第6話 陽キャ
先頭を歩く190cm近い男が2人に普通体型の男が1人それに見た目がいい女2人
画面越しに「鑑定」を発動してみる
それぞれのLvとステータスが表示されると
『Lv2で身体能力E+だって⁉』
前の大柄な二人の身体能力が俺とは文字通りランクが違った
「身体能力は身長もそうですが、元の運動能力によって大分変わりますからねえ…
ちなみに、現実世界のNBAやNFLのトップだと、最初からD+になるみたいです」
元々なにかスポーツでもやってたのだろうか
そんな事を話している内に5人組は易々とダンジョンを突破していく
ゴブリンやバットは吹き飛ばされ、スライムは燃やされていく
手持ちで最強のライカンですらも前衛2人に削られ、後衛組に止めを刺されていた
普通体型の男は弓使い、女二人はそれぞれ風と炎の魔法を使っているようだ
まずい、このままでは手持ちのライカン2体とゴブリンでは防ぎきれん
全く考えはまとまっていないが、とにかく奥に来ない様にそれとなく誘導しなければ
とりあえずダンジョンの奥らへんで偶然を装い声を掛ける
「あ~はは、こんにちわ~何かこの奥モンスターいっぱいでヤバそうですね~」
我ながら気持ち悪い…しかし何て話掛けていいか分らんし
男女の陽キャグループなんて怖すぎる
「ッザース」
舌打ちされなかった今
俺の気持ち悪いアドバイスなど無視して一行はどんどん奥へと進んでいく
「マズイ…」とりあえず後を付けていくと女の声が聞こえてきた
「なに、今のおっさん笑」
「あの年で冒険者みたいな恰好してるの痛くない?」
陰口と言えど傷付くぜ
俺が傷ついていると道端からゴブリンが飛び出してきたが
喋りながらゴブリンを一瞬で切り捨てる
「やっぱり鉄の剣は切れ味が違うなあ」
「これ高いやつだよね?いつの間にゴールド手に入れたの?」
「あ~なんか大学でオタク集団から貰った」
「なんて?笑」
「なんかオタク達がキャッキャ言いながら喋っててキモかったし、俺らにビビッてる奴らがモンスターと戦うなんて危ないだろ?だから貰ってやったんだよ」
「笑っちまうよ。何言ってるか分かんねーし、手ワタワタさせて震えてるし
思わず殴っちまったよ笑」
「え~、ひどーい笑」
『ひど~い笑』なんていいながら雌の顔してやがる
そういえばそうだったな。学生時代に俺をイジメてた奴はモテるし
「チャラいのとか煙草吸ってる人はヤダな~」って
言ってる女は大体煙草吸ってるチャラいのと付き合ってたよなあ
生物学的にこういうDQNは俺みたいな弱男をボコる事でメスに優秀な雄である事を
アピールしてるらしい
今日ここで俺が殺されてもこいつ等はキモイおっさんが死んだくらいにしか思わないし
せいぜいこいつ等が年喰った時の武勇伝になるくらいだろうな
これまで俺らみたいな弱男から散々奪ってきたんだろ?
「じゃあ、たまには俺が奪う側でもいいよな」