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Nocturne -夜想曲-  作者: 浅見カフカ


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7/9

第七話 分水嶺

腕だ——

キーツは腕を抱えていた。

視線はその指先にあるようだった。

そして、脱力したように腕を手にした左手を下ろすと同時だった。


パン。

パンパンパンパン。

「おいおい、待て待て!!」

下手な鉄砲も——とは言うが、既に数発当たってる。

刑事デカ野郎もフリーズからの発砲は予想出来なかったらしい。


「待てよ、クソ野郎」

私は、我を忘れて引き金を引き続けているキーツを背中から蹴り飛ばした。


「死んだらボナ——情報が取れねぇだろ!いきなりバンバン撃ちやがって」

倒れたキーツの背中に左膝で体重を乗せた。

そのまま腕をひねりあげて、グロックを取り上げると——撃った。


「お前はまだ寝てろ」

銃口を向けた、刑事野郎のチーフスペシャルを弾き飛ばした。


「すみません」

我に返ったキーツが、喘ぐように言った。

当然だ、私の体重が胸を潰している。

「落ち着いたか?」

私は右手のグロックで有給スパナを、左手のグロックで刑事野郎を照準しながら尋ねた。

「はい、大丈夫です」

「何がどうした?」

「あれは元カノ——彼女の左腕でした」


絶句——はしなかった。

この街では、たまに聞く話だ。

酒場ならローゼスの空き瓶程度には転がっている。

それでも、当事者になるなら話は別だろう。


私は軽くなったグロックのマガジンを入れ替えると、キーツに渡した。

「刑事野郎の尋問は、任せてもいいな」

「はい」

キーツはそう言うと、グロックを手にして立ち上がった。


「さて、と」

私も立ち上がると、有給スパナの元に戻った。

「私の話し相手はオマエな」

返事がなかった。

痛みで疲弊しているみたいだ。

「お返事出来るかな?」

傷口をつま先で突つくと「わーわー」喚いた。

「お返事は?」

「は...い」

「よろしい」

有意義な話し合いが出来そうだった。



——つまらなかった。

実につまらなかった。

背後関係も何もない。

女をバラした先輩に10万で持ち掛けられたなんて、ビール瓶よりも転がってる話だ。

(上はこれでボーナスをくれるだろうか?)

がっかりして天井を見上げていると「銃を下ろせ!」と声が響いた。

見るとグロックの銃口をこめかみに当てられたキーツが居た。


「ワンカップかよ」

立ち上がった私は、足元の有給スパナの頭に一発撃ち込んだ。

ピクンと跳ねることすらなく、彼は脱力した。

そして刑事野郎にゆっくりと銃口を向けた。


「キーツ、話は聞けたか?」

「はい」

上ずった声だが、覚悟が決まった目だ。

「良い目になったな」

私が口の端を歪めて笑うと、刑事野郎がキーツを前に突き飛ばした。

そして引き金を引く。

良い策だ。


——弾が入っていれば。


カチンという無情な音に刑事野郎の表情が崩れた。

私は歪めた口の端から唇を開いて嗤うと、その眉間にピリオドを撃ち込んだ。



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