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リセット〜絶対寵愛者〜【完結】  作者: まやまや
第6章〜宮廷編〜
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閑話: 3人の王子と王女(前編)

コクヨウside




王と王妃との間に生まれた3人の王子。

高貴なる血筋だ。

そう分かっていても、この3人の王子達をディア様のお側に近づけたくはない。



「ソウル嬢、陛下から聞いていたより美しい方ですね。」

「まるで、月の女神のようです。」

「後でダンスに誘っても?」



ーーー・・ディア様の事を熱を孕んだ眼差しで見つめる王子達を。

嫉妬が胸を焦がす。

私達の大切なディア様の事を、そんな目で見るな。



「まぁ、お世辞がお上手ですね。」



1人ディア様だけが王子達の気持ちに全く気が付いていないが。

それが唯一の救い。

もしそうでなければ、誰の目にも触れさせない為に、この場からディア様の事を攫って逃げ出していた。



「折角お誘いいただいたダンスも、私が高貴なる貴方様方を独り占めする訳には参りませんから、他の綺麗な花達となさいませ。ほら、可憐な花達が王子達からのお誘いをお待ちですよ?」



困った様に微笑んで、王子達のダンスの申し出をやんわりと断るディア様。

王子である目の前の3人の事を無下にも出来ないからだろう。

自分ではなく、他の女性を王子達へ勧めている。



「・・チッ、王め。」



余計な事を。

この場にいない王に怒りを向ける。

王子達の余計な誘いが、ディア様の負担になっているではないか。

見てみろ。

ディア様へと向かう女達の嫉妬の目を。


「もうお兄様方、ソウル様がお困りでしょう?その様に、あまりソウル様にしつこくするのはおやめ下さいませ。」



そんな兄王子達をピシャリと諌めるのは、彼等の妹である第2王女、ミンティシア様。



「特に王太子であるお兄様には、婚約者候補の方々がいらっしゃるでしょう?それなのに他の女性にばかりかまけるなんて、お兄様の婚約者候補の方達に失礼です。」



王太子の兄王子へ厳しい目を向ける。

こうして諌める事のできる王女である彼女がいるからこそ、ディア様へ向けられる王子達の熱を孕んだ視線もまだ警戒するほどではない。

・・不快ではあるが。



「確かにソウル様はとても素敵な方ですし、お兄様方が気を引きたい気持ちは分かりますわ。ですが、困っている女性に無理強いするのは紳士としていかがなものでしょうか?」

「おや、ミンティシア。そうは言っても、美しい女性がいたら口説きたくなるのも男性の嗜みだよ?」

「こんなにも素晴らしい女性の事を放っておけと我が妹は言うのかな?」

「婚約者も候補の相手もいない僕はソウル嬢を誘っても良いって事、ミンティシア?」

「全く、そんな自分の事ばかりではなく、もう少しソウル様のご迷惑にならない様に配慮して、お控え下さいと申し上げているのです、お兄様方。周囲のソウル様へ向けられる視線の意味を考えられませんの?」



よし、もっと言ってやれ!

表情を変えぬまま王女様を内心で拍手喝采しながら応援する。

しかし王太子、婚約者候補となる相手がいるのにディア様へ誘いをかけるのはどうなんだ?

僕同様、ディオンとアディライトの王太子へ向ける目の温度が下がる。



「・・ミンティシアは手厳しい。」



きっぱりと言い切る妹王女に第1王子である王太子殿下が苦笑いを浮かべた。



「ミンティシアは、本当に母上にそっくりだ。」



とは第2王子。



「母上に似て、ミンティシアは素敵なレディーになるね。頼もしくて将来が楽しみだ。」



第3王子が妹へ微笑む。

なんとも個性的の違う王子達だ。



「ソウル様、兄達が申し訳ありません。ご迷惑をおかけいたしました。」

「お気になさらず、王女様。」



悠然と微笑むディア様に、王子達はうっとりとした表情を向ける。

その気持ちは分かるぞ、王子達。

ディア様の麗しの微笑は、誰が見ても見惚れるぐらい美しい。



「王子殿下?他の皆様方が王子殿下達と話したそうにしておりますわよ?」



なんでもディア様の言う事に従いたくなるほどに。

ディア様が扇で口元を隠す。



「どうぞ、私の事など気にせず、もう少し周囲で可憐に咲き誇る花々に目を向けられませ。」

「・・そう、ですね。とても残念ですが私は婚約者候補達と親睦を深めてくるとしましょう。」

「では、名残惜しいですが我々はこれで失礼いたします。」

「また会いましょう、ソウル嬢。」

「えぇ、王子殿下方、それでは、ごきげんよう。」



挨拶は済んだとばかりに微笑むディア様に、王子達は寂しげに側を離れるのだった。



「ソウル様、本当に兄達が失礼いたしました。後でお母様にお兄様達を叱っていただけるようにお願いしておきますわ。」


もう一度、謝る第2王女。

第1王女とは、比べようもなく良くできた方だ。

いや、比べるのも烏滸がましいだろう。


「うふふ、王女殿下が謝る事はございませんよ?それと、王子殿下達へのお叱りいただくのもほどほどにしてくださいませ。」



怒っていないと王女様を宥めるディア様。

この1番の元凶は、王だと思うのは僕だけだろうか?




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