003話 たまには作者を叩いてみよう(テンプレ批判、ライトノベル批判への苦言・その①)
「出る杭は打たれる」
昔からよく使われる言葉だ。
何も法を破っているわけでも、ルールを破っているわけでも、他者を攻撃しているわけでも無いのに、一方的に攻撃される。全く理不尽な話だ。
それは、ここ「小説◯になろう」にもあてはまる。
ここ「小説家に◯ろう」で、よく槍玉に挙げられるのが「ファンタジー系」であり「異世界物」や「転生物」だ。
特に「転生」に加えて「ハーレム」とか「チート」とか「俺TUEEE」なんかの要素が入ってる作品が批判の対象にされる。
批判は単純に「嫌い」と言ったものから、こうした「転生物」が多すぎて他のジャンルの良作が埋もれてしまっているという主張や、この「小説家にな◯う」の現状やシステムの批判など色々あるようだ。
ランキング上位にいるのがこうした「ファンタジー系」の「転生物」「異世界物」「トリップ」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」の要素が入ってる作品が多いので目の敵にされている感じた。
だが、こうした「ファンタジー系」の「転生物」「異世界物」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」を書いている作者さんが他のジャンルを批判しているのを少なくとも私は見た事が無い。
だが、その逆は見掛ける。よく槍玉にあげられ批判されている。
不憫な話だ。
はっきり言って解決策は簡単だ。
2つある。
「ファンタジー系」の「転生物」「異世界物」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」が嫌いな人、飽きた人は、その作品を読まなければいい。
何の為にタグ、キーワードがあるのか。あらすじが書いてあるのか。
たいていは作者さんが「ファンタジー」「ハーレム」「転生」「チート」などのタグを付けているし、あらすじだって書いている。その作品の傾向がどういうものかは、小説本編を読む前にわかる筈だ。
それに「小説を読もう」には「キーワード検索機能」もある。
「キーワード検索機能」を使えば、ある程度、自分の好みにあったジャンルの作品を探して、嫌いなジャンルの作品を排除する事もできるだろう。
それなのに、そうした機能も使わず、わざわざそういう作品を読んで感想に「転生物にはもううんざり」「転生物には飽き飽きだ」なんていう書き込みをしている読者がいる。
根本的に読まなければいいだけの話なのにだ。
これはもう悪質な嫌がらせだ。「毒者」と言われても仕方があるまい。
困ったものだ。
もう一つの解決策は、他所の小説投稿サイトを利用すればいいという事だ。
読者もそうだが、特に書き手の人だ。
何も小説投稿サイトはここだけではない。
両手の指じゃ足りないくらい小説投稿サイトはある。
確かにここは、ランキングを見るとファンタジー系が強い。
しかし、他の小説投稿サイトでは必ずしも全てのサイトにおいてファンタジー系が強いというわけではない。
一昨日見た時は、某小説投稿サイトのランキングではベスト10にファンタジー系は一つしか入っていなかった。ベスト10にエッセイや現代小説や詩まで入っている。そこはいつもそんな感じだ。ついでに言うと、そこの人気のあるエッセイは書籍化されていたりする。
別の某小説投稿サイトは恋愛物が強い。ランキング・ベスト10は全部恋愛もので実話というタグを付けてる作品もある。ここは「ファンタジー」で検索すると約8300作品がヒットする。だが「純愛」で検索すると1万8800作品もヒットする。純愛じゃない恋愛小説を含めればもっといくだろう。ここも書籍化されてる作品がけっこうある。
さらに別の某小説投稿サイトは最初から「純文学」がメインのサイトである事を謳っている。
「自分の作品はファンタジー系じゃないからここでは評価してもらえない」
「他のジャンルのせいで自分の作品が読んでもらえない」
そんな思いがあるのなら、遠慮なく他のファンタジー系が弱い小説投稿サイトに行って、そこを活用すればいいだけの話だ。
自分の作品が陽の目を見ないのが「小説家◯なろう」のせいだと思うなら、ここにいつまでもしがみついていないで他所を利用すればいい。
実際に多くの作者や読者が他の小説投稿サイトを利用している。
他の人がそういう小説投稿サイトを利用しているのに、自分は利用できないなんて理由はないだろう。
私が先に指摘した3つの某小説投稿サイトは「小説家に◯ろう」と同様に無料で利用できるし、何かしら特別な利用資格がいるわけでもないのだ。
それなのに、わざわざここに残って自分の不満をぶちまけ他の作者や「ファンタジー系」「ハーレム」「転生」「俺TUEEE」等の作品を批判している。
他の道があるのにそれを選択しない。
困ったものだ。
しかも、作者、読者を問わず、特に「転生物」を批判する者の中には、何故、転生物が人気があるのか、何故、作者が転生物を書くのか批判的に分析したりする者もいる。
中には感想で精神分析医なのかどうかは知らないが、作者の過去やコンプレックスについでまで言及する読者もいる始末だ。
たかだか作品と感想返しと活動報告から作者の性格や生活の一端を伺い知るしかできないのに何を決めつけているんだか。
それに「転生物」として作者を一纏めにして批判している者もいるが、きちんとデータは収集したのだろうか?
ここのサイトに転生物を書いてる人が何人にいて、作者の年齢層や転生物を書いてる理由をアンケートでもして調査したのだろうか?
「キーワード検索」で先日、検索したところ「転生」のタグが付いている作品は約8700作品あった。中には複数の「転生物」を書いている作者もいるだろうが、それなりの人数の調査をして貰わなければ、どんな言い分も鵜呑みにはできない。
また、転生物を好む読者にも調査はしたのだろうか?
何故、転生物が好きなのか、その理由をアンケート調査でもしたのだろうか?
または、どこかの調査結果でも引用しているのだろうか?
きちんとしたデータを踏まえての分析なら信じもしようし納得もしよう。
だが、どうもそういう事を言う人の文章からはそうした数字を見た事が無い。
つまり、勝手な憶測ではないのだろうか?
まあ憶測で物を書いてはいけないという規則もないから言っても仕方のない事ではある。
それにたまには私も憶測で物を言ってみたい。普段は憶測で物は語らないがね。
「目には目を、歯には歯を、憶測には憶測をだ」
私も全然人気が無いとは言え「異世界ファンタジー系」で「転生」だか「憑依」だか「トリップ」だかの小説を書いている端くれだ。
その権利の一つもあるだろう。
まさか自分達は「異世界ファンタジー」「転生」「ハーレム」「俺TUEEE」といった作品や、その作者と読者を分析して批判するのは構わないが、自分達が分析対象になって書かれるのは嫌だなんて、ふざけた我儘は言わないだろう。
自分は批判してもいいが、他人からの批判はお断りなんていう虫の良い主張を認める気は一切無い。
こうした作者達は何故「小説家にな◯う」で「異世界ファンタジー」「転生」「ハーレム」「俺TUEEE」といった作品を批判するのか?
それは「自己愛」が強いからだ。
もう何年も前から識者の間では指摘され、本なども出されているが、現代の人々は自己愛が強く、自分が傷つく事を恐れる傾向にある。
少子化で子供は大切に育てられ、昔に比べれば怒られる事は少なくなった。
体罰なんかもそうだ。昔は平気で行われていたが、今やったらそれそこ問題になる。
誉めて育てるというのが風潮なった。
その結果、誉められてばかりで怒られ事が少ないから、プライドは高く挫折に弱く傷つく事を恐れる人間が増えるようになった。
そういった人間が何か問題にぶつかり上手くいかないとなると、どういう行動をとるか。
他人のせいにするのだ。
もし、自分に原因があるとなると自分の心が傷つくしプライドが許さない。
だから悪い原因は全て他人か社会のシステムが悪い事にする。
そうして自分の心とプライドを守るのだ。
既に社会人として働いている人なんかはよくそういう若手の社員を見ているのではないだろうか。
まだ経験が浅く重要な仕事を任せられない場合でも、無意味に自信過剰でプライドだけは高いから納得しない。
任せた仕事でミスしても容易には自分がミスした事を認めようとしない。酷い時には上司や同僚、会社のせいにしたり、取引先のせいにしたりする。
こうした人達の主張はいつも大同小異だ。
「自分はこんなにも努力している。悪いのは上司、同僚、会社、社会のシステムそのものだ」
と他罰的主張をする。そしてそれが受け入れられない時は退職したり「病気」で休養だ。
そうやって自分のプライドと心を守るのだ。
困ったものだ。
ここ「小◯家になろう」で他者や他作品を批判している作者も同様だろう。
自分の作品に人気が出ないのはおかしい。そんな事は受け入れられない。
自分の文才が低いとは信じられない。
なら何が悪いのか?
それは一番人気の「ファンタジー系作品」が、自分の作品が読まれるのを阻んでいるからだ。
そうした作品を書く作者と、それを持ち上げる読者が邪魔しているからだ。
「小説家になろ◯」のシステムが悪いからだ。
自分の作品は読んでさえもらえたら人気が出るのだ。
自分の作品は絶対に良い作品なのだ。
悪いのは他の作者に読者、そしてここのシステムに違いない。
そう思い込んでるから、「ファンタジー系」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」等の作品と、その作者と読者を批判する。
だが、実際にはそうした「ファンタジー系」のジャンルでなくても、例えば「大人のた◯の恋愛小説レーベル」の「エタニティブック◯」では、既に二桁の作家さんが「小説家にな◯う」からデビューしているという事実がある。
「エタニティブッ◯ス」の作品は殆どが現代日本が舞台の恋愛小説だ。
しかし、「ファンタジー系」を槍玉にあげる作者達は、こうした不都合な真実には無視して触れない。
「ファンタジー系」でなくても「転生物」でなくても「ハーレム物」でなくても書籍化される作品があり、小説家デビューしている人がいるなどという事は、それこそ自分にとって都合が悪すぎるのだ。
他の人やシステムのせいにできないからだ。
だから自分のプライドと心を守るために、臭い物に蓋をする。
さらに、こうした作者達は予防線を張って批判を躱そうという事もよくしている。
「自分の作品が未熟なのは自覚しています」
「自分の作品が面白くないのはわかっています」
「別に転生物を書いている人が悪いと言ってるわけではありません」
「その作品の良さも認めています」
「批判しているわけでは無いのです」
「自分の意見が絶対正しいと言ってるわけではありません」
等々、色々な言葉で、批判していた当の対象の人達や作品、読者を、認めてもいますよというポーズをとろうとする。
しかし、これも自己愛から来たものであり、建て前に過ぎず、自分が読者から批判されるのを防ごうという事に過ぎない。
自分は他者を批判する。でも自分は批判されたくない。だからこうした文章も入れ、一見、他の作者や読者に配慮しているようには見せかける。
だが、実質的には自分が他者から批判されたくないから、予防線を張り、批判を躱そうとしているのに過ぎないのが見え見えだ。
どんなに言い訳しようと、どんなに理論武装しようと、どれだけ虚飾で覆い隠そうと、本音がその主張から透けて見える。
自分の作品に、自分の能力に問題があるとは認められない。
だから他者のせいにして、自分のプライドと心を守っている。
だから最も人気のある「ファンタジー系」「転生物」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」を批判する。
困ったものだ。
……憶測で決めつけるなって?
これまで「ファンタジー系」「転生物」「ハーレム」「チート」「俺TUEEE」を書いてた作家さんや、それを支持する読者さんは、勝手な憶測で色々と書かれて来たのだ。
今度はこちらが書いて何が悪いというのだね。
こちらの主張を書くなというのなら、それこそ言論や表現の自由の封殺と言うものだろう。
だから書かせてもらう。異議は認めんよ。
ともかくだ。要は批判する人達は「自己愛」が強く、自己中心的過ぎて自分の思い通りになっていない事が気に入らないというだけだろう。
こういう人達には他者やシステムのせいにするのはやめて、一日も早く自分を見つめ直して新たな行動に移る事をお勧めする。
そうでなければいつまで経っても成長せず未来も無いと思えるからだ。
ここまで色々と書いて来たが、これを単なる「批判・攻撃」ととるか「箴言」ととるかは当たり前だが読者次第だ。
『「小◯家になろう」の片隅でひっそりと「異世界物」を書いている一作者より』