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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第21話

 戦士組合を出ると、時刻は間もなく夕暮れ時に差し掛かってきており、ガリクソンは息子のドリクソンを呼んで一緒に夕食を食べたいが、大勢いた方が賑やかで楽しいので皆も参加してくれるかと聞いてきた。もちろん喜んで同意した。


 それならばということで、商人は護衛の人達にも声をかけて、さらに居酒屋の席を抑えておくと言って別れ、私はガリクソンと一緒にドリクソンが通う学校の学生寮へと向かう事にした。


 学生寮と言っても学校の近くにある普通の民家で部屋の空いているところに下宿する形のようで、大抵は子供が成人して巣立った老夫婦が住んでいる家を利用するそうだ。


 程なくしてお目当ての家に到着し、呼び鈴を鳴らすと初老の女性が出てきた。


「まぁガリクソンさん、お久しぶり!」


「おお、セシル婦人、お久しぶりです!息子がいつも世話になっております!」


「おおガリクソン殿、ようこそまいられた」


「おお、ドモルガン殿!ご壮健のようで何より!」


「うん、毎日暇を持て余しておるがこの通り体は元気だ、して、そちらの方が手紙に書かれていた探検家のタナカ殿かな?」


「はい、田中かなたと申します、性が田中で名がかなたです」


「ホウ、東の国の方ですかな」


「はい、日本もしくはジャパンという名の国の出身ですが、ご存知でしょうか?」


「ニホン・・・うーん・・・おい、知ってるか?」

「ニホン・・・うーん、知らないですわねぇ」


「それは相当遠い東の国かも知れませんね」


 と、言いながら玄関にやって来たのは、身長180センチを超える人物で、ガリクソンとユーリヤの面影が見て取れる青年だった。


「おう!ドリクソン!久しぶりだな!また背が伸びたんじゃないか!?」


「うん、着る物のサイズが変わって面倒だよ」


「ワハハハ!そうかそうか!」


 そうして私達は家にあがって軽く老夫婦と歓談してから、居酒屋へと向かった。


 大きな建物の居酒屋に到着すると、奥の個室に案内されて入ったところ、すでにテーブルの上には沢山の美味しそうな料理が並んでいた。


「おお!どれも旨そうだ!」


「あっ!皆さんお久しぶりです!」


「おおドリクソンか!」

「久しぶり!」

「また背が高くなったんじゃないか?」

「背だけじゃなく身体も分厚くなったぞ」

「・・・」


「久しぶりです、ますますガリクソン殿に似てきておりますなぁ、でも目元はやはりユーリヤ殿のように優しい感じですね」


「あっやっぱりそうなんですね、普段鏡など見ないので自分では良く分からないのですが、下宿先の方にも良く言われています」


「おっ!こりゃ旨いぞ!」


 いつの間にか着席して何かの切り身を指で摘まんで口にしていたガリクソンであったが、すぐに私達も着席して乾杯し、大いに食べて飲んで語り合った。


 その後ドリクソンは下宿先へと戻り、私達は今日も商人の仮住まいに泊ることになった。護衛の人達も一緒で、彼等は宿泊費用の代りに護衛の依頼を優先的に引き受けたり、費用も通常料金より安くしているそうで、商人にとっては自宅警備にもなってお互いに得があった。何よりも安心して任せられる間柄というのが最も価値があるとの事だった。


 翌日、こちらの世界で目覚めて14日、つまり2週間が過ぎた日の朝、ガリクソンは木こりの村へ向かう木材運搬専門の運送屋と一緒に村へと戻っていった。


「またいつでも来てくれよ、歓迎するぜ!それと木こり達を救ってくれたお礼は商人から受け取ってくれ、ではまたなタナカ!」


「はい!色々とお世話になりました!」


 そうしてガリクソンは村へ戻っていき、私は探検家組合へと足を運んだ。


 組合に到着すると昨日言われていた通り、組合専属の肖像専門画家によって私の肖像画が描かれたのだが、まるで写真、いや写真を超越してまるで生きて呼吸しているかのような凄すぎる肖像画だった。


 この肖像画は上位ランクの組合員は3年ごとの更新の際に描き直す必要があるとのことで、それによって悪意ある他人のなりすまし等を防ぐ目的もあるとのことだった。ちなみに下位ランクは見習いの画家が描いているそうだ。


 そうして探検家組合の3級組合員の認証プレートをもらって首に掛け、続けて戦士組合に行って認証プレートを受け取って二枚重ねにした。


 その後商人と合流して一緒に昼食をとってから商工組合へと向かい競売の残金を受け取り、一緒に木こり村からの謝礼金とグマンの肉の費用も受け取って、所持金は純金貨35枚となった。昨日組合員の登録費用で純金貨1枚を使ったがその分が戻ってきた感じだ。


 商人からは町で使えるために両替しておくと良いというのと、全ての組合が合同で運営している銀行に預けておくと良いと言われたのでその通りにすることにした。


 とりあえず銀貨5枚と銅貨10枚を丈夫な巾着袋に入れて腰のベルトのポーチにしまった。どうやら銀貨1枚は1万円で銅貨1枚が千円のようで、さらにその下はその地方独特のコインが流通しているそうで、今いる地方はガーランド硬貨というのが使われているそうだ。ガーランド硬貨には1、10、100の三種類があり、大抵どこの地方でもこの単位で硬貨があると教えてもらった。


 また、各地方ごととその時期によって為替相場は変動し、今のガーランドでは銅貨1枚が1300ガーランドになるそうで、結構お得だとのことだった。


 商人からこの後はどうする予定だと聞かれ、しばらくは情報収集のためにこの町に留まろうかと考えていると答えると、よければこのまま商人の借家に宿泊してはどうかと提案された。


 私としてはそれはもう願ってもない提案だったので二つ返事で喜んでその提案を受け入れ、費用は幾らかと聞いたが、商人にとっては頼もしい警備員が増えたというのとそもそも部屋は余っているということで無償で良いとのことだった。


 どうにもこれまで人の世話になりっぱなしで、もちろん嬉しい事ではあるが、そのままというのも居心地が悪いしちゃんと自立した生活を送りたいのでなるべく早く仕事を見つけようと思った。


 とはいえ、完全に記憶不足知識不足経験不足情報不足なので、何はともあれまずは情報を得ることから始めることにした。


 私は全ての組合が共同で管理運営しているという図書館へと赴き、まずは情報収集を開始した。


 図書館のロビーには案内図が描かれていて、驚いたことに何が書いてあるのかが分かった。


 早速探検家のコーナーに行くと真っ先にお目当ての本が置いてあった。それは初心者探検家向けのマニュアルのような教本だった。そんなにボリュームのあるぶ厚い本ではないので、すぐに読み終われそうだったので、私は閲覧コーナーに行って腰かけて教本を読み始めた。


 教本にはまず探検家とはどういうものかという説明から入り、探検家という職業が生まれた背景と探検家組合が誕生した簡単な歴史、探検家になるための素質や必要な知識と技術などが説明され、とても分かりやすかった。


 読み進んでいくと、まだまだこの世界は未知の領域が多いらしく、単純に未開の土地だけでなく洞窟なども数多く存在し、場所によっては宝の宝庫でもあるがそれ以上にとても危険な場所でもあるとのことだった。


 結局のところ探検家というのは要するにサバイバル技術が高い人間だというところに行きつくようだった。


 未開の地を調査し、生き残ってその情報を持ち帰る事が何よりも重要で、そうした情報こそがこの社会の人間にとって極めて高い価値を有するのだと記載されていた。

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