。」

「しかし、実子とは如何なものか。」



眉を顰める里の住民達。

その場がざわめく。



「ユリーファ様、揺らいではなりません。」

「・・・ディアレンシア様?」

「貴方様は、次の長になる方。どうか、顔をお上げ下さい。」

「っっ、ですが、」

「ご自身の名誉は、ユリーファ様しか晴らせないのですよ?」



この屑な父親は、妻であったセリスに瓜二つのユリーファに執着している。

彼女を手に入れる為なら、屑な父親は何でも仕出かすだろう。

ーーユリーファについて、事実ではない話を作り出す事だってしかねないのだから。



「私が側におります。」

「っっ、ディアレンシア様。」



瞳を潤ませ、ほのかにユリーファの頬が朱に染まった。



「さぁ、ユリーファ様。」

「はい。」



こくりと頷いたユリーファは、屑な父親へと向き直る。



「・・・私、は、父上に寵愛をいただいた事は、ございません。」



この茶番は、それを防ぐ布石。



「っっ、セリス!」

「事実では、ありませんか、父上。私は父上に監禁され、未来の妻として育てられましが、それだけです。」



ユリーファが手を握り締める。



「そして、父上、私はセリス様ではありません。」

「何、を、」

「父上、どうか現実をご覧下さい。私は貴方の娘、ユリーファです。」

「っっ、違う!お前は、セリスだ!」

「・・父上。」



ユリーファが言葉を失った。




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