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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第149話

 掘り起こしてしまった八面体は天井に向けて真っすぐにレーザー光線のようなものを照射していたが、それで何かが起こるという事もなく、ただただ真上方向を照らしているだけだった。


 私とシャルがそっと優しく横にして穴から持ち出してみたが、八面体は全く何も反応しなかった。


「かなた兄ちゃん、宇宙人さん死んでるの?」


「分からない・・・でも全く何の反応もないから今は活動を停止しているかも知れない」


「なんでずっと真上を照らしているんだ?」


「・・・もしかして、空に帰りたがってるのかも」


 シャルからの問いに対して私は何となく感じた事を口にした。


「アタイもなんかそんな感じがする」


「オイラもそう思う!」


「キュキュキュ!」


「これは凄い!皆さんには神の想いを感じ取る事が出来るんですね!」


「いや、何となく感じるってだけです、もしかした勘違いかもしれません」


「いえ、その直感は大事だと思います、そもそも普通はそういう想像すら出来ないですから」


 とりあえず外に運んでみようという事になり、私とシャルはそのまま八面体を持って洞窟の外に出る事にした。


 運搬中に特に何事も起こらず無事に洞窟から出ると日の光でレーザー光線はほとんど見えなくなったが、それでもまだ空に向かって照射し続けているのはかろうじて分かった。


 周りを見渡して平らな場所があったので、そこに優しくそっと八面体を横たえてしばらく観察する事にして、いったん私達はその場で腰を下ろしてお茶を飲んでおやつを食べることにした。


 遠くの方からツアー客と思われる10人程度の団体がやってきて、先頭のガイド役と思われる人が何やら説明しながら歩いていた。


 私達もぼんやりとそちらの方を眺めていると、スラちゃんが何かに気付いたようだった。


「キュ?・・・キュキュ!?・・・キュウーッ!」


 スラちゃんは私の胸に飛び込んできて、スラちゃんに触れた瞬間何かが空から近付いてくる!と訴えているのが分かった。


 私はすぐに立ち上がって空を仰ぎ見ると、遥か遥か上空に物凄く小さな点があるのを見つけた。そしてそれは明らかに徐々に近付いてきていた。


「やっ!アレは!アレだ!」(シャル)


「ホントだ!アレはアレだ!」(リュウト)


「アレですか!?アレとは一体何ですか!?」


「ホントだ!アレは魔の森で見た大きな八面体だ!いや・・・アレよりかなりデカイ!」


 ・・・ィン・・・ィィン・・・キィン・・・キィン・・・キイィン・・・キイィン!キイィン!


「うわっ!ホントだ!凄くデカイぞかなた!」


「ホントだぁ!凄い!」


「キュウゥーッ!」


 ツアー旅行のガイドも団体客達も声を上げて驚き、空から降下してくる巨大な八面体を見上げていた。


 巨大八面体は真っすぐ私達の真上から降りてきて、さすがに圧が凄すぎたので後ずさりした。その大きさたるや、優に50メートル以上はありそうで果たして頂点がどこにあるのか分からない程だった。


 相当な威圧を感じながら恐る恐る見守っていると、巨大八面体は地上から5メートル程の高さで静止し、地面に横たえたままの小さな八面体に対して極太のレーザー光線のようなものを照射した。


 巨大八面体の大きな本体によって影が出来ていたからというのもあるが、極太のレーザー光線のような光は日の光の下でもはっきり目で見ることが出来た。


 そうして1分程照射が続いたところでなんと地面に横たえていた小さな八面体が浮上して直立し、小さな金属音を鳴り響かし始めた。


 小さな八面体は私達の近くに来てゆっくりと水平に回転し暖かな色で点滅した。まるで嬉しさを表現しているのかのようだった。


 30秒ほどそうして回転と点滅を繰り返した後、小さな八面体はさらに浮上していき、巨大八面体の真ん中辺りに達すると、巨大八面体がまるで格納庫のハッチをオープンするかのようにしているのが分かり、小さな八面体はその中に入っていった。


 それからゆっくりとハッチは閉まり、今度は巨大八面体が眩いくらいに点滅して、優しい音色の金属音を発した。


 そして3っつの光が照射され一つは私のカタナ、一つはシャルの剣、最後にスラちゃんに注がれた。

 すると私のカタナもシャルの剣もスラちゃんも優しく感じる色に発光して点滅を繰り返した。

 やがて照射が終わると、巨大八面体はまたゆっくりと空に向かって浮上していった。


「行っちゃったね・・・」


「うん・・・って、あっ!スラちゃん大丈夫?体は何ともないかい?」


「キュウ?・・・キュウ~~~・・・キュウ!」


「なんて言ってるんだ?」


「うん、大丈夫だって、ただ前よりも元気になった気がするって言ってるよ」


「かなた、互いに剣を確認してみよう」


「そうだね」


 私はスラちゃんを地面に置いて、鞘からカタナを抜いてみた。


「・・・やっ!なんか前よりも軽くなった!それに力も感じるぞ!」


「・・・ホントだ!なんかこっちまで力がみなぎってくる感じがする!」


「わっ!今アタイの名前を呼んだぞ!シャルってはっきり頭の中に聞こえた!」


『・・・かなた・・・ありがとう・・・』


「ホントだ!しかも有難うって聞こえたよ!」


「アタイもだ!」


「スゲェーッ!かなた兄ちゃんのカタナもシャル姉ちゃんの剣も同じ金属だから仲間なんだよきっと!」


 そうか、リュウトの言う通り実は私のカタナもシャルの剣も金属生命体なのかも知れない、そしてスラちゃんも流体金属生命体だから、何かが共鳴したんじゃないだろうか。


「すっ、素晴らしい!何という大発見だ!タナカ殿!まさしくあなたこそこの世界で一番の探検家だ!生まれて初めてこれ程興奮した事はありませんぞ!まさか天の神が・・・千年以上前に壁画に描かれた存在が本当に実在して、この目で拝む事が出来るとは!」


 ポロントは団体ツアー客達のところに駆け出し、皆さん今のを見ましたか!と大きな声で尋ね、是非とも目撃証言者として探検家組合に来てもらいたいと頼み込んで、団体客達も頷いて同意していた。


 私達は急いで麓の村まで戻ると、ポロントはすぐに速報を簡潔にまとめ、一番速い伝書鳥で大至急町の探検家組合に送るように頼んだ。


 ポロントは私達に明日の朝一番に町へと向かって欲しいと頼んできたが、それよりも今から町へ向かおうと提案した。


「えっ!いいんですか!?私は有難いのですが、皆さんは大変でしょう!?」


「大丈夫だ、飯さえあれば夜通しだって走れるぞ」


「それにもっと飛ばせば夜には到着出来ますよ、ただ荷車から落ちないように気を付けて下さい」


「おお!なんと心強い!ではお言葉に甘えさせていただいても良いですか!」


 そうして私達は食料とおやつを調達して、早速町へと行きの時以上に飛ばして戻ることにした。


 ガタガタ!ゴトン!


「うわっ!」


「おっと!」


 シャルが猛然とダッシュしている荷車の中で、車輪が小さな小石で跳ね上がった際にポロントが落ちそうになったのを私が片手でキャッチした。


「すっすいません!それにしても速い!こんなにも速く走れたんですね!」


「ハハハ!まだこれでも8分くらいだぞ!」


「なんと!」


「全力だと長く走れないからな!」


 そうしてシャルは早馬よりも速いスピードで爆走したが、ほどなくして腹が鳴ってガス欠になり、私と交代した。


「ただ疲れる前に腹が減るんだ、ムシャムシャ・・・ゴクン・・・」


「私の分もどうぞ」


「ありがと!そうだ、まだアタイ達のリュックに町で買った食べ物があるんだった、それも食べよう!」


 そうして燃費の悪い爆走モードでも、交互に交代して燃料補給して走り続け、なんと夜の7時過ぎくらいに町に到着したのだった。

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