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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第82話

 その後もこれまでの経緯を話していると何やら美味しそうな良い香りがしてきて、私の腹はグウグウ鳴り始めた。


ペタペタペタペタ!


「先に刺身を持ってきたぞ!早速食べよう!」


グゥ~キュウ~グウゥ~


「アハハハ!タナカのお腹グルグルだ!」


「ホウ!こりゃあ美味そうな刺身じゃのう!よし酒もやろう!」


「おっ!爺ちゃん昼間っから酒やるのか?アハハ!アタイも飲もう!」


 そうしてシャルの祖父は奥の方に行き、シャルは私に早速食べようと言って、祖父を待たずに食べ始めた。


「ウンメェーーー!!かなた!食べてみろ!婆ちゃんの言ってた通りアッパレな味だぞ!」


「えっ?でも、お爺さんが・・・」


「いいからいいから、ホラ、アーン!」


「えっ!?いやっ、えっと、あ、あーん・・・」


パクッ・・・


「ウンメェーーー!!」


「アハハハハハハ!ウメェか!?」


「うん!コレすっごく美味しい!まさに天晴な美味しさだよ!」


「ホホウ、さっそくやっとるな?」


「うん!アッパレの刺身凄くウマいぞ!爺ちゃんも早く食え!」


「すいません、先にいただいています」


「うんうん、ワシは後でもええんじゃ、食べ盛りの若いモンが先に食え」


「やっ!それは良い酒だな爺ちゃん!アタイ、コップ持ってくる!」


「おう」


 シャルは素早く奥へ行き、別の料理と一緒にコップを持ってきた。


「おいかなた!ヤベェぞ!凄く美味しそうなエビまであるぞ!」


「あっ、それは魚屋さんでおまけしてもらったんだよ」


「マジか!アタイエビのフライと白トロのソースは大好きなんだ!」


「どれどれ!?あっ!」


 それはまさしく見たこともないくらい大きなエビフライと手作りタルタルソースで、ヴィジュアルだけでもコレ絶対美味しいヤツで間違いなしだった。


「アタイとかなたは一本食べてもいいって言ってくれたぞ!」


「えっ、そうなの?えっと・・・」


「ワシらはいいからおあがりなさい」


「有難うございます、ではいただきます・・・サクッ・・・モグモグ・・・ゴクン・・・ウメェーーーッ!!」


「ウマァーーー!!凄くウマァーーー!爺ちゃんも食べろ!ヤベェぞ!ウマウマだぞ!ウマァー!」


「ホホホホホ、そうかそうか、ウンウン」


 シャルの言う通りシャルのお婆さんは凄く料理が上手で、元の素材の良さも相まって並みの料理店以上の味の良さだった。


 それからお爺さんと一緒に美味しいお酒を飲み、そこでいよいよ真打ち登場といった感じで、メインディッシュの甘辛煮魚が運ばれてきた。


「キャーーーッ!」


「オホホホホホ、まぁまぁシャルったら子供みたいに喜んで・・・って、あらあら大分お酒の方も進んでるようね」


「うわぁ!これは凄く美味しそうです!」


「どうぞ召し上がって下さい、ウチの煮物はシャルもヴォルリッヒもマリーも大好きなんですよ、昔からずっとうちに受け継がれてきた味なんです」


「はい!いただきます!」


「ウンメェーーー!!婆ちゃん!アッパレの煮つけ天晴だぞ!最高!」


「ウメェーーーッ!ホントにウメェーーーッ!」


「あらあらオホホホホホ!」


 まさに美味いという言葉しかない、この醤油ベースの甘辛煮のタレは日本人にとっても美味しく感じられる優しい味で、確実にマリーの料理の元となっている事がすぐに分かった。


 それからお婆さんも一緒に料理を楽しんだが、お婆さんもお酒の方はかなりいける口で、結構強いお酒だと思うのだがまるで意に介さず飲んでいた。


 そうして昼間から食べて飲んでの歓迎会となり、お爺さんは大分ご機嫌な様子でスヤスヤと眠り、お婆さんの方はおしゃべりするのがとても楽しいといった感じでシャルの昔の話しをしてくれたり、私のこれまでの話しを凄く楽しそうに聞いてくれた。


 話の流れで・・・というよりも、最初から決めていたかのように、私がこちらに滞在する間は、ずっとここに寝泊りして欲しいと言われ、お婆さんが部屋に案内してくれたが、私がリュックからマイ枕を取り出したところいったん驚きの表情をしてから、何か笑いのツボに入ったらしく、とても可笑しそうに笑っていた。


 夕食は元々昼に出そうとしていたらしい手作りの春巻きと具沢山の炒飯が出てきて、結構昼に沢山食べたにも関わらず、あまりにもお婆さんの料理が美味しかったのであっという間に完食した。


「二人ともとても美味しそうに沢山食べてくれるから、とても作りごたえがあって嬉しいわ」


「今日は二人で全力でかけっこしたから、とてもお腹が減ったんだ!かなたは凄く足が速いんだ!」


「まぁ、かけっこをしたの?オホホホホ」


 まるで子供のようで少し恥ずかしかったが、それでも全然嫌な気持ちにはならず、優しそうなお婆さんの笑顔とシャルの笑顔を見ていると何だか幸せな気持ちになった。


 それからしっかりと足を延ばして浸かる事が出来る細長い変わった形の風呂に入って疲れを癒し、風呂上りには美味しい果物を食べて、明日は早速探検家組合に行って師弟登録をしに行って、それから先はあちこち探検に行こうと楽しそうに語るシャルの話しをニコニコしながら聞いて過ごした。


 翌朝、なんとシャルが作ったという美味しい朝ご飯を食べて、シャルはとても張り切った様子で二人で探検家組合へと向かった。


 二人でモルサール流歩方術で進むと、またもや子供達がこちらを見て「すげぇ!モルサールりゅうほほうじゅつだ!」と言って真似したりしていた。


 多分普通の人が普通に歩く3倍以上の速さで進み、およそ15分程度でお目当ての探検家組合の建物に到着した。なかなか大きくて立派な建物だった。


 入ってすぐのホールの左半分には結構多くの人達がいて、3枚ほどある大きな間仕切り壁のような掲示板に貼られている依頼内容を真剣に検討していた。


 私とシャルは右側にある受付窓口にいき、一番空いてる4番目の窓口に行って受付の人に挨拶すると、すぐに「タナカさんですね?」と聞いてきた。


 私は肯定してライセンス証を見せると、すぐに受付の人は別の人を呼び、私とシャルはその人の案内で別の部屋に行くことになった。


 個別応接室と思われる部屋の扉が並ぶ通路で、一番手前の部屋に入ると、しばらく腰かけてお待ちくださいと言われたので、シャルと二人でソファに腰を掛けて待っていると、まず先にお茶を持って来てくれた職員がやってきて、さらにお茶を半分程飲み終わったところで、書類を抱えてきた別の職員が入って来た。


「すいません、どうもお待たせしました、えーと・・・タナカ カナタ様・・・ですね」


 職員は書類の一番上の紙と私の顔を見て頷き、本人確認終了しましたと言った。その紙には以前描いてもらった私の肖像画の写しが描かれていた。


「シャルさんからお話しは伺っております、タナカ様は組合の徒弟制度を活用してシャルさんの師となると伺っておりますが、こちら間違いないでしょうか?」


「はい、間違いありません」


「タナカ様は徒弟制度についてどの程度ご存知でしょうか?」


「あまり詳しくはありません」


「分かりました、では詳しく説明させていただきますね、お時間の方は大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫です」


 そうして組合の職員から徒弟制度について説明を受け、正式な手続きが行われていった。

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