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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第7章〜精霊編〜
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一緒に過ごしたい夜

何故かオリバーと過ごす今日の夜の私の衣装に並々ならぬ闘志を燃やすアディライト。

あまりの迫力に私の頬が引き攣る。



「今回はディア様が考案しシーリン商会が作られた、こんなにも素晴らしい衣装がたくさんあるのですから、張り切ると言うものです。」

「う、うん。」

「それなのに、普通の洋服で良いとディア様は言うのですか!?今回もディア様に似合うご衣装をご用意が出来ないなんて、まるで、この世の地獄のようですわ!」



顔を手で覆い、さめざめと泣くアディライト。

ちょ、泣く事なの!?



「もちろん、どの衣装もディア様に似合いますが、記憶に残る素晴らしい夜をオリバーと過ごして欲しいのです!」

「・・わ、分かったから!今日の夜に着る衣装はアディライトの好きにして?」

「本当ですか!?」

「嘘泣き!?」



顔を上げた満面の笑みのアディライトの目元には、涙ひとつない。

だ、騙された。



「ふふふ、ありがとうございます、ディア様。どんな衣装が良いか考えるのが楽しみですわ。」

「・・・うん、お手柔らかに、ね?」

「このアディライトに、万事お任せ下さい!ディア様に最高のご衣装をご用意いたします!」



胸を張るアディライト。

不安だ。

とてつもなく、不安である。



「きっと、オリバーもディア様が綺麗に着飾った姿を見たら喜びますよ。」

「・・うん。」



でも、オリバーが喜んでくれるならアディライトに着飾らされるのも悪くない、かも?

ふわふわ。

どきどきの時間を過ごした私。



「ーー・・ディア様、お呼びと聞きたさましたが?」



ついに、その時です。



「っっ、オリバー、部屋の中に入って?」

「はい、失礼します。」



目の前の扉が開くのを息を飲んで待つ。

き、緊張する。

何度も深呼吸を繰り返す。



「あの、ディア様、御用とは、っっ、!?」



開けられたドア。

ベットに座る私の姿を視界に捉えた瞬間、固まったオリバーの目が大きく見開く。



「お、オリバー?」

「・・・。」



オリバーからの返事はない。

あ、あれ?



「・・あの、似合わない、かな?」

「・・・。」



固まったように呆然と立ち竦むオリバーは、全く私へ反応を返さない。

瞬きさえしていない気がする。

え、大丈夫かしら?



「・・ねぇ、オリバー、大丈夫?」



さすがに心配なんだけど。

部屋のドアノブを握ったまま固まるオリバーの元へと近付く。



「オリバー?」

「はっ、!?」



オリバーに近付き目の前で手を振れば、ようやく意識を取り戻したらしい。

小さくオリバーが反応を示す。



「っっ、」



途端、真っ赤になるオリバーの顔。



「へ?オリバー?」



目を瞬く。

なに、その反応。



「っっ、なっ、えっ、!?」

「・・?」



真っ赤な顔のまま、目を彷徨わせるオリバーに私は首を捻る。

一体、何?



「オリバー、どうしたの?」

「っっ、その、ご衣装、は、」

「あっ、えっと、アディライト達が用意してくれて、」



うぅ、恥ずかしい。

アディライト達が吟味し、太鼓判を押した谷間を強調し、膝上のランジェリーを着た私は、心許なさに身を竦ませる。



「くっ、自分のばか!」



うきうきで商品化を進めたランジェリーで、こうして自分が羞恥心に見舞われるとは!

あの時の、ノリノリだった自分の事を殴りつけてやりたい。



「・・ど、どう?」

「え?」

「・・・、似合う、かな?」



もじもじ手を弄る。

恥ずかしさに泣き出しそうだ。



「っっ、はい、とても、お似合い、です。」

「・・そっか、うん、ありがとう。」

「・・・。」

「・・・。」



2人の間に落ちる沈黙。

が、気まずい。



「と、とりあえず、さ、ドア閉めたら?」

「あっ、はい。」



ぎこちなく頷いたオリバーが寝室の扉を閉じる。

寝室の扉は閉じられたけれど、オリバーはその近くで立ち竦んだまま。

必然と私もその場に立ったままである。



「・・・、あの、ディア様?」

「な、何?」

「私に御用とは何なのでしょう?」

「う、うん、その、っっ、」



ここで一呼吸。

よし、女は度胸でしょう!

言うのよ、私。

オリバーの目を見つめる。



「今日はオリバーと一緒に過ごしたいの。っっ、その、一緒に寝るだけ、じゃなくて、それ以上の事も。」

「・・・は?」



たっぷりな数秒間の間を開けた後、オリバーが惚けた様に小さく声を上げる。



「・・あの、少し待ってください、ディア様。一緒に寝るだけではなく、それ以上とは、その、」

「うん、ダメかな?」

「っっ、」



オリバーの顔に、初めて動揺の色が走った。



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