Weekly*5
-Sunday
書棚から
引き抜いた本を
鞄に入れたまま
もち歩く
そんな風に
あなたの日常に
連れ出されてみたい
開くことも
読むこともしないまま
帰りの電車のなかで
「やあ、そこにいたんだね」と
うやうやしく
両手にはさんで
一日のしまいに
いちばん近くで
あなたを見つめる
そんな日が
あってもいい
あったらいい
-Monday
ときどき
忘れられてしまいそうで
怖い
ときどき
もて余すようで怖い
瞬きを忘れた
小さな欠片
なにかを
押し通そう、とか
誰かを
押し退けよう、とか
望みさえ今は遠く
引き合う引力から
ある日ふいに
解き放たれてしまうだろう
暗い暗い闇に
のまれてしまうだろう
短く引きずる尾で
精一杯に描く放物線に
君は今宵
気づくだろうか
-Tuesday
ささやかな望みも
かなえてくれやしない
どこにも
ぶつけようのない怒りを
道ばたに
放り出してしまいたくて
悠長に流れる雲を
ぬけるような空を
こっそり逆恨む一方で
ふわっ
と
翔んでみたい…と思う
空なんて
高いだけでどうってことないと
確かめてみたくて
君のすむ町が
あんがい近いことに
気づくかもしれない
-Wednesday
怖がっているのはわたし
布団のなかで
数を数え
いつのまにか
寝るもよし
重い体を逃れ
浮遊するもよし
ベッドの下で
さざ波のように
寄せてくる孤独に
支配されない
わずかな熱量を
そっと
わけてくれたらいいのに
絶対に
逢う予定のない週末に
メールが囁く
「抱きたい」に
「おやすみ」ほどの愛はあるか
-Thursday
ベッドの上に伸ばした脚は
どこまでも自由に
冷たい場所を探して
君の体のぶんだけ
空けた右側を
キープしたまま夜がふける
やがてむかえる朝が
落胆に
のまれないように
やわらかなピローに
顔を沈め
今のうちに
泣いておこう
-Friday
斜めに差し込む
晩秋の西日に
暖かな場所を求めて
ブランケットごと移動する
欲しいときほど
足りなくなる時間に
今日 半日ぶんを
継ぎ足したいよ
いつも同じところで
目覚める夢の
続きのように
胸を妬く
琥珀色に映える窓
-Saturday
思い出したの?
ワタシのこと
切望していた頃には
メールのひとつもくれなかったのに
変わりないかと聞かれて
なんて答えれば
スマートだったろうと
今ごろ考えている
ワタシの躊躇いを
あっさり越えてしまう
君の無邪気さが
なんでこんなに
憎らしいのかな…
-and Sunday
ワタシ…
あなたが思っていたよりも
たぶんずっと
おとなしくて可愛い
オンナでしょ?
わがまま言わないし
いじけない
呼ばれたら
「にゃん」て、
ひとつ返事でとんで行く
あなたが
放っておいて欲しい時には
ちゃんと察知して
迂回する
わがまま言わないし
いじけない
ただ
甘えられるお膝を
ときどき
貸してちょうだい




