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temptation
放り出された
無防備な身体を
小さく丸め
つよく抱く
身体と床の隙間に
入り込む冷たい空気が
わずかに纏う
残り香さえ
消し去ってしまうの
夕闇にまぎれる
蓮華の径を
急ぎながら
一度でも
振り返ったかしら
風のいたずら
葉擦れの音に
幾度となく
心を乱す
もう来ぬひとよ
決意なんて何度でも
翻したっていい
誰かに遠慮して
何かを諦めて
生きる道に救いはあるの
生きたいように
生きてみたい
ただそれだけなのに
風上で惑う
遠い背中よ
わたしの声を聞いて
狂おしく呼び
美しくいざなう
もう一度
宵の入りぐちへと




