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ephemeral
飲み込む度に キリリと痛む
悲しみと同じ恋の味
笑顔の裏で翳る心と
鈍く痛む こめかみの奥
空はどこまでも青く聡明で
真っ直ぐに 見上げることが
出来なくて
避けるようにいつも
足元ばかり見つめていたの
勢いよく広げた傘から
昨日の雨つぶが飛び散った
大切なものを手放したように
心許ないのは
あなたが差し出した傘だから
引き抜かれた花のように
失われていく 瑞々しさは
恋をしたその日から始まる
長い長い 沈黙の代償
主体性のない心の裏で
ひっそりと咲く
我は女郎花