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承劇

4部+@の構成なので時系列は飛ばし飛ばし

半年後ーーーーー





「さて、それじゃあブリーフィングを行うぞ」


会議室というのにはあまりにもモノがなさ過ぎるが、それでも最低限の設備が施されて一室にて作戦会議を行う


「お前たちがここに来て既に半年が経った。その期間、お前たちはここの不可解禁止領域の進入方法、行動、連絡方法。そして基礎以上の体力作りに魔法訓練。特に対物理障壁を展開する速さ。とまあ色々としてきたのだが、それも全て必要だったと理解して欲しい。なぁに、普通ならチームワークも鍛えるところだが、俺たちは全員宿舎が一緒だ。その辺は既に大丈夫だろう。・・・まあ、一人を除いてな」


「あ、あれはオデュークさんがやれってーーーーー」


「さて本題だ」


・・・・こいつら、また女湯覗きにいったのか


探知能力に長けているメリヤがいるのに、なんて無謀なことを


確かに女に飢えるのはわかる。チームの女性二人を除けば後は配給のおばさんぐらいだ


年頃の男となればそれは普通なので仕方のないこと


だが、時と場合を考えろという話


この二人壁があればあるほどそれを乗り越えるために燃えるタイプらしい


「お前たちの訓練成果はノルマ基準を達成した。ということで・・・・今日から不可侵禁止領域への調査を行う。これもお前たちが優秀だからだ。普通なら1年は掛かるぞ、全く。・・・それじゃあ作戦内容はリアから説明する」


オデュークが一歩下がり、代わりにリアさんが前に出て咳払い一つし説明を始める


「ーーーーーコホン、それじゃあ説明するわね。まず今回の目的。それは貴方達が不可解禁止領域に慣れてもらう事が一つ、そしてもう一つは見つけたらだけど遺体の回収よ」


「・・・遺体、ですか?」


メリヤがその説明に引っかかったところを指摘する


遺体、つまりは遺族のためにでも死体を見つけたら回収するようにしているのだろうか


「ええ・・・・ねぇオデューク。やっぱり話したほうがいいんじゃないかしら。隠し続けれるものでもないでしょ?」


困惑した顔でリアさんはオデュークに声を掛ける


「・・・・・やっぱり、これ以上は無理か。仕方ない・・・・・おい、ブリーフィングは一旦中止だ。これからあることを説明する。だが肝に銘じておけ。これは外部には一切漏らすな。解ったな?」


「・・・・・」


いきなり真剣な雰囲気になり、俺たち3人はコクリと頷く


「・・・よし。・・・単刀直入い説明すると、実は俺達は既にここの不可解禁止領域の6割を解明している」


「ーーーー・・・なっ!」


一番驚いていたのはメリヤだった


それもそのはず、家を奪った存在の理由を知っているのだから


知っていて、今まで話さなかったのだから


「済まなかったな。メリヤ。だがその理由も今から説明する。だからよく理解して欲しい。ここが、どんな場所だったかをーーーーーー」







ことの発端は行方不明になった俺達の先輩の死体を発見した時だ

その先輩は知りたがり屋でな。調査している時に独断専行で奥まで勝手に行って帰ってこなかったんだよ

それから1ヶ月経った時、その先輩は死体として俺達の目の付くところに倒れていた

その亡骸は必死に何かを大事そうにしていて

遺体を調べると、両手に抱えていたのはとある人間が書いたレポートであり実績ファイルだ

ここは不可解禁止領域になる前、何かしらの研究所だったことは解っていた

だからすぐに察しは付いた。ここで何があったか、その内容が記されているに違いないと

・・・・・さて、ここからは俺達の解釈を交えたそのレポートの内容を今から聞かせる




『不可解禁止領域から発見された人間の亡骸には、見たことも無い手のひらサイズの少女が微量の輝きを放ちながら存在していた。

小柄なのにも関わらず、観測したところ内に秘めているその魔力量は人並み以上のモノだ

我々はこの存在を新聖生命体ミーメモントと名づけた。

ミーメモントは人間の亡骸の中に居た。つまり、この存在は人間と融合出きるのではないかと予測し、実験した。

案の定人間とリンクすることが出来、リンクしている人間の滞在する魔力量は常人の2倍以上のものへと跳ね上がることが解った。

だが、大半はその衝動に身体が耐えることができず、死に至る。しかし、ミーメモントがより多く居ればこの魔法社会を更なる段階へ繰り上げること間違いない。故に我々はミーメモントを複製することに決定した。本来なら多く見つけるために探索していかなければいけないのだが、何年経っても一向に見つからない。故に複製という模造品を造る事にしたのだ

そして永きに渡る年月により、ようやく創り上げた最初の完成複製体。

創られし偽神(ディミウルーゴ)

早速実験する

被検体は問題なくリンクし魔力量は倍になり多少の影響はあるが死ぬことはなくなった

だが、その被検体は力に溺れ暴走してしまう

そして被検体は時空間転送魔法を用い、消息不明となる』


「ーーーーーと、言うのがレポートの内容だ。そして俺達の解釈としては、その後、そのオリジナルであるミーメモントも暴走しこの地を不可解禁止領域にしてしまったんじゃないかという考察だ」


その考察は存外的を得ていると思う


何故ならそのミーメントとかいう存在が不可解禁止領域から発見された。


そしてミーメモントはそんな場所でも生きていた


つまり、不可解禁止領域となってしまう条件の中にミーメモントが関わっていると考えて妥当だろう


(・・・だ、そうだが?)


(概ね合ってるわね。流石貴方の上官)


(何で隠していた?)


(知ったところで意味がないからよ。貴方には、貴方の目標があるのでしょ?だったらそれに専念しなさい。いいわね?)


(言われなくてもそのつもりだ)


まあ、つまりはあれだ


ミーメモントことルキという新聖生命体は今現在俺とリンクしている


確か6年以上前か。俺がここに来てからずっと居る。というか知らない間に居た


一応コイツから今までの経緯を話してもらったのでオデュークが話している途中にコイツのことだということが解った


まあ、あそこまで詳しく教えてくれなかったが


(仕方ないじゃない。あの頃は寝ていたんだから。起きたら大火事で邪魔だったから消しただけ。そしたらどういう原理か解らないけどその領域が発生したんじゃない)


不可解禁止領域


その実、俺達が今から踏み込もうとしている場所は魔力を出せない場所だ


つまり魔法が使えない


ではどういう対策を練るか。実験してみたところ、あの場所で魔法が使えないってだけで入る前では使えるらしい


ということで入る前に何重の魔法障壁を周りに展開させ、身を守る


障壁が強いほど、その障壁内で微量ながら魔法が使える


つまり、障壁を最大限まで強くしてその中でさらに障壁を創り続けるということを俺達はこの半年間鍛えてきたのだ


(全く、面倒よねぇ。貴方は私が居るからそんなことしなくてもいいのに)


(俺自身、お前の力には頼りたくないし今までだって頼ったことなんか一度もないだろ?)


(それが不思議。普通ならもっと力を寄越せ~って欲張りなのに。貴方ってホント欲がないっていうか草食系というか不能っていうか)


なんか色々と失礼なことを言われた気がする


いや、思われたの方が適切か


「ーーーーーー・・・・ということだ。・・・ん?フォルナ聞いていたか?」


「あっ、はい。大丈夫です」


本当は後半の半分は聞いていなかったが


「よし、これには各自思うところがあるだろう。そうだな・・・時間も時間だから昼飯にしよう。一旦休憩だ。その後少し経ったらまたブリーフィングを行うぞ。いいな?」


返事はしなかった


各々考えたいところがあるのだろう


それもそうか、お前たちにも目的があるからな


チラっと二人を見る


トートはいつになく神妙な顔つきになっていて、メリヤは若干笑っているように見えた


仕方ないか。今まで探してきた原因がようやく手に入ったのだ


後はその対策と現状を把握する


トートとリアさんの目的は知らないが、メリヤの目的が当初言った通りなら、意気揚々とするだろう


「・・・とりあえず、飯行くか」


「あ、ああ」


「ええ」



さて、こんな事実を知ってこいつらが今までと同じ動きをするとは思えない


十分に注意していかないとな


(あら?どうせ貴方も"彼"に逢ったら仲間置いていくつもりなんでしょ?)


・・・・さあ、な


だがきっとそうすると思う。


何せ俺の目的であり終着点なのだから


それを果たしたら、俺はもう満足だ


(目的を果たしたら死ぬつもり?そんなの許さないわよ、私にもっと世界を教えてよ。・・・それに、昨日微量ながら"彼女"の存在を探知したわ)


(・・・と、いうことは)


(ええ、"彼"はここに居る。よかったわねぇ、3人揃って再会出来るわよ)


人の神経を逆なでするのもいい加減にして欲しい


が、今更こいつとそんな話をしても仕方ない


ーーーーーーーーー瞬間


ルキは俺の目の前に姿を現す


その成りは少女というより妖精のような小ささ


そして何よりリアさんやトートのような金髪ではなく、これは黄金と称するのがしっくりくるほどの輝きを持つロングヘアー


ゆっくり瞳を開ける。その瞳すらも黄金に輝いている


これを研究していた人達が新聖・・・いや、神聖と呼称しても仕方ない


『まあ、恐らくだけど、私の勘だけど、もうすぐ対峙するわよ。貴方はその時の・・・覚悟はある?』


真剣な眼差しを向ける


俺の真意を確かめるために外に出たのか


「・・・・当たり前だ。もうあんな無駄な犠牲、出したくない」


『違う、周りは関係ない。周りを言い訳にしないで。貴方自身はどう覚悟はあるの?』


「・・・救う。それは今も昔も変わらない。・・・どんな手段を使ってでも、アイツを救う」


『・・・了解。その言葉、確かに聴いたわよ』


最後の言葉に満足したらしい


そうだ、救わなくちゃいけない


アイツの友人として、家族として


それは今も昔も変わりはしないのだから


『ーーーーーあっ!ねぇねぇ今日限定の甘そうな食べ物あるじゃない!ちょっとフォルナ頼んでよ。あれすっごく美味しそう!!』


・・・とまあ、こんなにも神々しいのにこんなにも庶民的なので俺はコイツを神とは思えない


好き勝手言ってきて、文句ばっかり言ってきて、喜ぶ時は大いに喜び、ムカつく時は俺を苦しめる


縦横無尽。自己中心的。神というより王様だな


そんな人間染みている王様だからこそ、俺は嫌いになれない。


今では俺の、唯一の家族だから







『ーーーーーでは、作戦開始です。皆さん、障壁を最大出力で展開してください』


不可解禁止領域の入り口


一言で言うなら不気味であり、ゴーストタウンみたいなところだ


魔法が使えない領域。ということは魔法を使えない粒子が漂っているということ


故にその粒子すらも跳ね返すようにここで最大限の障壁を張る


もし、この中で何か遭った場合。つまり魔法障壁がなくなり、魔法が使えない状態に陥り仲間が居ない場合


無線機を使うか、それも壊れていたら簡単な閃光弾を10個持っているのでそれを空へと向けて放つことになっている


不可解禁止領域で生身になったところで身体に害はない


ただ魔法が使えないだけ


だが、ここの人間達は魔法に慣れ過ぎている


日々世界中で対策を練っているが、そう10年20年で解決する問題ではない


その間にも侵攻が進む。そして問題は俺達人間には害はなくても、動物達には害はある


凶暴化し人を襲う。それだけじゃなく知らず化け物へと変貌してしまうらしい


単純な圧倒的強さに俺達は蹂躙されてしまう


そんな存在に、今の人類は対抗できない


恐らくここにも居るだろう。その化け物は


十分気をつけていかなければいけない


何せ"不可解"であり立ち入り"禁止"されている"領域"なのだから


何があっても不思議じゃない


因みに、今回はリアさんはオペレーターとして活動する


俺達4人がこの地に足を運ぶということだ


それに、リアさんには特有のサポートに適した魔法がある


それは他人と魔力で繋がり、その人の心身の状態を把握出来るのだ


これは前もって発動しておくので不可解禁止領域でも問題なく発揮される


これで全員の魔力残量や身体の疲労を読み取り、すぐさまオデュークに伝えるという役割だ


「・・・よし、全員準備が整ったな。んじゃあ行くぞ。なあにブリーフィングでも話た通り出だしの数キロだけだ。慎重に、気軽にな」


全員黒いコートを羽織り、各々武器を手にする


そして、障壁を張った状態で、俺達4人はその世界へ侵攻を開始する


気軽にと言われたが俺達3人は初めての体験だ


胸を躍らす奴も居れば気張るヤツも居る


そして俺はーーーーーーー


(ーーーーーー・・・・・居るわね。確実に。ここのどこかに)


(だろうな。俺でも解る。あの悍ましい存在を)


("彼女"も既に中に居るみたい。発見されれば逸早く貴方のところに来るでしょうね)


(・・・・隠れて探すか)


(でも騒ぎを立てたほうが二人に気づいてもらえるんじゃないかしら?どうせ戦うとなったらバレることになるのだし)


(それもそうだな。見つけ次第臨戦態勢だ。いいな?)


(了解。貴方も、精々迷わないようにね)


静かに決意し、胸裏に刻み込む


ああそうだ、もう迷わない。もう逃がさない


この手で必ず、お前をーーーーーーーーー









ーーーーーーーーーーーチリンッ


ヘヤピンの飾りである鈴が密閉したコンクリートの部屋にその音色が響く


「ーーーーー・・・やっぱり貴方もここに来たんだ」


探知能力がなくても解る


そう、長年付き合ってきた勘という奴だ


"彼等は既にここにいる"


・・・貴方の気持ちはわかっている


だけど、これは私のケジメでもあるの


貴方を巻き込んでしまったから


貴方に"兄さん"を討たせたくないから


「・・・でも、無理なんだろうなぁ」


解っては貰えないだろう


だって、いつもいつも逢う度に忠告しているのに聞いてくれた試しがない


だったらーーーーーー


「私が、妥協するしかないのかな」


正直、私一人で兄さんを斃す自信がない


だから・・・この際だ。妥協しよう


彼と共に戦おう


「ーーーーー・・・ま、その場合も私が止めを刺すけどね」


やっぱり、その十字架は私に相応しいから


貴方に罪を被せたくない


そこに男性女性は関係なく


だって兄さんを狂わせた原因は私にあるのだから


貴方は本当に巻き込まれただけなのだから


貴方だけは純粋に生きて欲しい


私の、大事な"家族"なのだから












「ーーーーーーアァ、本当にここまで来やがったのか。バカな連中だ。そろいも揃って心底阿呆だ」


不可侵禁止領域深部。暗黒の中、そこに開いた瞳により一つの存在が姿を現す


静かに燃え盛る劫火、滾る瞳、無音に響き渡る激動する臓


この男は今、"歓喜"している


「これで、決着と行こうぜ。なぁ朔夜さくや。そして華蓮かれん


ニタリと嗤いながら立ち上がる


同時に、漆黒と紅の炎がその男の身を包み込み


ーーーーーーーー刹那、一瞬にして覆われていた天地の外壁が跡形もなく吹き飛ばされる


これこそ、開戦の号砲。


全ての幕開けにして終焉の鐘が轟く


「無知蒙昧は許さねェ。お望み通り狂い泣き叫ぶまで叩き潰してやるよ」


縛鎖は千切られ、その身を自由に獄炎が溢れる


総てを焼き尽くすために、朱に染まった男はここにもう一度覚醒する


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