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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第117話

 私がとうとう打ち明けた報告内容は現時点で極めて秘匿性が高いと判断されたため、会議の場は中央都市の特別な庁舎で行われることになった。


 部外者はもちろん部内の者であっても、許可なく立ち入ることは許されない特別な場所で、前に討伐した鬼怪人の亡骸に加え、特別な力が付与されている宝石などの貴重な品々や、完全に機密情報として扱われている文書なども保管されている極めて厳重に管理されている場所だった。


 その庁舎の最上階にあるホールに私達は案内されたのだが、全ての窓のカーテンは閉められていた。当初は窓のない地下のホールが検討されたのだが、神の使いという人達を地下に案内するのは極めて失礼だという事で最上階に変更された。


 そして都市長に各組合長に生き物に関する専門家達が続々と駆け付けて来て、既に素の状態でホールで待機していたニッキ、シルビア、リュウトを見て誰一人欠けることなく全員仰天した。


 さらに皆人の言葉を流暢に話し、ちゃんとティーカップで行儀よく美味しいお茶を飲んでいるのを見てさらに全員仰天した。


 その様子ときたらしばらく誰も一言も発せられなかった程で、全員この状況をどう理解すれば良いのか全く頭が追いつかず完全に混乱していた。


 さすがにこれは何かこちらから言ってあげないと収拾がつかないと思ったので、私の方から皆に声掛けする事にした。


「え~・・・皆さんお集りのようですので私から報告させていただきます、この三人は西、南、北の地域にいた神様の使いです、元々は地球という別の世界で暮らしていた人間でしたが神様によってこの世界の人間の様子を見て回るように命じられてきました、彼等はこの世界の人達を見守り一緒に仲良く平穏に暮らすことを望んでいます」


 当然半分以上が創作した作り話だが、意外に正解だったりするかもしれなかった。そしてこの話しは事前にニッキ達とも話し合って作っている。


「それでは三人に自己紹介をしてもらいます」


「皆さん初めまして、私はアイニッキ・ヴァウティネンといいます、地球という世界のフィンランドという北の国から来ました、元々病弱で20歳の誕生日を迎えた数日後に死んだのですが、目が覚めるとこの姿で西の王侯貴族連合のハイラル家領地にある山奥の洞窟の中で目を覚ましました」


 呆然としていた書記官はハッと我に返り、自分の仕事に集中専念してニッキの言った言葉を一字一句聞き逃さず漏らさず書き記していった。


 その後シルビアが自己紹介し、さらに続けてリュウトも自己紹介をした。さらに私は以前討伐した大男もどうやら地球から来た邪神の使いだったかも知れないと説明した。


 一通りこちらからの自己紹介と説明が終了したところで、それまで絶句していた人達は今度は堰を切ったかのように一気に様々な疑問質問を投げかけて来た。


 しかし当然のことながら今のところ神の使いでやって来たというのはでっちあげの作り話なので、分からない事は素直に分からないと言い、結構多くの質問について答えてあげることが出来なかった。


 それでも彼等は徐々にこのとんでもない状況に対して理解が追い付いて来て、これはまさに世界がひっくり返る程の一大事だと認識して大いに興奮してきた。


 その後超一流の肖像画家達がやってきて、ニッキとシルビアとリュウトを様々なアングルから極めて精巧でまるで生きているかのような見事な肖像画を次々と描いていった。


 時は夕刻を過ぎていたのでお腹がグウグウ鳴り始めており、すぐに夕食の手配がされたのだが、その際神の使いは何を食べるのかと聞かれたが、普通に人間が美味しいと思う料理ならば何でも好んで食べると答えると、都市長達は自分達人間と同じものを好んで食べる事に安堵して喜び、早速一流料理人の店に注文させるとのことだった。


 後になって聞いた話では都市長や組合長たちは神の使いに対して人間の幼い子供を供物に捧げるなどじゃなくて良かったと安堵したとのことだった。


 程なくして次々と素晴らしい料理の品々が運ばれて来て、有難いことに私達も一緒に食べても良いという事で一流料理人が作った実に美味しい料理を大いに味わう事が出来た。


 その後関係者以外絶対立ち入り禁止の特別厳重警戒のもと、特別な貴賓室をあてがわれたのだが、ニッキ達は一人では落ち着かない上に寂しいということで、ニッキの部屋には私とシャルが、シルビアとリュウトの部屋にはムルギンが一緒に寝泊りすることになった。


 リュウトにとっての最高のベッドは例え最高級貴賓室であってもシルビアの背中の上が一番で、シルビアにとって心落ち着く相手はムルギンなので、この組み合わせになった。


 そうして宿の手配の必要もなく最高級の寝床を確保出来たし、夕食には最高級の料理も堪能出来たということで実に至れり尽くせりの一日になった。


 翌日は別の文官がやってきてやはり様々な質問をされたが、昨日と確実に異なる話しとして、今後ニッキたちが人間社会で活動する事を見越した話しが出てきた。


 非常に重要な神の使いに対して万が一にも害が及ぶような事がないよう、どのように人々に認知してもらうかとか必要な法整備をどうするかなど、さすが文官といった内容について議論された。


 そこでまずはこの中央都市にて、大々的なお披露目の会を執り行い、その模様を各地方の新聞などで号外として伝えるという方針が決まった。


 お披露目会の日時については、各地の豪族達や大きな権力を持つ人達の元に緊急速報の知らせが届いてから中央都市までに来るのに最短でも2週間程はかかるので、それをめどに準備を行う事になったが、ともかくまずは緊急速報の内容をまとめ、速やかに各地方に伝えるべく動き出した。


 しかし困ったことに2週間もの間この厳重警戒区域内で待機というのは、いくら快適な居住環境と豪華な食事が三食付きとはいえどなかなかに退屈で、まだ少年の年頃で色々とこの世界を見て回りたいリュウトなどにとっては殊更退屈だった。


 そこで何か部屋の中でも退屈しのぎになるような事が出来ないか皆で話し合った結果、地球人組にとってはこの世界についてもっと知るべきだという事になり、文化や歴史や文字などについて学ぼうという方針が決定した。リュウトが若干勉強は苦手で退屈しそうだという懸念があったが、それでも今後に必ず役に立つとからいう事で理解してもらった。


 この日は生き物の専門家の人達がやって来たのでその旨伝えたところ、同じ日の午後には文官の人達がやってきて、色々とレクチャーしてくれることになった。文官の人達も私達の提案をとても喜んでくれて積極的に様々な事を教えてくれた。


 私にとってもこれは実に有難い事で、これからこの世界の各地に行った時にも大いに役に立ってくれることだろうと思った。


 リュウトもかすかに記憶に残っていた学校での退屈な授業と違って、文官達が教えてくれるこの世界の様々な事は新鮮でとても面白そうに聞いていた。


 そうして大お披露目会までの役2週間の間、この世界の様々な文化、歴史、習慣、動物、食べ物などの情報を得ることが出来て、実に有意義で有益で充実した日々を送って過ごす事が出来た。


 ちなみにニッキはイザベルが寂しい思いをしないように手紙を書いて送っており、その後ハイラル家全員が大お披露目会に参加するという内容の手紙が返ってきたのでニッキも私も喜んだ。


 その後大お披露目会の開催まであと3日というところで、当日の進行スケジュールと予行演習を行うことになり、ニッキ達は少し緊張しながら担当者からの説明を真剣に聞いていた。


 そしていよいよ大お披露目会当日となった。

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