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天啓的異世界転生譚  作者: ウスバー
第九部 武闘大会編
46/102

第四十章 大いなる風の悪戯

 たった二人しかいないリングの上、

「君には、どうして私の『暴風』が効かない?」

 怪訝な顔で鋼を見下ろしてくるマークレイに、

「さて、どうしてでしょうね」

 なんて余裕がある振りをして答えてはいたが、


(いやー。昨日シロニャと属性関係のタレント、調べといてよかったぁ……)


 内心、鋼は冷や汗ダラダラだった。

 数ある属性の中でも、風はとびっきりにまずいのだ。


【コウ!? 分かっておるじゃろうな?】

(ああ、もちろん分かってるよ)

 頭の中に響いた声に、うなずいて、鋼はマークレイから距離を取る。

 風の魔法はただでさえ速い。

 近くにいては、避けられるはずがなかった。


「おおーっと、なんということでしょうか!

 試合開始、たったの十秒で、百人以上の選手が強制リングアウト!

 本選出場の栄誉を手にするのは、この時点でこの二人へとしぼられましたぁ!」

 そんな様子をよそに、リリーアとかいうアイドルが、無責任に観客を煽る。


「一人は当然、我らが優勝候補、『暴風竜』マークレイ選手。

 そして……おおっと、これは意外も意外!

 残ったもう一人は今大会初出場、ハガネ・ユーキ選手です。

 あ、さらに情報が、これは……なんとハガネ選手、トーキョの街で活動する冒険者で、ランクは驚きのH!

 もし彼が本選に出場したとしたら、これは前代未聞です!

 ……というか、冒険者ランクってHまであったんですねぇ」

 さらにきゃいきゃいと鋼の情報を暴露していくリリーア。

 鋼としては余計なお世話だ黙ってろとでも言いたいが、マークレイから目を逸らすワケにもいかなかった。


「君は随分と、変わった人間のようだね」

 自分の一番の技を防がれたはずなのに、マークレイは余裕たっぷりな態度で鋼に対する。

「ふむ。まあ、もう一度試してみようか」

 軽い口調で言うと、


「蹂躙の暴風・トルネイド」


 マークレイの手から、直径三メートル、高さ五メートルほどの竜巻が現れる。しかもその数、三つ。

「行け!」

 それが、鋼へと一斉に殺到してきて、

「くっ!」

 鋼は一瞬、逃げようかと足を動かしかけて……すぐにあきらめる。

 それよりも、と、鋼は正面から竜巻を迎え撃った。


「ほう……」

 マークレイの、感心したような声。

 先ほどと、全く同じ。

 全てを蹂躙するはずの竜巻は、鋼の体を何事もなくすり抜けた。

 鋼は、全くの無傷だった。

 ……そう、鋼自身は。


「私の魔法が効かないのは、おそらく祝福の類。

 君のフィートか、タレントの効果かな?」

「…っ!?」

 表情を動かさないようにしたつもりだが、肩がびくっと動いて反応してしまう。

 やはり、実戦経験の差はくつがえせない。

 そして、

「それなのに、君はどうやら、私の風魔法を恐れているようだ」

 マークレイは、さらに鋼の本質を突いてきた。


 ――目の前の少年は、無傷ではあっても、無事ではない。


 マークレイはそれを、持ち前の鋭敏な感性で見抜いていた。


「回数制限があるのか、あるいは代償を払う必要があるのか。

 いずれにせよ、数を撃てば、分かること、か」

「なっ!」

 言いながら、マークレイが取った行動に、鋼は思わず声を上げた。

 マークレイは背中に回した手から、武器を取り出してきたのだ。

 しかもそれは、明らかに、

「じゅ、う?」

 科学が生み出すはずの兵器、マシンガン。


「よく知っているね。これは、魔銃シルフィード。

 本当は本選用の切り札だったんだが、仕方ない」

 マークレイは魔銃にマガジンを装着する。

「さあ、行くよ。第一の弾丸『衝撃』。

 毎秒30発のこの連射を、君は防ぎきれるかな?」

「いや、ちょっとまっ……」

「それで待つと思うかい?」


 マークレイの持つシルフィードが火を噴いた。

 そこから大量の、風属性の弾丸が鋼に襲い掛かる。

「こんなの、冗談じゃ……」

 鋼はリングの外周を回るようにして避けるが、

「そんなことで逃れられるとでも?」

 毎秒30発もの攻撃を、それで避け切れるはずがない。

 何発、いや、何十発も、避け切れなかった弾を喰らってしまう。


 鋼は逃げながら、ちらりと観客席に目を向けた。

 特に何か起こっている様子はないが、所々で騒いでいるような……。

「さあ、どうする?」

「待って! 待ってください!」

 鋼は止まって、両手を上げた。


「その、僕の風属性無効化の力は、たしかにタレントの効果です。

 だけど、その詳細を知れば、あなただってたぶん、攻撃をやめてくれるはずです!」

「へぇ? 興味深いね。話してみてくれよ。

 私が、君への攻撃を止める理由とやらを」 


 仕方がない、と鋼は覚悟を決める。

 本当は話したくなかったが、これ以上食らい続ければどうなってしまうか分からない。

 だから、

「僕のタレント『選択的な風の悪戯』は、風属性の攻撃を、無効化する代わりに……」

 鋼は、真実を叫んだ。





「近くにいる女の人のスカートを、めくってしまうんです!!!」





「あ、あれ?」


 時が、凍りついた気がした。


 そんな中、向かい合うマークレイだけが、ゆっくりと動く。

 その手にするのは、本来は決勝用のまさに隠し弾。

 威力重視の第三の弾丸『抹殺』。


「そんな、くだらない言い逃れを……」


 マークレイはそれを、ためらいなく魔銃に込め、


「信じると思うかぁあああああああああ!!」


 叫びと共に、発射する。

「うわっ!?」

 狙い過たず、超高速の弾丸が鋼を襲い、すぐに無効化されるのと、ほぼ、時を同じくして、


「おおっと、あまりのセクハラ発言に、わたしも思わず実況を忘れてしまいましたぁ!

 マークレイ選手の必殺の弾丸が、って、え?」


 実況を続ける、リリーアのスカートが、ふわっと、



「わ、ちょ、キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」



 めくれ上がった!




 ――ワァアアアアアアアアアア!!


 ――ウォオオオオオオオオオオ!!


 ――ホァアアアアアアアアアア!!


 ――キャアアアアアアアアアア!!


 一斉に響き渡る絶叫と悲鳴と快哉と阿鼻叫喚。


 男性のほとんどはめくれ上がったリリーアのスカート(そしてあわよくばその中)をのぞこうと身を乗り出し、女性は恐怖に顔をゆがめて自らのスカートをぎゅっと握りしめ、人によっては逃げ出そうとする。

 観客席はもう、パニック状態だった。


 そんな祭りのようにも、地獄のようにも思える興奮が過ぎ去ったあと、一人の男性が、ぽつりと言葉をこぼした。


「…ぜ、…っほう」


 そのつぶやきを拾ったまた別の男が、同じ言葉をつぶやく。


「…ぜま、…ほ…」


 それはさらに隣に、前後に、左右に、伝播していき、やがて闘技場全体を席巻する。

 そして数秒後には、闘技場全てを揺るがす、大きなコールとなっていた。

 すなわち、


「「「「「「「かっぜまっほう! かっぜまっほう!」」」」」」」


 下心満載の、男性陣からのアンコールである。



「は、はは……」

 こんなことになりそうだから嫌だったのに、と鋼は苦笑するしかない。

 鋼のタレント、『選択的な風の悪戯』の効果は、正確に言えば〈風属性攻撃を受けた時、その力を利用して指定した女の子のスカートをめくれる〉というもので、厄介なことに特にターゲット指定をしていなくても風属性攻撃を受けると自動発動、勝手に誰かのスカートをめくる。

 属性系タレントの検証に付き合ってくれたエルフの女の子のスカートをめくってしまい、泣き出された時は本当に困った。



「「「「「「「かっぜまっほう! かっぜまっほう!」」」」」」」



 そんな鋼の葛藤や苦悩とは無関係に、場内の風魔法コールは鳴り止みそうにない。


 マークレイはしばらく、そのコールに頭が痛そうな顔をしていたが、やがて渋々といった風に鋼に声をかける。

「どうやら、君は嘘をついてはいないようだね」

「はぁ。どうも、信じていただいて……」

 お礼を言うのも何か違うとは思ったが、とりあえず生来の日本人気質から頭を下げる鋼。


「しかし! それと勝負は別だ!」

 マークレイは既に最初に見た時の自信を取り戻していた。

「『暴風竜』なんて呼ばれる私だが、使えるのが風魔法だけだなんてことは、まさか思っていないよな?」

「いえ、別にどちらとも。興味ないです」

 鋼の返答に、マークレイはひく、と顔をひきつらせた。

「君は、なかなか言うね。だが、その気質こそが自らの寿命を縮める物だと知るがいい」


 言い終えると同時、マークレイは素早く銃を背中にしまい直すと、代わりに小型のワンドを取り出して、構えた。



「凍てつく世界・コキュートス!!」



 ワンドを鋼に向け、叫ぶ。

 すると、

「こ、これって……」

 鋼の足元から、氷が這い登るように侵食してくる。

「氷の絶対牢獄、コキュートスだ。

 その氷に囚われた者は、あらゆる生命活動、魔法を封じられ、氷のオブジェと化す」

「氷!? それは、まずっ!」

 鋼がそれを聞いてあわてて逃げ出そうとするが、氷の侵食は速い。

 あっという間に鋼は等身大の氷の彫像になってしまった。


「審判、行動不能だ。カウントを頼む」

「あ、は、はい! ワン、ツー……」

 マークレイに言われて、鋼ではないが、すっかりフリーズしていた実況席のリリーアがカウントを取り始めた。

 基本的にリングを強制退去させる以外の決着はないが、石化や麻痺などで一方の選手の動きが止まった場合、特別ルールで審判が30カウントを取るまでに動けなければ負けになる。


 しかし、そのカウントが三を数えることはなかった。

 その前に、


「うわぁ。やっぱり服がベトベトだよ……」


 鋼を覆っていた氷が砕け、細かい破片となってその場に山となったからだ。

 しかも、なぜかその氷の欠片は赤く染まっている。

「どういう、ことだ? 私のコキュートスは、絶対の……」

 信じられないのはマークレイだ。

 絶対の信頼をもって臨んだコキュートスを破れる人間がいるはずがない。

 その顔には驚愕が張り付いていた。


 だが、その混乱を断ち切るように、鋼は種明かしをする。


「悪いですが、あなたのコキュートスは全て、僕のタレントの力でかき氷にさせていただきました」


 だが、その答えはマークレイにとって、悪夢のような物だった。

「かき、ごおり、だと…?」

「はい。しかもイチゴ練乳がけです」

「ふざ、けるなぁ!」

 マークレイは激高した。


 自分の得意な風属性ばかりではなく、必死に修練してやっと使えるようになった氷魔法の奥義までも、くだらないタレントで打ち消したという。

 しかも、かき氷? イチゴ練乳?

 そんなふざけた結果が、許されるはずがない。

「アイス・アロー! アイス・ニードル! アイス・ランス!」

 知る限りの高速氷魔法を鋼に見舞う。

 しかし、

「無駄です。……あ、かき氷食べたいなら、無駄じゃないですけど」

 勢いも威力もあるはずの氷の魔法は、鋼の手に当たる度、赤い小さな氷の破片となって、さらさらと地面に落ちる。

 いや、マークレイとて理性では分かっている。

 その赤い氷の破片が、イチゴ練乳をかけられたかき氷だということは。

 だが、だからこそ、余計にやるせなかった。


「ふざけるな! ふざけるなよ!」

 だが、どんなに悔しくても、マークレイは認めないワケにはいかなかった。

 このハガネという男には、風属性も氷属性も全く効果がない、と。

 凡百の魔法使いなら、この時点で勝利をあきらめていただろう。


 だが、彼は、幸か不幸か、非凡な魔法使いだった。

 威力は数段劣るとはいえ、まだ無効化されていない属性、地属性と水属性の魔法を使うことができた。

(残りの魔力を全て使ってでも魔法の威力を最大まで練り上げ、強化した土と水属性の魔法を放つしかない)

 そう判断したマークレイは、ぼそぼそとした声で、魔力を高める呪文を練り上げる。


 この間に攻撃されれば危なかったのだが、

「あの、どうかしました? 大丈夫ですか?」

 対戦相手たる鋼は、なぜか場違いにもマークレイの身を案じていた。


 そして、長い長い呪文詠唱が終わった。

「これ、で、終わりだぁ!

 魔力拡大最大強化!

 アース・グレイブ! ウォータ・スプラッシュ!」

 刹那、地面からは土の槍が、そしてマークレイの手のひらからは、水の奔流が生まれ、鋼を襲う。


 鋼は土の槍に串刺しにされ、水の奔流に押し流される……はずだった。

 しかし、


「うわ、今度はびしょ濡れだよ」


「なん、だ、と…?」

 マークレイの前に姿を見せた鋼は、無傷。

 服は土に汚れ、水に濡れているものの、全くダメージはなさそうだった。


「無駄、です。風属性と同じで、僕は属性に効果のあるタレントを持ってるんです。

 その効果で、土属性の魔法を食らうと、使われた魔法の威力分、体が硬化する。

 そして、水属性の魔法を食らうと……」

「く、食らうと…?」





「濡れるッ!!」





「「「「それは普通だ!」」」」


 観客席から総ツッコミが入った。


「は、はは……」

 カラン、とマークレイはワンドを取り落とした。

 もう、マークレイに鋼を倒す術はなかった。

 得意の風も、氷も、土属性の魔法ですら、鋼には全く効果がない。

 水属性だけは例外なのかもしれないが、水魔法はあまり得意ではない上に、もう魔力の残量がほとんどなかった。




「降参、してもらえますか?」

 それを見た鋼が、マークレイに問う。

 しかし、

「……私が降参? それは、出来ない相談だ」

 マークレイはそれを聞いて、一度は取り落としたワンドをふたたび握った。

 勝ち目はほとんどないと分かっていたが、それでも自ら降参することを、この男はよしとしなかったのだ。


 それに対して、

「いくら僕でも、魔法使いのあなたを気絶させるくらいはできますよ。

 それに、僕の相棒のこの武器を、あまり舐めない方がいい」

 鋼が、枝を振りかぶって、宣言する。

「僕の力でも、こうやって叩き付ければ、あなたを気絶させるくら……」



 ――ドゥオーン!!



「……あれ?」

 いわく言い難い轟音がして、鋼が枝を振り下ろした場所に、大きなクレーターができていた。

 人を気絶させるどころではない。木端微塵にするくらいの威力ならありそうだった。


「ええと……」

 蒼白になっているマークレイと顔を見合わせ、

「ま、まあこの枝を使うと大変なことになりそうなので、ちょっと置いといて」

 鋼は一度、自分が手に持っていた木の枝を置いた。

 そういえばこの武器は、かつてファルザスとかいう武器屋のおっちゃんに『終末兵器』だの言われた超強力アイテムなのである。

 これは明らかなオーバーキルだ。


「じゃ、じゃあこれで……」

 おそらく出場者の誰かのだろう、近くに落ちていた手ごろな剣を取る。

 人の身に着けていた武器などの無生物は、人と一緒でなければリングの結界を抜けられないため、そこら中に剣だの斧だのといった武器が転がっていたのだ。


「あ、あらためて、こいつであなたの頭を殴れば……」

 言って、武器を振りかぶった瞬間だ。


 ばびゅーん!


 擬音にするとバカみたいなその音が鋼の耳に届くのと、右手にちょっとした衝撃を感じたのとは、同時だった。


「え?」


 さっきまで剣を持っていたはずの右手を見ると、そこにはいつの間にか枝が握られていた。

 さて剣は、と見ると、なぜかガシャン、とリングの結界に当たり、地面に落ちている。


「あ、あれ? ええと、もう一回……」

 もう一度枝をしっかりと置いて、他の剣を手に取る。

 そしてもう一度振りかぶると、


 ばびゅーん!


 今度こそ、鋼は見た。地面に置いたはずの木の枝が、超高速で飛んできて鋼が手に持った剣を弾き飛ばし、自らがその位置に収まるのを。


「あ、まさか……」

 ある予感に駆られて、鋼はルーペを取り出した。

(僕の記憶が正しければ、この枝には『嫉妬深い』って特性がついてたような……)

 自分の考えをたしかめるため、ルーペを使って、自分の持つ木の枝を久しぶりに見る。


『伝説の』『名状しがたき』『殺戮好きの』『凄く嫉妬深い』『博愛主義の』『名を呼ぶことも畏れ多い』『また相棒と呼ばれて嬉しい』『ハガネ様専用の』『成長する』『世界創造の』ただの木の枝『ワールドエンド・ブランチ』+23937


(凄く嫉妬深くなってるー!)

 鋼は心の中で絶叫した。


 考えてみれば、昔ファルザスの工房で魔剣を手にした時も、色々不自然なことがあった。

 思い返せば魔剣での素振りが中断されたのはあの時持っていた枝のせいだし、魔剣が折れてしまったのも、武器の威力だけではなく嫉妬故のことだったのかもしれない。

 嫉妬する武器ってどんなだよとは思うが、実際にここにあるのだからしょうがない。

 しかも原因はよく分からないが、嫉妬深さがエスカレートしているらしい。


 とにかく、鋼はこの枝を持っている限り、他の武器を一切扱えないということになる。

「……はぁ」

 受け入れがたい事実だが、そういうのを受け入れるのは慣れている。

 覚悟を決めた鋼は、右手に木の枝を持ったまま、呆然としているマークレイの近くまで歩いて行った。


 そして……頭を下げる。


「あなたがぐしゃぐしゃのトマトみたいになるの、僕は見たくないんです。

 絶対トラウマになりますし、寝覚め悪いし!

 だから、だからどうかお願いします!

 降参してください!!」


 かつてここまで傲慢で、低姿勢で、そして残虐な降伏勧告がはたしてあっただろうか。

 その異様さと迫力に、ついにはマークレイも折れた。



「分かった。……降参しよう」




 こうして、予選Hブロックは大方の予想を裏切り、無名のHランク冒険者、ハガネ・ユーキが制することになったのだった。






 だが、鋼は知らない。

 この時観客席から、鋼の様子を熱を込めて眺める、一対の目があったことを。

 その人物、黒いローブに身を包んだ女性が、


「すごい。風も、氷も、土も、水も、全て呑み込んでしまうのね。

 ……でも、だったら、ワタシの炎はどうかしら」


 と呟き、笑っていたことを。

 鋼は知らない。


 そう。最後まで、知ることはなかった。


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