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幼女は幼女と死合(試合)するそうです。

 滑り込みセーフ?

 久しぶりに見直したり書いたりしたので失敗してそうだけど……。

 小説概要の『1ヶ月』とは一体何なのだろうね?

 ……だってリアルが忙しすぎて書けなかったんだもん!(無駄な言い訳)

 破砕音が鳴り響く地下深く。

 二人の少女が対峙していた。


 一人は歪な狂気の笑みを浮かべ、理性というものが無くなったように表情を歪ませる少女。


 もう一人は、冷や汗を滴ながら悪態をつく、無表情な少女。

 ――そう、アリアである。


 アリアは早くも後悔していた。

 当主か何だか知らないが、こんな依頼受けるんじゃなかった、と。


「……どうしてこうなった……。」


「きゃははははっ!楽シイネ、愉シイネ!モットモット……フランと『アソボ』?」


 ……何!?何なのこの娘!スッゲェこえーよこの娘!

 良い感じに頭のネジが吹っ飛んでいる、狂ったヤンデレ少女(アリア予想)を警戒しつつ、アリアは己の右腕を見る。

 右腕は肘から下が綺麗に無くなっていた。

 彼女――フランドール・スカーレットの能力で腕を『破壊』されたのだ。


 ……自らの能力である、『状態を操る能力』で、痛みの無い『状態』にしたので全く痛くは無いが、このままでは相手の能力に殺られてしまう。

 アリアは再び、こんな依頼なんて受けるんじゃ無かった……、と思いつつも力作のスペルカード(フランドールの姉、レミリアと一応召喚主のパチュリーに作った方が良いと言われて作ってみた試作第一弾)を構える。

 ……相手は弾幕をバラ蒔かず、吸血鬼の身体能力と破壊系と思われる能力で戦うみたいだ。

 ちょっと待って!?進められて作ったは良いけど、スペルカードルールどこ行ったの!?

 これじゃあカード作った意味無いじゃん!


 そうして愚痴を吐くアリアは、何故こうなったのかを頭の中で思い返すのだった。





 時間は遡り、フランドールと戦う日の朝の事である。

 今日は珍しく召喚主のパチュリーから話があると言われて、アリアは彼女が引き籠る大図書館に向かっていた。


「お・か・し~♪

 お・菓・子~♪

 今日のお菓子はベリーショート~♪

 にゅふふふふっ!楽しみだなぁ~♪」


 ……嬉しそうに歌いながら。

 ただまぁ当然というか、相変わらずというか、アリアの顔はいつもの如く無表情なのであった。

 ルンルン気分で図書館のドアを『文字通り』蹴破って「ケーキある!?」と言うアリアに、パチュリーは顔を引き吊らせる。


「……貴女ねぇ、図書館は静かにが鉄則なのよ……、アリア?」


「いやぁ、お菓子と聞いて居てもたってもいられなくって~……、えへへっ!」


「……可愛く笑ったつもり!?表情動いてないから全然可愛くないし、そもそもそれで許されるとでも!?」


 普段のジト眼を吊り上げさせてアリアを見やるパチュリーは、蹴破られた扉を指差しながら読んでいた本を叩き付ける。


「……あぁ、もう、……はぁ。取り敢えず座りなさい。」


 アリアはそれに頷き、近くの椅子に腰掛ける。

 ……視界に写るお菓子に無表情の眼が爛々と光輝いている。


「……まずは貴女の給金(おかし)を……、と言いたいけど、今日は先に紹介しておきたい人がいるの。

 私の友人のレミィよ。」


「……始めまして、アリア。

 私はこの紅魔館の主にして吸血鬼のレミリア・スカーレットよ。

 ……これから紅魔館に住む貴女に挨拶に来たわ。

 これから宜しくと言っておくわ。」


 紹介された少女、レミリアは美しく、かつ優雅にスカートを翻しながら名乗りをあげる。

 対するアリアは彼女をみて、暫く固まる。


「……パッちゃんパッちゃん、幼女枠は私だけで十分では?」


「パッちゃんって、私の事!?というか、幼女枠って何!?」


「……パチェ、コイツぶち殺して良いのかしら?」


 アリアの『レミリア幼女発言』が癪に触ったのか、レミリアは顔を引き吊らせながら魔力を手に集めていく。

 『神槍グングニル』。

 普段はスペルカードでしか使わない、自らの切り札の一つを作り出す。


「……レミリィは何故そんなに怒っているん?

 あ、もしかして私に『幼女』って言われて心に刺さったのかな?

 にゅっふふふふ!大丈夫大丈夫、幼女(ロリ)幼女(ロリ)でも『合法幼女(ごうほうロリ)』は需要あるんだから自信もって!」


「なんなのコイツ、なんか腹立つ!

 というか、あんただって幼女でしょ!?しかも私より小さい子どもじゃないのよ!」


 そう言われたアリアは、そうかなぁ、等とつぶやき、レミリアの隣に立つ。

 ありあ は れみりあ と ならんだ。

 ありあ は となり の れみりあ を 『みあげた』。

 ……ありあ は おちこんだ。


「そんな……、負けたっ……!?

 ……いや、いやいやまだだ!まだ負けてはおらんよ!」


 ありあ は れみりあ の むね を まさぐった。


「ちょっと!?なにするの!?あ……ちょっ、やめ……!?」


 ありあ は じぶん の むね を さわった。

 ……ありあ は おちこんだ。


「……こんな事って……、ちっくしょおおおおおお!!」


「…………。」


 馬鹿(アリア)の魂の慟哭に呆れ果て、疲れ果てて、レミリアは「何なのこの娘……。」と溜め息を吐く。

 パチュリーはアリアの『パッちゃん』呼ばわりに顔をヒクつかせながら話を進める。


「……はぁ、もう良いから話進めるわよ?」


「うぅ……、負けた……。同じ幼女なのに……。」


「……あぁ、もう!貴女本気で聞く気あるの!?

 今回レミィに会わせたのは貴女に新たな仕事を与えるためなのよ!?」


「ぐすん……、仕事?」


 パチュリーは頭を痛ませつつ、呆れた眼差しで馬鹿(アリア)を見る。

 そんなアリアは首を傾げてレミリアを見る。

 同じように呆れていたレミリアは、再び小さく溜め息を吐き、口を開く。


「……ここからは私が引き継ぐわ、パチェ。

 そう、貴女の言うとおり仕事よ。

 今回の仕事は簡単、私の妹と遊んで欲しいの。

 あ、勿論給金……、貴女の場合はお菓子らしいわね、まぁリクエストしたお菓子を好きなだけ食べさせてあげるわ。」


 その言葉に駄犬(アリア)は目を輝かせる。

 そして勿論そんな餌を前にして断るはずもなく、生贄(アリア)はその依頼を受けるのだった。

 その結果が冒頭の通りである。


 因みに、今回のおやつであるベリーショートケーキは、アリア一人で全部食べた(32号ホールケーキ2個分。めっちゃデカい。明らかにデカい。)。





「ネェネェ、待ッテヨオネーサン?ニゲナイデ『アソボウ』ヨ!」


 この館の主の妹――フランドール・スカーレットを相手に、現在片腕を負傷……否、消し飛ばされたアリアは考えていた。

 このままでは彼女にマジで殺られる。

 しかし、相手は動きが滅茶苦茶早く、かつ不規則で捉えにくい。

 故に攻撃がなかなか当たらない状態である。

 ならばどうするか、アリアは足りない頭を回しながら出した結果が――。


「……よし、狂った相手には狂った相手をでしょ!

 てなわけで、『状態:封印』解除!『状態:筋力強化』、『状態異常:狂化』!後ついでに『状態異常:暴力衝動』も追加!」


 ……なんとも気軽に、かつ適当な感じで自分も狂うことにしたのだった。

 そして、そんな風に色々と状態変化をかけたアリアは棒立ちとなるが……。


「……くふ……ふふふふふふ……あーっはっはっはっは!!良いねぇ良いねぇ、凄く良い!!闘いとは良いものだぁ!!」


 突如笑い声を上げるアリア。

 そんなアリアに、フランドールは首を傾げる。

 しかし、何故彼女が笑うかをフランドールは本能で理解していた。

 だって、『狂いながらアソブコト』というのはとても楽しいものだからだ。


 豹変したアリアは普段の無表情とは違う、残虐な喜悦へと顔を『歪める』。


 ――覚醒。

 滅茶苦茶には滅茶苦茶を。

 混沌には混沌を。

 破壊には破壊を。

 それがアリア・ウィクトールという『万魔の王』、通称【魔王】である。


 ――アリアは地を蹴る。

 『状態:筋力強化』と『状態異常:殺人衝動』を駆使した音速を超えた爆速の移動である。

 そしてちょうど直線上にいたフランドールを強力なラリアットで吹き飛ばす。


 ドゴンッ!


「……ゴハァ!?」


 かの烏天狗と並ぶ程の速度をもつ吸血鬼でさえ見えない、

 とんでもない速度で飛来するアリアのラリアットを首に受けたフランドールは、その狂気に歪んだ顔を苦痛に歪められる。

 しかし、フランドールも吸血鬼。

 尋常ではないタフさですぐに体制を立て直す。


「……痛いなぁ、もう……。フォーオブアカインド!」


 四人へと分身したフランドールは、その狂気の顔に『怒り』を宿しながらアリアへと向かう。


「死んじゃえ!クランベリートラップ!」


「カゴメカゴメ!」


「恋の迷路!」


「カタディオプトリック!」


 あちこちから飛来する弾幕の嵐に、ケタケタと不気味な笑い声を上げながらアリアは避ける。

 そして分身の一人を捕まえて、そのまま20、30と高速の強撃を喰らわせていく。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴッ!


「ま、ず、は、一人目ぇ~~♪あははははははっ!良い!!良いぞ!!なんと愉しい事か!

 これぞまさに心踊ると言うものだな!!」


 もはや人体が出す音ではない、そんな打撃音と、彼女のおぞましい狂気の笑い声。

 そして何より圧倒的ともいえる威圧感と、場を支配する圧倒的存在感。

 上に下に、前後左右に殴り飛ばされ、蹴られ、叩き付けられていたフランドールは見た。

 ……この目に写るこの生き物は――。

 ――狂気に歪み、三日月の如く頬を割けさせながら恐ろしい笑みを浮かべる、本物の恐怖の権化たる『魔王』がいた。





「いやぁ~、久し振りに表情出したから顔が筋肉痛になったよ~……痛ひ。」


 アリアは顔を解しながら笑う。

 その顔は狂気に濡れた三日月のような――ではなく、儚い深窓の令嬢のごとき美しい微笑みだった。

 そんなアリアの視線の先には、フランドールがガタガタと震えながらレミリアにしがみついていた。


「いやはや、『魔王(むかし)』の顔が剥がれちゃったよ~。

 やっぱりろくなこと無いな、アレ。『状態:封印』っと!」


「……あんた、本当に何したの、アレ。」


 パチュリーはフランドールの様子を指差し、アリアに事の子細を聞く。

 そんなアリアは『状態:封印』の影響により何時もの無表情となると、気軽に答える。


「相手さんが狂ってたから、自分もテキトーに狂うことにした。

 ……その結果?」


「その結果がアレってどういう事よ!一体何したのよ!?」


 アリアはその言葉に少し考えて答える。


「……ボコボコにした後、胸を揉みしだきました。

 いやぁ、両手に花どころか、両手両足に花束の如くな感じでとても良かったよぉ。

 四人の幼女に埋もれてとても幸せでした。

 ……ま、自分も幼女なんだけどね~。」


「」(パチュリー絶句)


 仮にも館の主の妹である。

 それをボコボコにした上にセクハラしたと……。


「……貴女馬鹿じゃないのっ!?

 というかそれただの犯罪でしょ!?」


「……そだね!にゅはははは!」


 こうして今日も馬鹿(アリア)はいつも通りに過ごしたのだった。

 次回はアリアさん、親友(とも)を見つけたらしいです。

 え?わからないですか?

 ほら、いるじゃないの、とびっきり無表情(イイキャラ)が。

 さぁ、どうなる、アリア!

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