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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第144話

 その後、スラちゃんはザンブロワの遺留品を全て職員に渡し、かつての自分と決別した。とても悲しく寂しい事だろうと思いながら見守っていたが、スラちゃんはどこか清々しいようにも見えた。


 職員からは公式発表が行われるまでそのまま留まって欲しいと言われたので私達は貴賓室にて数日程過ごすと、公式な報道発表がなされて各地に緊急号外速報として新聞が送られ、同時に行方不明者の追悼式が城の大ホールにて開催されると発表された。


 さらに数日が過ぎて私達は追悼式に出席し、遺族代表としてザンブロワの両親と直前まで一緒に過ごしていた愛人が弔辞を述べ、それを見ていたスラちゃんは涙を流していた。私もそんなスラちゃんを胸に抱いて涙を流した。


 追悼式はトラブルもなく無事静かに終了し、しばらくの間は亡くなった探検家達の遺留品が陳列されて、大ホールも解放するとの事だった。


 その後私達は城の貴賓室を出て、マチャントの借り屋敷に移動した。


 ギャラガ達は既に戻ってきており、マチャントも含めて今回の件についての真実を全て打ち明けた。その際スラちゃんに触れてあの恐ろしいショキングな映像も皆見ることになった。


「・・・言葉もない・・・」(ギャラガ)


「「「 ・・・ 」」」


「・・・私は・・・私はなんと愚かで浅はかでした、軽々しく魔の森の食べ物を持って来てくださいなどと言っていたのが許せません・・・知らないというのはこうも罪な事なのですね・・・」


「ムルギン・・・頼むからもう無茶な事はしないでくれ・・・」(スナギン)


「ごめん、これまで心配かけたね」


「心配と言えばそろそろ私はハイラル家に帰ろうと思います、皆さん心配しているでしょうしイザベルが寂しがっていると思います」


「そうだね、今回も一緒に来てくれてありがとう」


「いいえ!また何かあったらいつでも呼んでくださいね!」


「アタシ達も南に戻ろうか」


「そうですね!」


「かなた達はどうするの?」


「うーん・・・どうしようか・・・まだ最後まで行ってない北に行こうか、それとも東の果てまで行ってみるか・・・」


「北はこれからますます寒くなるぞ」(ギャラガ)


 グルカンとグルミンもウンウンと頷いた。


「なるほど、それなら東にしようか?」


「賛成!」


「ウム、意義なし!」


「キュウ!」


 リーはマチャントの借り屋敷に留まって、今回の件について絵や記事を書いて新聞社に送り、そのまま新聞社の仕事を手伝って出来れば自立したいとの事で、私達は大いに賛成して応援する事にした。


 そうしてその日の夜は悲しい出来事を忘れて、沢山ご馳走を用意して大いに飲食して語り合った。


 翌朝、朝食を食べた後でまたの再開を約束してそれぞれが向かう方へと進んでいった。


 どうせならこれまでと違うルートで行ってみようということで、真っすぐ東へ向かうのではなく南東方面の道を進む事にした。


「そういえば専門家の人が南東の山奥にある洞窟にも宇宙人の壁画が発見されたって言っていたね」


「確かにそんな事言っていたな」


「行ってみようよ!」


「キュウ!」


「場所までは覚えていないから、次に大きな町に着いたら教えてもらいに行こう」


 そうして私達は南東方向へ向かう事にした。もちろんご当地グルメを楽しむ事優先で、急ぐ旅でもないのでのんびりと景色も楽しみながら進んだ。


「ハハハ!待て!そこのガキども!」


「なんだか久しぶりな感じだ」


「そうだね」


 ちょうどリュウトとスラちゃんは荷車の中で仲良くお昼寝していたので、神の使いが目に入らず、私達はただの少年と少女に見えたようだった。


「そろそろかなたも徒手空拳で相手を殺さずに気絶させる練習をしたらどうだ?」


「うーん・・・まだちょっと怖いなぁ、自分の力加減が・・・」


「即死させなければかなたの手当で治せるだろう」


「うん、問題は手刀でいきなり首チョンパさせちゃったらどうしようっていうのが怖くてさ」


「さすがに手刀で首チョンパはいくらかなたが超人になったとしてもないんじゃないか?せいぜい首の骨を折るぐらいだからなんとか治せると思うぞ」


「それもそうか、じゃあちょっとやってみる」


 そうして私は一歩前に出てニヤニヤと下卑た笑いで近付いてくる盗賊集団に対して徒手空拳で構えた。


「おやぁ~?何かなぁ~?ボクちゃんそれで戦うつもりなのかなぁ~?」


「「「 ウワッハッハッハ!! 」」」


「それじゃあ、おじちゃんも剣じゃなくて素手で戦ってあげないと公平じゃないなぁ~」


「「「 ウワッハッハッハ!! 」」」


 まるでプロレスラーのような筋骨隆々の男と、一応成人しているがどう見てもこの世界の基準では少年のような身体つきの私が対峙し合った。


「そうだ、先に一発殴らせてあげよう、おじちゃんは攻撃しないから先に殴っておいでよ、ホラ、何もしないよ」


「「「 ウワッハッハッハ!! 」」」


 筋骨隆々の男はいかにもわざとらしく腕を後ろに組んでアゴを出して目まで閉じた。


「えっと・・・それじゃあ失礼します」


「ああいいとも、さぁかかってきたまえ」


 私はスタスタと自然に近寄って、前に何度か見たシャルの手刀で相手を気絶させるシーンを思い描いて、まるでガラ空きの相手の首めがけてチョップを威力半分以下で食らわせてみた。ダメならカタナで気絶させればいいかと思った。すると・・・


ゴキン!・・・ドサリ


「あっ、それはいかん」


 シャルが後ろでダメ出しをした。私にも多分今のはダメなやつだというのが分かった。


 私はすぐさましゃがんで倒れた男の首に手を当てて何故か謝罪しながら手当てを行った。男は口から泡を吹いていて白目をむいていた。


「「「・・・」」」ポカーン・・・


「こっ!このヤロウッ!」


ザザッ!


 何が起こったのか理解出来ずにいた盗賊達の中で、何とか声を出した一人に周りもハッと気が付き、他の盗賊達もそれぞれの得物を取り出して構えた。


 私の手当ても大分向上しているようなのと、すぐに手当てを行ったおかげで、男は気絶したままではあるが息を吹き返したので私もすぐにまた戦闘態勢をとった。


「かなた、アタイの傍でよく見てるんだ」


「分かった」


「いくぞ!」


「バカめ!素手で敵うもんかよ!」


「しょうがねぇ!やっちまうぞ!」


 ブンッ、サッ、ドン!


「ぐえっ!」・・・ドサリ


「首を狙えない場合、背中の今の場所も結構効く」


「なるほど」


「ヤロウッ!」


 ヒュンッ!


「おっ、なかなか良い太刀筋だぞお前」


 サッ、ビシィッ!・・・ドサリ


「相手の攻撃と同時に叩くとかなり効果があるぞ、敵の虚を突くというやつだ」


「なるほど!お見事!」


「なっ、なんだコイツら!?」


「油断するな!!」


「わぁ何何何ぃ~!?面白い事になってる~!」


「キュキュキュ~?」


「あっ!アレは!!」


「空飛ぶトカゲ!?」


「知ってるぞ!アレは神様の使いだ!」


「新聞に書いてあったアレか!」


「そうだぞ!オイラは神の使いだぞ!オイラを怒らせたら酷い目に遭うぞ!スウ・・・」


 ンバアァァァァァーーー!!


「「「 ヒャアアアーーー!! 」」」


 リュウトは盛大にブレスを吐いたが、一応誰もいない方向に向かって威嚇射撃をした。


 そして今頃になってシャルはマスクを被って、世直し仮面参上と言った。


 盗賊達は気絶した仲間を背負って逃げ出した。


 私達ならば幾らでも追いつけるが、面倒なのでそのまま見逃すことにした。

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