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雨傘
ダークグレーの傘をたたんで
改札を急ぐ
どこかで見た 後ろ姿
ホームの列から少し離れて
メガネの位置を直すしぐさ
ふいに
斜めに振り返った瞬間
下を向いてしまった わたし
あなただった
やっぱり
あなただった
別れを告げたのは どちらからか
そもそも
別れの言葉などあったのだろうか
意地をはって連絡を断ち
戻れなくなった そんなところ
同じ車両のいちばん端から
声をかけたくなる衝動と
小さく闘いながら
あの日々の終わりに
追いかけてくれなかったあなたを
今さらながら 恨んでみるの
あの日々の終わりに
わたしが拒絶した あなたの優しさを
今さらながら 愛しくおもう




