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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第75話

 明けて翌朝、朝食後に建築士と大工の人がやってきて、私がニッキが描いた間取り図を見せると、内装工事だけならば3日程度で完了すると言い、流し台と水洗トイレとお風呂に水を引くための上下水道工事が結構かかりそうだと言い、そこに関しては力仕事に自慢がある私も手伝うと言うと、建築士と大工は私の身体を見てあからさまに眉をひそめたが、ライセンス証を見せた後に私の刀を使って力自慢の大工ではビクともしない刀を片手で軽々と振り回して見せることで納得させた。まさに力ずくで納得させた。


 早速現地に行って建物の状態を確認すると、とても状態が良いのでさらに短期間で出来るかも知れないと言い、すぐに資材置き場に行って木材を運んで来ると言ったので、私も荷物運びを手伝うと言って一緒に同行した。


 建築士は小屋に残って糸で寸法を測るなどの作業を行うので、大工が資材置き場に行くことになったが、もはや馬車だと遅いので私が大工を肩車してモルサール流歩方術で移動することにした。


 大工はかなり驚いたが、門を出る頃には上下幅がほとんどない乗り心地と移動速度に大いに感心し、指を指して進行方向を指し示した。


 道行く人はそんな姿を見て一度は驚いたが、毎日のようにモルサール流歩方術で往復していたので、すぐに「ああ、あの人か」といった様子で通常に戻った。


 20分程度で資材置き場に到着し、大工からは馬並みの速さだと感心され、あの木材とあの角材がいるなと大工が言うそばから私が軽々と持ちあげて肩に担ぎ、大工も周りの人達もビックリした表情をする中、空いてる荷車を見つけた大工があれに乗せて運ぶと言ったのですぐに走っていって資材を乗せて荷車を引っ張って戻り、大工は空いている馬がいないか探してくると言うのを制して私が引いて運ぶと言うと、大工は他にも2人程乗せて連れて行くんだぞ言い、それくらい何でもないと私は答えると、もはや驚きを通り越して呆れた表情になり、とりあえず若手の大工を2人呼んできて結構な量の資材を乗せた荷車の上に座り、2人の若手大工が馬はどこスか?と言う中私が荷車の牽引用の棒を持って進むと2人ともウソでしょ!?と驚愕の表情で声を上げている中、私は飛ばすのでしっかり捕まって資材が落ちないようにして下さい!と言って走り出した。距離が短いのでモルサール流歩方術ではなく、タナカダッシュを決めることにした。ちなみに今命名した。


「通りまぁーす!荷車通りまぁーす!!」


ガラガラガラガラ、ゴトン!!


「うわっ!!」

「もっ!もっと速度を落としてくれ!」


「分かりました!急ぎます!」


「違う!」


ガラガラァーーーッ!!


「わぁーーーっ!!」

「ひえぇーーっ!!」


 そうして15分で館に到着した。


 若干青ざめている顔の大工を降ろし、続けて荷車に乗せて持ってきた資材をどんどん降ろし、驚きの表情で見ていた建築士が木材に糸をあてて計って線を引いて、この通りに切ってくれと大工に対して言ったのだが、言ってる側から私が刀で一刀両断して見せると、大工も建築士もその断面を見て驚愕し、大まかなカットなら私がやるのでそこから先の細かい切削や組み立て作業をやってくれと言うと、もう誰も何も言わなくなり、ただ頷いて黙々と作業を開始した。


 建築士がどんどん木材を測って線を引き、すぐにその通りに私が刀で一刀両断していくので、大まかな木材加工は昼には終わってしまった。


 その後昼休み時間になったので、建築士と大工達も一緒に食堂で昼食を食べることになったが、子供達と祖父母の姿はなかった。恐らくニッキと一緒にどこかで食べているのだろう。


 昼食を食べ終え、食後のお茶を飲みながら休憩している時に、建築士も大工達も超人的な私の働きぶりを興奮気味にリシャールに熱く語った。


「ハハハ、これが上級ライセンスを持つ探検家の戦士というものだよ」


「ハァ~・・・大したもんですなぁ・・・」


 ちなみに今改修している小屋については、私が住むための部屋だという事にしていて、名目としてはハイラル家の護衛隊の人達への剣術指南役としてやってきたということにしているが、午前中までの私の活躍ぶりを目の当たりにして全員完全に信じ切っていた。


 想定を遥かに上回る作業スピードだったため、午後は建築士と一緒に水回りの衛生設備を整えるための作業に取り組んだ。


 折しもかつて窯として使っていたレンガが大量に余っていたのでそれで胸の高さ程の土台を組み、その上に雨水を溜める木のマスを作ることにした。水が足りない時はすぐ近くの井戸から汲み上げた水を入れれば良いのでかなり便利でそこから重力によって流し台や水洗トイレやお風呂に水を供給するのだそうだ。


 私は早速レンガを積んでいったが、まるで疲れを知らず休むことなく動き続けるので、建築士は私が大工に転職しても十分高収入を得ることが出来ると絶賛していた。


 本来のスケジュールではこの作業は4日目あたりからの開始を想定していたのだが、初日でしかも3時のおやつとお茶の休憩までに土台が完成してしまったことに建築士も大工達も目の前の光景が信じられないといった表情をしていた。


 ソフィーリア婦人手作りのクルミ入りシフォンケーキとお茶を大いに堪能すると元気も回復して、その後は排水設備のための穴掘りを開始した。


 この作業も4日以降を想定していたためシャベル等を持って来ておらず、庭園管理の人に用具を貸して欲しいと頼むと自分達も手伝うと言ってくれたが、彼等の目の前でまるでショベルカーのようにザクザク掘り進む私を見て手を出す暇もなかった。


 それでも私が大まかに掘った穴を綺麗にして、花壇などに使うレンガを持ってきて排水路にしていってくれた。


 こうした驚異的作業スピードの結果、全行程完了まで2日半という工期短縮が可能になった。その間建築士と大工達はハイラル家の館に泊まり込みで作業することになり、豪華な部屋での寝泊りと美味しい食事をたっぷり味わう事が出来て、全員人生でそうあることのない貴重な経験に大感激していた。


 彼等のモチベーションは大いにあがり、3日目の午前中には小さいながらもかなり快適に暮らせる小屋が完成した。しかも当初は予定に入れていなかったガラス窓や暖炉なども設けられていて、私は大喜びで大工達と握手をしたが手に力が入り過ぎて悲鳴をあげられてしまった。


 建築完了を祝ってハイラル家に感謝の意を込めた昼食会を開いてもらって、建築士と大工達に大いに喜んでもらって玄関まで見送って、完全に帰りの馬車が見えなくなったのを確認して、私はダッシュでニッキのところに行ったがニッキはおらず、私はすぐにピンと来て離れの小屋に行き先を変更した。


 その読みは正しく、待ちきれなかったニッキ、というよりも子供達の方が待ちきれなかったようで、皆でイザベルを先導して小屋へ向かって行く後姿が見えた。


 私は速度を落として子供達と一緒にとても嬉しそうに小走りで向かっているニッキを後ろから見守りながらゆっくり歩いた。


「わぁ!かくれがみたいでかっこいい!」


「かくれがってなぁに?」


「ひみつのへやのことだよ!」


「ないしょのおへやなの?」


「そうだよ!」


「そうか、ニッキはないしょだからないしょのおへやなのね!」


「えっ?そう・・・だけど・・・そうか、うん、そうだよ!」


「あれなぁに?」


「なんだろう?」


「アメ、ミズ、タメル、ミズ、デテクル」


「ホントだ!水が出てくるよ!」


「雨が降らない時はどうするの?」


「アレ、アナ、ミズ、アル」


「あっそうか!井戸から水を汲むんだ!」


 なんと!ニッキは片言の言葉を話していた!しかもヒアリングの方もちゃんと出来てるようだ!


「凄いねニッキ!3日でそこまでしゃべれるようになったんだ!」


『はい!毎日イザベルちゃんだけじゃなく、他の皆も勉強の合間に言葉を教えてくれました!』


 素晴らしい!なんと素晴らしいんだハイラル家!


 私はニッキがハイラル家の領地に転生してきた事を天に感謝したのであった。

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