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感触
どうして
夜は長くて
淋しいの?
ジェラートピケの
極上の肌触りでさえ
癒してくれない
ため息の長音
飲みかけのカプチーノ
ひとくち
かじったきりのビスケット
どれも テーブルの上で
途方にくれている
少しだけ開けた窓からは
遠い雷鳴と
雨の匂い
鳴らないスマホは
ピローの下に押し込むけれど
電源は切れないまま
曖昧な反抗ばかり
ベッドの中で
身体の向きをかえると
浅い眠りから引き戻されて
しっかりと抱き直してくれた
不安の波が何度押し寄せても
寝返りはうたずに
スフレのような唇に
繰り返しキスをする
イメージを思い描いて
今夜もやり過ごしているの