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Dolce
帰りに寄ろうと話した
カフェを通り過ぎてしまったね
深くかぶったニット帽からのぞく
ビー玉のような君の眼と
かるくウェーブした髪が
夕日のなかで
ドルチェのように甘くとける
歩行者天国の終わりを告げる
赤色灯を避けて
歩道橋をかけのぼる
踊り場で捕まえた君に
今日何度めかのキスをする
今だから言える
あの時の気持ちを
キスをした勢いで
打ち明けてしまおうか
錆びた手すりと
僕のからだの間にある
温かな君のすべて
僕が守ると決めたもの
もうすぐ闇に入れかわり
イルミネーションが
弾け出す瞬間を
ふたりで立ち会ってみないか




