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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第113話

「アハハハハ!こんにちは!オイラは・・・あれ?何だっけ、オイラの名前・・・アハハハハ!名前忘れちゃった!でも多分アメリカ人だったよ!そうだ!オイラは確かミルウォーキー出身なんだ!ミルウォーキーはウィスコンシン州で一番大きな都市でビールがとても有名なんだよ!って何でこういう事は覚えてるのに自分の名前は思い出せないんだろう・・・不思議だ・・・でも面白い!アハハハハハ!」


「凄いぞかなた・・・この空飛ぶ不思議なトカゲもちきゅうじんなのか?」


「う・・・うん、さすがに今回は凄く驚いた、まさか小さなドラゴンに転生してるとか考えもしなかったよ・・・しかも君も僕と一緒で記憶を失っているんだね、変な事は覚えているって所まで一緒だ」


「お兄ちゃんも記憶がないのか!?アハハハハ!大変だなぁ!」


「凄い凄い!凄いです!小さなドラゴンです!ビックリです!」


「とっても可愛いです!格好も良いですよ!」


「これもシルビアと同じでちきゅうじんの生まれ変わりなの?あとどらごんって何?」


「ドラゴンは想像上の生き物でとても大きくて強くて格好良いんですよ!色んな物語に登場します」


「でもこのどらごんは小さいね、まだちっちゃな子供なのかな?」


「お兄ちゃん!オイラに名前を付けておくれよ!」


「えっ!?今会ったばかりの僕でいいのかい?」


「うん!いいよ!なんかお兄ちゃんはとても優しくて強くて良い人のような気がする!」


「かなたは優しくて強くて良いヤツで面白いぞ!」


「そうですね!」


「そう思います!」


「うん、アタシもそう思うよ!」


「え~と・・・とりあえず小屋に戻るまでに何か良いのを考えるから、まずは僕がこの世界で最初に目覚めた場所に戻ろうと思うんだけど君はそれでも良いかな?」


「お兄ちゃん達の小屋があるのか!?行く行く!それでいいよ!」


「じゃあ行こう!道中君の話しも聞かせて欲しい」


「オーケー!」


「そのおーけーってのはなんかいいな!」


「了解って言うのを親しい感じで言うのに使う感じかな・・・っていうか今気づいたけどシャルとムルギンは彼の言葉が分かるのかい?」


「ウム、分かるぞ!」


「うん、おーけーは分からなかったけど、それ以外はちゃんとうちらの言葉をしゃべってるよ」


「えっ!?皆英語をしゃべってるんじゃないの?」


「あっ、君は僕と同じだ!僕も皆が普通に日本語を話しているように聞こえるし、僕は日本語を話しているつもりなのに、皆にはこの世界の言葉で話しているように聞こえるみたいなんだ」


「お兄ちゃんは日本人なんだね!だから黒髪で黒目なのか!アレ?・・・そういえばオイラは・・・黒人だったような気がする・・・あれ?オイラって男の子だったっけ?女の子だったっけ?どっちだ?・・・アハハハハハ!それも忘れちゃった!まぁどっちでもいいや!今はチビドラゴンだし!」


 彼?彼女?は実に前向きで明るくポジティブな性格で攻撃的な性格でもなく、多分皆も直感的に良い人だと感じているので一緒に行く事には何の抵抗もなかった。


 驚いたことに彼は1年以上前にこの世界で目を覚ましたらしく、魔の森を抜けた先の荒々しい岩山にある洞窟で目を覚ましたとのことだった。


 最初は自分の手足を見て大いに驚いたが、背中に羽があって羽ばたくとあまり速くはないがそれでも自由に空を飛べるのでとても嬉しかったそうだ。


 しかし嬉しくなかったのが食事事情で、気が進まなかったがお腹が物凄く空いていたのでやむを得ず食べたのがサソリで次に食べたのがムカデだった。


 その後移動してようやくヘビやトカゲがいたのでそれを食べたとのことだったが、もっと美味しい物を食べたくて空高く飛んで周りを見回した所、遥か先に緑豊かな森を見つけたのでそこを目指して進んだのだが思っていた以上に遠くて、森の入り口に着くまでに10か月近くかかったそうだ。


 そして森の泉で初めて自分の姿を見て驚くとともに生前大好きだったカプモンに出てくるドラゴンみたいで大いに気に入ったそうだった。彼も大事な記憶がないのにこういう記憶だけは残っている点がとても興味深かった。


 魔の森に入るととても美味しい果物が沢山あったのでようやくこれでまともな食事が出来ると大喜びしたそうで、さらに森の果物を食べたら前よりも身体が丈夫になって凄く嬉しかったそうだ。


 また、岩山から真っ直ぐ魔の森に向かったので、これまで人に会うこともなく、今日初めて人間と会ったそうで、何となく全員良い人に見えたのと英語を話ていたのでとても嬉しくて近づいたようだが、一応最初は用心して姿を消していたそうだ。


 それには皆驚き、どうやって姿を消すのか聞いてみたところ、なんとまさに彼の言う通り彼はまるで光学迷彩のように周りの風景と同化したが、触ってみるとちゃんと彼は存在しており、光にかざして見る角度を色々変えてみると不自然な箇所があるのが分かり、物質的に消えているのではない事が分かった。


 さらに彼も私と同じく、ステータス画面を見ることも人から見られることもなかった。


 その後こちらも自己紹介と簡単ないきさつを話したところ小屋へと到着した。話しをしながらの移動なのでとても早く感じたが、行きは色んな食材を探しながらの移動だったが帰りは寄り道せずに真っ直ぐ帰ったのでその分早く到着したのだった。


「あっ!煙が沢山出てる!お兄ちゃん火事だよ!」


「大丈夫、あれは美味しいお肉を燻製にしている煙なんだよ」


「あっそうなんだね、美味しいお肉食べたいな!」


「お~け~いいよ~、燻製の状態を確認したいから少し食べてみようか」


「やったー!」


 ムルギンは手作りの木製燻製箱を開けて肉の塊を取り出してナイフでカットして内部の状態を確認すると、まるでローストビーフのようになっており、全員唾を飲み込む音と腹の鳴る音がした。


「せっかくだから特性ソースを作ろうか!」


 ムルギンは持参してきた調味料を幾つか取り出してハニーマスタードソースを作り、お好みでつけて食べれるように別のお皿に盛り付けた。


「お肉には長持ちさせるために塩とコショウをまぶしてあるからそのままでも食べれるよ、辛いのが平気な人はこの特性ソースを少し付けて食べると格別に美味しくなること間違いなし!」


「「「わぁー!」」」


 早速分厚いステーキのような肉が豪勢にも一人一枚配られ、まずはそのままひと口ガブリと噛みつくと、燻製された香ばしい香りが鼻を通して脳に送られ、続いて舌からも旨味が脳に送られて、もうそのまま気絶してしまうんじゃないかという位美味しかった。


「うわぁー!うわぁーーーッ!美味しいッ!美味しいよぉーーーッ!ムルギン姉ちゃん!このお肉最高に美味しいよォーッ!美味しくて嬉しくて感動してオイラ泣きそうだよォーッ!スゥー・・・」


ンバァァァァーーーッ!!


 チビドラゴンは感激のあまり口から青白い炎のブレスを吐いた。運よく射線上には誰もいなかったので誰も燃え尽くされて炭化する事はなかった。


「そうだ!君の名前はリュウトっていうのはどう?日本語で龍の人っていう意味で英語に直訳するとドラゴンマンっていう感じになるんだけど」


「リュート?」


「うん、日本語的な発音だとリュウト」


「リュウト・・・リュウト!なんかサッカーのシュートみたいで格好良いね!有難うかなた兄ちゃん!オイラ、リュウトって名前気に入ったよ!」


「良い名前だぞリュウト!」


「うん!有難うシャル姉ちゃん!」


「私も良い名前だと思います!」


「そうですね!格好良いです!」


「良いと思うよ!響きも良いし覚えやすいし個性的だし意味も合っててバッチリだと思う!」


「皆有難う!オイラはリュウト!チビドラゴンのリュウトだ!」


 そうして新たな地球出身の仲間、今は小さいけどドラゴンのリュウトが加わったのだった。

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