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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第140話

「実はさ・・・アタシ、本当はあまり長生き出来ない身体だったんだ、多分早ければあと10年も経たずに死んでいたと思う」


「「「 えっ!? 」」」

「キュッ!?」


「うん、ホラ、アタシ大樹海で過ごしてたじゃん?そして色んな毒を調べるのが好きでさ、自分の身体で試したりしてたから、すっかり体中に色んな毒が回ってたんだよね、とりわけ最初の頃は知識も経験も浅かったから適切な量とか分からず試してたんだ」


「何日も熱にうなされたり下痢や嘔吐が止まらなかったり体中が腫れ上がったり、それはもう酷い有様で、アタシよりスナギンの方が気絶したり泣きわめいたりしたもんだよ」


「それから数年経って、時々血を吐いたりうんこじゃなくて血が大量に出ることがあって、少しずつその間隔も短くなっていたんだよ」


「「「 ・・・ゴクリ 」」」

「・・・キュクリ」


「シャルも見たかも知れないけど、アタシの身体のあちこちにあるアザは結構ひどい部分もあったでしょ?とっくに月に一回のアレもなくなってアタシは子供を産めない身体にもなってたんだ」


「ところがさ、皆も知っての通り魔の森で果物とか白キノコを食べた後には体中のアザは消えてなくなってるし身体も凄く調子が良くなったし、月に一回のアレも戻ってきたんだ、しかも全然血を吐くこともなくなったし、おまけに信じられない程超人的な身体になったんだ、これまで見えなかったり聞こえなかったり感じられなかった五感まで凄く向上したんだよ」


「アタイもだ!剣の修行で五感を研ぎ澄ますとかじゃ到底辿り着けない領域に達していると思う!」


「・・・もしかしたら・・・いや、うーん・・・これはアタシのただの想像だけど、魔の森の果物の強い力とアタシの体中に蔓延していた毒が何か作用したのかもしれないって思うんだ」


「キュキュキュ!キュキュキュ!」


「ムッ?オヌシもそうなのか?色んな危険な場所に探検に行って毒だけじゃなく風土病にもかかって、あまり長生きはしなかったかも知れないって?」


「キュキュキュー!」


 まさかここで驚くべき共通点が見いだせるとは思わなかった。まだ推測の域を出ないし到底生きている人間で試すわけにはいかないが、この恐るべき果物は健康な人間にとっては猛毒だが、重病な人間にとっては奇跡の食べ物なのかも知れないのだ。


 私は戻ったら一度詳しく魔の森の食べ物に関する情報を調べてみようと思い、移動を再開した。


 やがて疑似的な太陽が沈みかけてきたので、いったん腰を下ろして休憩する事にして、皆果物を食べたのでそれほど腹は減っていなかったが、ビスケットと干し肉を少し口にすることにした。


「キュキュキュ!キュキュキュ!」


 ザンブロワも食べて、上下にポヨンポヨン飛び跳ねて喜ぶ可愛い姿を見て全員がとても癒された。恐らく久しぶりに人間の食べる物を口にして嬉しかったのだろう。


 そのまま寝ようということになり、久しぶりにリュウトはシルビアのフワフワの胴体の背中に乗って丸くなり、ムルギンもフワフワのシルビアに寄り添って眠り、シャルはモフモフのニッキに抱き着いて眠り、私もシルビアかニッキに抱き着いて眠りたかったが我慢して横になると、ザンブロワが私に近付いてきて、なんとマクラになってくれた。


「えっ?いいの?」

「キュウー」


「じゃ、遠慮なく・・・重かったら言ってね・・・」

 ムニョン


「わぁ、凄く心地良い~最高だ~」

「キュウ~」


 スヤスヤ・・・


 以前魔の森の小屋にあったマクラも素晴らしかったが、それ以上にザンブロワマクラは心地よく、私にとって丁度良い高さと弾力性があり、流体金属のような体なのに柔らかくてヒンヤリもしなかった。そしてすぐに深い眠りについていった。


 キィンキィン・・・キィンキィン・・・


「う~ん・・・ムニャムニャ・・・」


 キィンキィン・・・キィンキィン・・・


「う~ん・・・」


『・・・かなた・・・』


「うん?・・・えっ?」


 ガバッ!


「うわっ!み!みんな起きて!」


「キュウッ!」


 ガバッ!


「やっ!アレは!」


「わっ!アレって!」


「むにゃむにゃ・・・どうしたの~?」


「なになに?あっアレは!」


「前に見たアレみたいです!」


 シルビアの言う通り、目の前には以前魔の森で見た二等辺三角形の八面体が宙に浮いていた。


「ホントだ!でも凄く小さいよ!」


 リュウトの言う通りその八面体は魔の森で見たものよりも大分小さく、高さはおよそ1メートルぐらいで横幅はその半分以下だった。


 キュゥン、キュゥン、キュゥン


 私達が目を覚ましてしっかりそれを見ると音が変化し、明らかに何かを伝えているように感じた。

 するとそれはゆっくりと動き出したので、私達はリュックを背負ってすぐに追いかけた。

 追いかけるとそれは徐々に速度をあげていき、私達も少し速めのモルサール流歩方術で追いかけた。


 私達は本来東側の方に行きたかったのだが、それは中央部分へと向かっていき、私達はいったん東行きは後回しにしてそれに従って進んだ。


 どうやらそれは私とリュウトが降りてきた階段の先の方に向かっており、その先は例の果物がなる背の低い木や泉などがないただの芝生が続いていた。


 そうしてそれを追いかけて進む事およそ1時間が過ぎたあたりで、前方に何か異変があるのが分かり、リュウトが高度をあげて空から確認すると、この先の地面が割れている事が判明した。


 近付くにつれてその様子が明らかになり、地面の裂け目に到着して覗いてみると全員声を上げた。


「なんだこれ!土でも岩でもないぞ!」


 シャルの言う通りで、地面の裂け目の断面は一面銀色に輝く滑らかな金属だった。


 さらに下を覗いてみると10メートル程下には金属の床があり何かの機械のようなものが沢山倒れて散乱しているように見えた。


 超人的な肉体を持つ私達ならばここから飛び降りても大丈夫そうだが、問題は飛び降りた後に戻ってくるにはリーがいないと無理そうだという事だった。


 ロープはそりに置いてきたままだし、ロープを括り付けておく木もないので、どうしたものかと私は考えあぐねていたのだが、床の方から何かがこちらに浮遊してきているのが見えた。


「何かが近付いてきてるぞ!」


 徐々に近づくにつれて、それは平らな鉄板のようなものだというのが分かったが、その鉄板は音もなく静かにそれ単体だけで浮上していた。


「わっ!コレどうやって飛んできたの!?」


「凄い!宇宙人の超テクノロジーだ!」


「てくのろじー?」

「キュキュキュゥー?」


「うん!僕達人間なんかよりも遥かに進んだ科学技術の事だよ!」


「かがく技術?」

「キュキュキュ、キュキュキュ?」


「良く分からんが凄い技術なんだな!」


 まさにシャルのセリフじゃないが、私達地球出身のメンバーにもとても解明できない仕組みでただの鉄板はまるでエレベーターのように浮上して、私達の目の前で停止した。


 キュゥン、キュゥン、キュゥン


「オイラ、多分乗れって言ってるんだと思う!」


 全員リュウトと同意見で、私達はためらいなくどう見てもただの鉄板にしか見えない板の上に乗ると、鉄板はゆっくりと床に向かって降りて行った。


 1分もかからずとても静かに床に着地したので、私達は鉄板から降りて床に移動し、上から見た何かの機械が沢山倒れている場所に向かったが、それらは間近で見ると一つ一つがとても大きな機械だというのが分かった。

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