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タナカカナタのカタナ  作者: キクメン


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第100話

 変態貴族のいる館の別館に連れ去られた私とシャルはいよいよ麻袋を縛っていた縄を解かれて、そこで初めて中の様子を伺い知ることになった。


「「オオォーーーッ!」」


「なんだこりゃ!とんでもない上玉だぞ!」


「男の方も凄いぞ!黒目黒髪だ!奥方様もこれはかなりお喜びになるぞ!」


「「イヒヒヒヒヒヒ!!」」


ゾォーーーッ


 私は背筋が寒くなり、いよいよもって涙目になってきた。


「静かにしろ!ボンボルム様がいらしたぞ!」


ガチャリ


「親方様!奥方様!今回はこれまで見たこともないとんでもない上玉が入りましたぜ!」


「ホホウ!まことかそれは?」


「まことでごぜぇますとも!ささ!どうぞご覧になってくだせえ!」


「ココッ、コレは!!フンヌゥーーーッ!!」


「どうです!?とんでもねぇ上玉でしょう!?」


「イヒッ!イヒヒ!イヒヒヒヒ!なんという!なんという美しさ!可憐さ!そして・・・イヒィッヒッヒッヒ!みかけによらず、出てるとこはしっかり出ておるではないか!エヒヒ!エヒヒ!」


「ンマァーーーッ!なんと美しい黒髪!そしてその愛おしい黒目!まぁまぁ怖がらないで、でもその涙に濡れる瞳も素敵よ!ああ今すぐ舐め回してあげたい!ゲヒッ!ゲヒヒヒ!ゲヒヒヒヒヒヒ!」


 いよいよ私は目をつぶって涙が出てきた。私達の目の前には二人の、いや、二頭のブタがいた。いやむしろブタに対して失礼かもしれない程に、人間として腐りきった生き物がいた。


「ママン!男の子の方は後でボクにもたっぷり味わわせてよ!それまで壊しちゃダメだよ!イヒッ!イヒヒヒヒヒ!」


「まぁまぁボンちゃんったら、仕方がないわねぇ、でもそうね、こんな素晴らしい子達は恐らくこの先二度と手に入らないから、大切に可愛がってあげなくてはいけないわね、グフゥーッ、グフゥーッ」


 母親の熱い鼻息が顔にかかり、恐ろしさと嫌悪感で私は目を閉じて顔を逸らした。


「フゥーッ!フゥーッ!もう我慢出来ないわ!さぁいらっしゃい!何も怖くはないのよ、とてもとても気持ちの良い事をしてあげるわ!優しく激しくゲヒッ!ゲヒヒヒ!アァー!もう想像しただけで爆発しそう!」


「さぁ君もボクと一緒に行こう!大丈夫!最初は少し痛いけどすぐに気持ち良くなるよ!君にはボクの赤ちゃんを産ませてあげるよ!イヒッ!イヒィッヒッヒッヒッヒ!」


「あの、すいません親方様・・・」


「んっ!?おお!そうだったね!君達今回は素晴らしい仕事をしたよ!いつもの5倍、いや10倍の報酬を支払おう!私は良い仕事をした者には良い報酬を支払う良き主君だからね!ねっ?ママン!」


「そうね、あなたたちは今回実に素晴らしい仕事をしました、でも10倍は少し高すぎるから7倍にしましょう」


「ハハァッ!有難うごぜぇます!」


「さあさあ、君達はもう行きたまえ!これからこの子達とタップリ仲良くなるんだからね!」


「へい、どうぞゆっくりたっぷりお楽しみくださいませ」


 そうして野盗と護衛は別館の外に出ていったが、護衛のうち二人は扉の前で待機している気配を確実に感じた。そして荷馬車が遠ざかっていく音もしっかり確認した。


 二頭のブタ人間は私とシャルを連れて2階へとあがっていき、二人別々に隣り合った部屋の中へと入った。扉の中に入る前に私とシャルは目を合わせ、頭は動かさず目だけで頷き合った。


 部屋の中はかなり暖かくなっていて、物凄く甘い香りが漂っていた。部屋の真ん中には大き過ぎるベッドがあり、他にも不思議な形の椅子が幾つかあって、手足の部分には革のバンドがついていた。


 ふと壁をみるとムチがかけられており、棚には太くて大きなローソクもたくさんあった。


 いよいよこれまで味わったことのない別種の恐怖が臨界点に達してきたとき、奥の方から扉が開く音が聞こえて何人かこちらにやってきて、私は少し身構えたがすぐに警戒を緩めた。


 部屋に入ってきたのはまだ大人になっていない男子で、恐ろしい事にほぼ全員片足の足首から先がなく、コツコツと木製の義足が床を叩く音が悲しく聞こえていた。しかも最も背の高い男子は左手の手首から先がなかった。


 男子たちは全員死んだ目でブタ女貴族の服を丁寧に脱がしていき、やがてブタ女貴族は黒い艶のある異様で醜悪なビキニ姿になった。


 また、別の男子が手にしたグラスにもう一人別の男子が瓶に入っている酒を注ぎ、ブタ女貴族はグラスを受け取ると一気にあおって飲んで、ゲフゥーッと酷いゲップをした。


「アラ失礼、オホホホホホ!さあ、いらっしゃい、まずはあなたの素敵な身体をわたくしに全て見せてちょうだい!ウフゥーッ!ウフゥーッ!」


 数人の男子が私の近くにきて、私のワンピースをまくりあげた。まだ手首は縛られたままなので、脱いだワンピースはいったん万歳して腕のところで丸められた。


「ンマァーーーッ!!キャアーーーッ!素敵!素敵ヨォォォーーー!あぁーーーッ!なんとしなやかで美しい肉体!ハァーッ!キャアーッ!もう眺めてるだけでイキそうよぉーーーッ!!ジュルリッ!」


 ・・・ダメだ!もう我慢の限界!もうムリ!ごめんシャル!


ガチャリ!


「かなたッ!」


ドヒュッ!ビシィッ!・・・バダン!


「かなた!無事か!何もされてないか!」


「シャルゥ!」


 何が起きたのかというと、私が自分の縄を一瞬で全て引きちぎったのと同時に後ろの扉が開き、電光石火のスピードで移動したシャルがブタ女貴族の首筋に手刀一発で気絶昏倒させたのだった。


「シャルの方こそ何もされなかったかい!?」


「大丈夫だ!一切この身体には指一本触れさせてないぞ!」


 と、見るとシャルはとても布面積の小さい下着姿で、私はすぐに自分のワンピースをシャルに頭からかぶせた。


「キシシシ!あんがと!」


「まずは扉の前の護衛を倒して、すぐに外で火を燃やして合図を送ろう!」


「ヨシ!護衛はアタイがやるから、かなたは火の用意をしてくれ!」


「分かった!」


 死んだ目のままでまるで感情のない人形のように突っ立っていた男の子達は私達を妨害する事も大声で騒ぎ立てることもなくただ私達をじっと見つめていた。


「多分良くないクスリだ」


 シャルが離れ際にはなった悲しい一言は私の心に火を付けた。


 私はすぐに変な形の椅子にブタ女貴族を座らせ、手足を革バンドで固定した。足をM字に広げた実に卑猥な恰好でとても醜悪だった。問題はブタ女貴族の巨漢の体重に耐えられるかどうかだ。


 私は棚にあった太くて大きいローソクを数本手にとってランプを開けて火を移し、ベッドのシーツを腕に巻いて1階に降りると、玄関扉は空いていて既にシャルは二人の護衛を倒していた。私は外に出て扉から少し離れたところでシーツに火をつけた。


 シャルから護衛の剣をもらいうけ、建物の中に戻って椅子を解体して戻りシーツの上に置いて焚火をさらに大きくした。シャルもテーブルを破壊して持ってきて二人でどんどん火をくべた。


 すると何やら遠くの方で大きな笛のような音がして馬の蹄の音も沢山聞こえて来て、いよいよ敵味方入り交えての大騒動が始まったようだった。


 味方が到着するまでの間、何としてもこの動かぬ証拠の場所は私とシャルの二人で死守せねばならなかった。

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