第六話 硬直
00番処理場の監視映像を端末で確認した。
丁度、二人がゴルフバッグを下ろしたところだ。
「踏み込むんですか?」
キーツが端末を覗き込んだ。
「いや、まだだ」
ゴルフバッグの中身を取り出す時。
その隙をついて押さえる。
可能なら——
背後関係を聞き出してから処理して欲しいというのがオーダーだ。
それ次第で報酬も変わる。
私はゆっくりと、最初の扉を開いた。
端末の映像ではミルの使い方の説明をしているようだ。
キーツに合図を送ると、次の扉に手を掛けた。
大きなハンドルのついた隔壁だ。
ここから先は少しずつ気圧が下がる。
ハンドルを回すとロックが外れる音が鳴った。
気圧差で引っ張られるドアに、力を込めた。
ここで大きな音を立てると中に響く。
「キーツ、中に入って内側から押さえろ」
キーツは、開きかけた隙間に身体を滑り込ませた。
扉が軽くなった。
私も中に入ると、キーツと二人で扉を押し戻した。
「次の扉は気圧差に任せる。一気に開けて制圧する」
次の扉までの数メートル、私は手順を説明しながら歩いた。
端末の画面では奴らはゴルフバッグに取り付いていた。
有給スパナが自分のゴルフバッグを置いて、もう一人のバッグを押さえていた。
中に腕まで突っ込んでいる。
「ああ、こりゃ今だな」
そう言うとキーツに開けるよう、顎で合図を送った。
吹き込む風と同時に中へ踊りこんだ。
振り向く間も与えずに、有給スパナの脹脛と両腕に9mmのパラベラム弾を撃ち込んだ。
三つの破裂音とほぼ同時に、有給スパナがぶち倒れた。
勢いでゴルフバッグが倒れて、もう一人が下敷きになった。
「キーツ、無傷の野郎にぶち込め!」
私の怒号にキーツがなだれ込み、両手で真っ直ぐグロックを構えた。
こちらまで聞こえる荒い息と、怯えた目。
(ああ、コイツは撃てない)
面倒だから先に処理をしようと後ろから、キーツの後頭部に銃口を向けた。
「お前、その抱えてるのを見せろ」
私は引き金から指を外した。
(どういうつもりだ?)
躊躇どころか話し始めた。
まぁ、情報を引き出せれば報酬も上がる。
念の為、キーツに気を配りながらスパナ野郎の無力化を図る事にした。
うつ伏せで転がるスパナ野郎を、つま先で転がした。
「よう、何日かぶり」
痛みに顔を歪めながら、それでも意味が分からないという表情を浮かべた。
「声は聞いてんだろ。私はモニター越しに会ってるぜ」
そう言って有給スパナの足の銃創を踏みつけた。
絶叫にキーツの肩がピクリと動いた。
もう一人は抜け目なくその隙を突いて、抱えていたモノをキーツに投げつけた。
そして発砲した。
乾いた破裂音の後に、キーツの後ろで跳弾の火花が見えた。
敵の威嚇を兼ねた射撃は運良く外れた。
だが、キーツは投げつけられたモノを抱えたまま、微動だにしなかった。




