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起劇

色々な作品のオマージュです。既知感バリバリだと思います

困っている人がいたら助けてあげなさい


そう子供の頃に親から言われたことがある人間は多いと思う


だが実際大人になれば見て見ぬフリばかりする人間になってしまう


それは何故か。余計なトラブルを起こさない、巻き込まれたくない、作らないためである


他人との余計な接触は面倒事が殆んどだと理解してしまっているからだ


・・・それでも助けたいと心の中で思っている人間だっている


だけど実行に移せない


そしていざそんな場面で助けに入っている人間を見れば偽善だと罵る


だから自分はそいつに問いたい


なら貴方のその心は本当の善なのか、と


まあ、こんなくだり本当は意味無いのだが


何せ俺は、助ける側ではなく助けられた側だからだ


いや、巻き込まれた側の方が適切なのかもしれない








(ーーーーーーおい、アイツ。不可解禁止領域の東征支部へ配属だってよ)


(・・・え、それって凄い危険じゃない?)


(当たり前だっ、そんな所に配属になるとか・・・可愛そう)


(生きて帰ってこれるのかな、彼)


周りの騒音が廊下に響き渡る


不可解禁止領域


名の通り未だに解明されず、そして最も危険ランクが高い地域のことを指す


・・・例え魔法というモノが有り触れた世界であっても、その魔法でも解き明かすことが出来ない、踏み込んではならない領域


「・・・・ようやくだ」


そう、ようやくなんだ


確かに普通ならそんな場所へ配属と書かれていたら最早死ぬ覚悟が必要だろう


だが、俺はずっとその場所に行くことを望んでいた


死にたいわけじゃない


だが、知らなければならないことがその場所にあるのだ


だったら、命賭けて行くしかあるまい




「今度こそ、もう迷わない」










「ーーーーーー・・・・・では軽い挨拶から行こうか。といっても今期新しく入隊してくれたのはお前たち3人だけで、その上官となっている俺達も2人程度なのだがな」


コンクリートで創られていて湿っている一室で、俺を含む3人の入隊希望者が横一列に並び、その前に上官と思わしき人物が2人整列している


「左端から卒業番号と氏名を言っていけ」


「はい!卒業番号883番。トートディア・マトアメシェです!」


左端の金髪の男が大きい声で命令された内容をささっと告げる


「よし、じゃあ次!」


「はい、卒業番号962番。メリヤヴェータ・ジューコスです」


俺と金髪の間に居る銀髪の女性が淡々と述べる


「よし、次!」


「はい、卒業番号999番。フォルナです」


そして最後に俺が伝えて終了になる


「・・・ん?フォルナ、お前はファミリーネームとかないのか?」


「在りません。経歴書を見てくだされば解ると思いますが、自分は孤児なので」


「・・・・・・あ、ホントだ」


上官の手元にあるファイル。つまりそれが俺たち3人の経歴書が入っているのだろうが


この人はよく見ていなかったらしい


「だがそれでも自分を象徴とする名は必要だろう」


「いりません。今まで不自由ありませんでしたから」


「そうか・・・まあいいだろう。では今日よりお前たち3人はここ、東征支部に配属となる。俺がお前たちの上官。オデュークだ。ああ、調べれば俺のファミリーネームくらい解ると思おうが、俺はそっちの名前はあまり好きじゃないんでね。気軽にオデュークと呼んでくれ」


そして、最初から率先して会話する上官。肩まである紺色の髪の毛で、見たところ若く、年は2桁も離れていないように感じる


「そして、同じくお前たちの上官となる・・・・」


「イシュリア・マトアメシェです。察しの通り、そこのトートは私の弟。宜しくね」


続いて金髪の長い髪をした優しそうな女性が自己紹介した


「・・・さて、自己紹介も済んだことだし説明がてら色々と聞かせてもらうが、ここがどういう場所か解っているな?」


「不可解禁止領域の調査部隊ッスよね?」


金髪の男、トートディア・マトアメシェが我先にと発言する


どうやら敬語には慣れていないらしい


「ああ、そうだ。不可解禁止領域。今更その解説はしないが、そんな危険な場所に学園側が卒業生を送り込むわけがない。・・・そう、誤りではないのならお前たちは自らここに"志望"してきたはずだ。それには各々目的があるだろう。ではお前たちはどうしてここを志望した?その目的を話せ。じゃあ・・・リアの弟から順に答えていってみろ。ああ、敬語はあまり使わなくていいぞ?」


敬語が苦手なのを察したのか、そう補足する


思いのほか気が利く男性らしい


「は、はい!えっと、俺は姉さんの目的を支えてやりたいから志望しました!」


「なるほど・・・確かお前たちは両親いないんだっけか。そりゃこんなところで唯一の家族が居たら助けてやりたいのは当たり前だよな。」


その言葉を聴いたイシュリア・マトアメシュは苦笑する


・・・根っこの目的は解らないが、この問いはバカ正直に答えなくてもいいらしい


最も、最初からそのつもりなんだけどな


「じゃあ次、えっと・・・メリヤヴェータ」


「はい、私は不可解領域を知るために来ました」


「何故だ?普通なら関わりたくないって奴が多いと思うが」


「私の実家が不可解領域に飲み込まれたからです。この領域を根絶やしにするためには、まず直に来なければいけないと感じたからです」


「・・・実家というと・・・家族は?」


「一応、生きています」


「そうか、よし解った。じゃあ最後、フォルナ」


一応という言葉に違和感を覚えたのは俺だけじゃないようだったが、上官のオデュークは深くは聞くまいことにしたのだろう


十分深く聞いていると思うが


「はい、俺は・・・知りたいからです」


ちょっとだけ考えた結果かなり漠然とした答えになってしまった


「知りたいって何をだ?メリアヴェータみたいに不可解領域ここのことをか?」


・・・どうする、なんて答えればいい


いや、大体正直に、嘘も交えて答えればいいか


「いえ、知りたい存在の有無を確かめるために」


「・・・知りたい存在ねぇ、都市伝説的な何かか?そんな遊び半分で来る様な場所じゃぁーーーーーー」


「友人です」


遊び半分


その言葉はあまりにも不快だ


誰が遊び半分で来たいと思う


不快過ぎてムカついたので目的の8割を話してしまった


失態


「ーーー・・・そう、か。いや悪かったな。深く考えずに尋ねて」


「いえ、いいです」


そんなことでいちいち気を止めていたら身が持たない


「よし、お前たちの目的。確かに聞いた。そこに口出しするほど野暮じゃないが、任務中は俺の指示に従え。いいな?」


「「「はい!」」」


「よし・・・じゃあ次はここの設備とルールから説明させてもらう。まずは・・・・・」









「お~い!二人とも!」


説明とルールを聞き終わり、今日のところはこれでオフということなので宿舎へと戻るその道


隣、という訳ではないが斜め後ろにはメリアヴィータが居いる


恐らく目的は同じで宿舎で休みたかったのだろう


因みに人数が少ないので、宿舎は男女共同だ


そしてその帰路で後ろから先の金髪の男、トートディア・マトアメシェが俺たちに呼びかけた


「・・・なに?」


「どうした?」


「いやぁ、折角の同級生なんだからさ。仲良くしておきたいと思ってね。これから一緒に任務を行うわけだし」


確かに、俺たちは俺たちで自己紹介しておいたほうがいいかもしれないな


「・・・確かにな」


「だろ?じゃあ改めて、俺はトートディア・マトアメシェ。長いからトートって呼んでくれ!」


爽やかに自己紹介する


「解った、トートだな。俺はフォルナだ。先も言った通り名前はこれしかないから好きに呼んでくれ」


「私はメリヤヴェータ・ジューコス。宜しくね」


「メリヤヴェータ・・・長いからメリヤでいいか?いいよな!」


「・・・え、ちょっと勝手に決めないでよ」


「いやでも名前は簡潔の方がわかりやすいと思うぜ?ほら、オデュークさんも俺の姉のことをリアって呼んでたし」


「で、でも馴れ馴れしいというか・・・あ、貴方も何か言ってよ」


いやそこで俺に助けを求められても


「・・・実際短いほうが呼びやすいのは確かだろ。馴れ馴れしいというより俺たちはこれか馴れていかなければいけないんだから遅かれ早かれって問題だったと思うし。それに任務中、もし不測の事態に陥った時に長ったらしい名前を呼んでいるうちに何かあったらどうする?・・・というわけで、諦めろ。メリヤ」


「・・・そ、そんなぁ」


そこまでショックなことなのか?


いや、確かに初対面だから馴れ馴れしいし勝手に決められても困るものではあるが


ああ、女性だから色々と思うところがあるのか


まあそれは追々でいいだろう


とりあえず、フォローしておくか


「いいじゃないか、メリヤで。呼びやすいし解りやすいし可愛いし。トート、お前結構ネーミングセンスいいな」


「そんなに褒められるようなことじゃねえって。・・・とりあえず自己紹介は済んだな。それじゃあこれからの長い間、宜しくな」


「ああ、こちらこそ宜しく」


「・・・よろしく」























「ーーーーーああ、ようやく始まる。・・・いえ、終わることが出来るのね」


その言葉を発した存在は遥か高く、静寂の夜に輝く惑星の光を背に全てを見下ろしながらそう呟く


「あぁここまで来るのが楽しみで楽しみでしょうがいないよ。私の愛おしい愛おしいフォルナ」


見てくれは少女。だが醸し出すそのオーラは全くの別物


格が違う。位が違う。その存在と対峙した人間はこう思うだろう


"自分は今、生かされている"と


そう錯覚するほどの・・・いや、錯覚ではなく現実を叩きつけるほどの圧倒的存在感


比較対象のない存在


「貴方の力を、大いに期待しているよ。・・・精々期待ハズレなことはしないでね。じゃないと・・・また創らなくちゃいけないことになっちゃうから。」


笑い、嗤う。笑みは邪悪なものでもあり、優しいものでもある


故に正体不明。解りたいが、解ろうとも思えない。この存在の正体など知っている人間は居ない


ただ、一部を除いてーーーーーーーーー


「フォルナ、貴方は既に成長しきっている。後は己の渇望イノリに気づいてくれれば・・・私は、ようやくーーーーーーーん?」


その存在はある人物を発見する


後ろを縛ってある長い黒髪。キリっとした目つきで白いコートを羽織った女性


「ああ、貴女も居たわね。そう、貴女も居なければいけない。貴女も大切な舞台装置。課せられた役目をしっかり果たしなさい」


満足の笑みを零す。


そう、彼女は笑みを絶やさない


笑い、嗤い、哂い続ける。この地上にに対して、この天体に対して、この宇宙に対して


全てをワラウ


「ーーーーー・・・準備は整った。さあ、始めましょう。私の渇望イノリが叶うその時まで」

暇つぶし程度の妄想なので・・・

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