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知りたがりの君に
愛が何なのか教えてあげる
カップの底に
僅かに残る珈琲を
両手で包み込んで
温めるように
ベッドのわきに
落ちている靴下を拾って
毛布のなかで凍える足に
そっとはかせるように
愛は
日常だよ
よそゆきの靴で
泣きながら歩く坂道
君をおぶって
首に回された
柔らかな袖の匂い
小銭が見つからなくて
慌てている君の後ろから
料金箱に
ふたりぶん投げ込んで
君を抱えて降り立つ
誰もいないバス停
愛は
日常だよ
ときどき
君は迷って
冷たい床の上で
膝を抱えて泣いていても
愛が何なのか
知ろうとしなくたっていいさ
愛は
君のそばで
瞬いているんだ
愛は
日常なんだよ




