第109話
およそ半年ぶりに戻って来た始まりの場所はまったく変わらずそのままの状態だった。普通ならば雑草が生えたりツタなどが絡まったりしてとんでもない事になっているはずなのに一切どこも変わっておらず、私が以前即席で作った粗末な物干し竿もそのままだった。
「やっ!体が軽くなった!」
「アタシもだ!ウソみたいに体が軽くなったよ!」
「確かに私の4っつめの目で見た映像でもとても安全で空気もとても綺麗だというのが分かります!」
「私もここはとても心地が良いと思います、それにここだけ少し優しい温もりを感じます」
「そうか、この場所は守られていたんだ・・・」
「おおーっ!この水凄く美味しいぞ!皆も飲んでみろ!」
「えっ!?ちょっとシャル、いきなり生水を飲むのは危ないよ!」
「大丈夫ですよ、ステータス画面では元気の水って書いてあって毒はないみたいです」
「私のステータス画面にも同じ事書いてあります」
「へぇー!すてーたすがめんって便利だね!でも一応私の方でも調べてみよう」
シルビアは以前大樹海でやっていたように、水質を検査した。
「うん大丈夫だね、驚く程綺麗な水だよ、普通どんなに綺麗な泉の水でも少しくらいは不純物が入っているのにこの水はほとんどない・・・ゴクン、だけど不思議だ、なにか・・・そう、まるでみずみずしい果物を食べた時のような感じがする」
「すてーたすがめんとやらに元気の水って書いてあるからじゃないか?」
「きっとそうです!・・・ゴクン、おいしい!」
「ゴクンゴクン・・・ミネラル成分がいっぱい入っていますね!」
「みねらるせいぶん?」
「身体に良いってことですよ!」
「そうか!さすが元気の水だ!」
「そうだ、途中でシルビアが採ってきた甘い果物を食べてみようよ」
「えっ!?・・・っと、いきなり普通の人が生のまま食べたら死んじゃうんじゃなかったっけ・・・」
「ステータスを調べてみますね」
「私も」
「えーと・・・わっ!凄い!活力の実って書いてあります!」
「ホントだ!基礎体力が大幅に向上するみたいですよ!」
「便利でいいなぁ、僕にもステータス画面が見れると良かったのになぁ・・・」
「どれどれ、ボリボリ・・・ゴクン・・・ウメェーーーッ!!なんだコレーーーッ!!」
「えっホント!?じゃあアタシも!ボリボリ・・・ゴクン・・・ウマァーーーッ!」
バダン!!
二人とも一口咀嚼して飲み込んでから3秒後に仰向けに卒倒昏倒した。
「うわっ!シャル!!シルビア!!」
「きゃー!シャルさん!シルビアさん!」
「えっと待って!・・・大丈夫!二人とも大丈夫!ちゃんと生きてます!」
「ホントだ!良かった・・・あっ二人とも体力のパラメーターが少しずつ上昇してます!」
「えっ!?マジで!?」
「「マジです!!」」
「私も一口もらいます!カプッ、ボリボリ・・・ゴクンッ・・・アマァーイ!美味しいィーッ!・・・でも、私はなんともないですね」
「そうですねニッキの基本ステータスには変化がないみたいです、でも元気は全回復してますね」
「うん、そんなに疲れていなかったけど、それでもちょっとの疲れが全部とれた気がします、元気いっぱいって感じです」
「私もいただきます、ポリポリ・・・コクン・・・ワァーーーッ!アマァーイ!美味しいーッ!それに凄く気分爽快になります!」
「僕も久しぶりに食べてみよう、ボリボリ、ゴクン・・・うん、久しぶりに甘くて美味しい!」
間違いなく確かにとても甘くて美味しかったが、他の皆と違って私の反応は若干薄かった。何度も食べると効果が薄まるんだろうか?
その後スヤスヤと気持ちよさそうに眠っている二人を小屋の中に運んで寝かそうとしたが、前からあったベッドは私がシーツとマクラを持ち出してしまったのでないうえに一人用なので、寝転んだらどちらかが落ちそうだったので、シャルよりも背が高いムルギンをベッドで眠らせ、シャルは持参してきた毛布を床の上に何枚か重ねてその上に寝かせた。
寝るにはまだ早い時間なので、私とニッキとシルビアは小屋の外に出て、それぞれ周辺を散策することにし、私は以前収穫したピンク色の丸い果物を探すことにした。
キキッ!
「うん?」
キキッ!パッ!・・・トンッ!キキーッ!
「あっ!君はあの時の!」
ムササビやモモンガのように、手足を広げると凧のようになって滑空する少し大きいリスのような動物が木の上から滑空して私の肩に乗り、私の頬っぺたに頭をこすりつけてきた。
「ハァ~相変らず癒されるゥ~・・・」
キキィ~・・・
「そうだ、ピンク色の果物を探しているんだけど、どこにあるか分かる?」
キキッ!ピョン!トトト・・・
生き物は肩から飛び降りて素早く移動したので、後を追いかけると数十秒程でほのかに甘い良い香りがしてきて、お目当ての果物がなる木が見えた。
「あった!有難う!」
キキッ!タタタッ!ピョン!
生き物はもう一度私の肩に乗って頭をこすりつけてきたので、私はもう一度癒され気分を味わってからピンク色の果物を5個確保した。
小屋に戻るとニッキとシルビアが既に戻ってきていて、何やら話し合っていた。
キキッ!
「大丈夫、皆優しい僕の友達だよ」
「うん?あっ!タナカさんその生き物は!?」
「うん?わぁ!可愛いィーッ!」
キキッ!
生き物は私の頬っぺたに抱き着いて少し怖がったが森の中に逃げ去る事はなく、ニッキとシルビアをじっと見つめていた。
「ハワワァ~可愛いですねぇ~・・・大丈夫何もしませんよ~友達ですよ~」
「そうです、大丈夫ですよ~、怖くないですよ~」
手をワサワサさせているシルビアが若干怖いかも知れないが二人とも生き物を怖がらせないように優しい声をかけていた。
キキッ!パッ!・・・トンッ!
「わぁー!肩に来てくれたですゥ~!あっ!スリスリしてくれました!嬉しいィ~!」
「わぁ!いいなぁ!」
キキッ!パッ!・・・トンッ!スリスリ・・・
「わぁ~!私の頭の上にも来てくれました!スリスリしてます!嬉しいですゥ~!」
どうやら生き物はニッキとシルビアにも好意を示してくれたようで私も嬉しかった。何よりその光景を見ているだけでも癒された。
その後私とニッキとシルビアはピンク色の果物を一つずつ食べて満足し、眠くなってきたのでそのまま柔らかい芝生の上で横になると、すぐに意識が遠のいていった。
そして翌日・・・
「アハハハハハ・・・」
「イヒヒヒヒヒ・・・」
「眠ってる眠ってる!アハハハハハ!」
「ホントだ眠ってる!三人とも良く眠ってるイヒヒヒヒヒ!」
「アッハッハッハッハッ!」
「イッヒッヒッヒッヒッ!」
「う、う~ん・・・ムニャムニャ・・・何事?」
「やっ!起きた!たなかかなたが起きたぞ!アハハハハハ!」
「ホントだ!起きた起きた!イヒヒヒヒヒヒ!」
ガバッ!
「ちょっ!二人ともどうしたの・・・って、あっ!それは!」
シャルとムルギンの手にはしっかりと白いキノコが握られていて、カサの部分にクッキリとかじった跡がついていた。




