第132話
さらに翌日、待望のニッキとシルビアが中央都市に到着して、私達が宿泊しているかつてのお城にやってきた。
3人とも対面するなりきゃあきゃあ言って喜び、お互いに可愛いと言い合ってハグした。
とても愛らしくて癒される光景で、リュウトもシャルも一緒にフワフワモフモフ達を抱きしめて喜び、私も物凄く抱きしめたかったが我慢していると、シャルのモルサール八式で心を読まれた。
「かなたも凄くモフモフしたそうだぞ」
「遠慮しなくてもいいですよかなたさん」
「私もいいですよ」
「カナタモイッショニハグシテイイヨ」
私はお言葉に甘えて遠慮なく顔をうずめてモフモフを味わった。
「アハハ!クスグッタイ!」
ニッキとシルビアは久しぶりの心地よい感触で、リーは思った以上にフワフワモフモフで暖かくて柔らかくてまさに羽毛布団のようだった。
「うむ、これまで大分我慢していたようだ」
「そうだね、かなた兄ちゃんこれまで随分我慢してたみたいだ」
「「「 アハハハハハ! 」」」
その後皆で明日に向けて直前リハーサルを行い、一緒に食事を食べて談笑した。
「ムルギンは道中大丈夫だったかい?」
「いや~実に爽快だったよ!これまで経験した事のないような速度を体験してとても楽しかった、でも途中で台車の車輪がバラバラになって放り出されたときはビックリしたなぁ~アハハハハハ!!」
どうやら、シルビアの爆速スピードにこの時代の台車の構造強度が追いつかなく、途中分解してしまったらしい・・・一体どれ程の速度が出ていたのだろう、というよりもそれで無事だったムルギンも凄い。
そうして翌朝、大きな鐘の音と遠くまで響く太鼓の音が鳴り響き、お披露目会の開催が告げられた。
しばらくすると大ホールからファンファーレの音も聞こえてきたので私達も待機所まで移動し、町長達のスピーチの後でいよいよ大ホールへと入場した。
大ホールに入場すると前回よりも少しだけ少ないかなと思ったがそれでも会場をほぼ8割ほど埋め尽くすくらいの大勢の人達が来ていた。
リーは空を飛んでみせたが、どう見ても普通なら失速して飛んでいられないはずのゆったりした速度でまるで重力を無視しているかのように優雅に舞った。
会場内からは拍手が沸き上がり、着地して片方の翼を体の前にして足をかがめてお辞儀するとますます拍手は大きくなった。
それから自己紹介のスピーチが始まったが、シャルからはもう完全にネイティブな発音だと太鼓判を押され、静まり返った場内はリーのスピーチが終わると同時に拍手喝采の嵐に包まれ、同時にましても大きな鐘の音と太鼓の音が鳴り響いた。
その後、ニッキとシルビアも加わって、平穏な生活を送っていることの報告と感謝の意を伝え、さらにその後は世直し活動の報告会へと移り、リュウトもブレスで我々人類に協力してくれた事を強調しつつ、私達の極一級の授与式へと続いた。
今回は北方の町や村からの来訪者が多く、それぞれの代表から感謝の言葉と感謝状が手渡され、その後各組合の中央本部長から極一級の新設と説明がなされ、以前私がドグリアスの穴で採掘した青銀鉱石から作られた美しい青銀プレートに刻まれたライセンス証を授与された。
そうしてお披露目会と極一級授与式は無事終了し、いったん昼食休憩を挟んでから午後のパレードへと移行し、私達は台車に乗って中央都市を廻った。
沿道には大勢の人達で賑わっており、神の使い達は手を振って応え、リーとリュウトはサービスで頭上を飛んで見せた。
城塞都市を出て大通りを行くと、マチャントとギャラガ達がいるのを目にし、グルミンとグルカンが仲良く肩寄せ合ってこちらに手を振っているのを見て、初めて見るグルカンの笑顔に私はとても嬉しくなって大きく手を振った。
特に問題もなくパレードも無事終了し、私達はまたお城の貴賓室に戻ってくつろぎ、この後はディナーパーティーが開催され、明日は新聞などの記者団が訪問してリーに対して色々とインタビューを行って、それが終われば自由解散という段取りだった。
ディナーパーティーでは大人気の神の使い達には悪いが私とシャルはご馳走を食べることに専念した。それでもパーティー終了後にお腹を空かした神の使い達はディナーの残りの料理を全部食べて満足し、料理人達も丹精込めて作った料理がひとつ残らず全て綺麗に食べてもらえたことにとても喜んだ。
翌日、リーへのインタビューが行われ、ますます流暢に話すリーに皆大いに驚きながら感心し、さらにリーが鳥達とコミュニケーションを取ることが出来る能力と自分の足の爪で文字と絵を上手に書く事を披露すると記者団達は大いに驚いた。この場には専属の新聞画家もいて新聞掲載用の絵が描かれていたのだが、その画家も驚くほどの画力で、せっかくなのでリーの描いた絵と文字も掲載するとの事だった。
こうして午後には予定していた行事が全て完了したので私達はいったんマチャントが借りている屋敷へと行くことにした。
ちなみにリシャールから本当は私の館に来て欲しいのですがそれをやると他の貴族達から妬まれて色々と面倒な事になるので今回は残念ですが諦めますという話しを聞いていた。
相変わらず神の使い達は大人気で、神の使い勢ぞろいで大通りを歩いてると人々は手を振り子供たちは後を付いてきて喜び、ニッキもシルビアもリュウトもリーも大喜びだった。
そうして私達は事前に了承を得ていたマチャントの借屋敷に到着した。
「ウオオオー!凄ェ!神様達が勢ぞろいだ!」
屋敷の出入り口付近の庭で素振りをしていたソルドンが真っ先に大声をあげて出迎えてくれたが、盛大に言葉を間違っていた。リー達は神様の使いという事にしているが神様そのものではないのだ。でもまぁその辺りの大雑把さもソルドンらしい。
「こうして間近で見ると圧巻だな」
「まさに神々しい、有難い限りだ」
一緒に剣や弓の練習をしていたギャラガとハンテルもやってきて出迎えてくれた。
すると後ろから良い香りのする沢山の買い物袋を抱えたグルカンとグルミンとスナギンがやってきた。
「おおー凄い!神様の使いが勢ぞろいだ!」
「凄い!こんな間近で神様のお使い様を見られるなんて!ああでもどうかお許しください!皆さんとっても愛らしいです!凄く可愛いです!抱きしめたいくらいです!」
「いいですよ!」
ニッキがそう言ってグルミンに近付いた。
「ムルギン荷物を持ってあげてくれ」
「あいよ」
「あっすいません!」
「いいっていいって、アタシはムルギン、スナギンの従姉だよ」
「わっ、とても綺麗な方なんですね」
「いや~ハハハ照れるね、でも有難う」
そうしてグルミンはニッキとハグして、続いてシルビアやリーともハグをして大満足な表情でしきりに感謝の言葉を言い、そんな様子を見るグルカンの表情はとても穏やかで喜びに満ちていた。
その後仕事を終えたマチャントも戻ってきて全員一緒に大宴会となり、美味しい料理とお酒を飲食して語り合い大いに盛り上がった。
今回リシャールは一人で来ているので半ばお忍びに近い形でマチャントの屋敷に来ており、そんな絶好の機会を逃さないとばかりにマチャントは貴族であるリシャールに話しかけていた。
宴会は夜遅くまで続き、最初にリュウトが眠り、次にニッキも眠くなったのでリシャールと一緒に客室へと行き、続いてシルビアとムルギン、さらにリーとシャル、グルミンとグルカンとスナギン、半ば眠っているソルドンの巨体を重そうに肩車して運ぶハンテル、そしてマチャントも退出していき、最後にギャラガと私だけが残った。大分前にもこんな事があった。
皆がいなくなったのを確認すると、ギャラガは体を私に向き直して頭を下げた。
「タナカ、本当に有難う」
「えっ!?なっ何がです?」
「これまでタナカには色々世話になったが、今回のグルミンの件ではこの上ない程に感謝している、おかげでこれまで固く閉じられていたグルカンの心がようやく少しずつ良い方向に開かれてきている、仲間全員がお前には本当に感謝しているんだ」
「そうですか、私もグルカンさんの優しい笑顔が見れて本当にうれしく思います」
その後も少しギャラガと話しをしてから、私達も解散して自室に戻って休むことにした。




