第4話 次への備え
ダンジョンから戻ってきたのは、日が沈む直前だった。
足の傷はまだズキズキするが、ポーションの効果で出血は止まっている。
何より、生きて帰れたという充足感が痛みをごまかしてくれていた。
「おかえりなさいませ、ご主人様。初任務、お疲れ様でした」
出迎えてくれたユリシアは、相変わらず整った顔で無表情。だが、その手にはなぜか――
「……ピザ?」
「ポイントで購入しておきました。初討伐祝いです」
「おお、やるじゃん……!」
「まあ、ご主人様のポイントですけど」
「こいつ…」
ムカつくが、ピザが冷めない内にいただこう
チーズが溶けかかっている1番美味い時間帯は短い
「くうっ…」
ピザはスタンダードなサラミとチーズ、トマトのミックスピザだ
しかし、体を動かした後にサラミの油と塩気のあるチーズたっぷりのピザを食べると体に染みわたっていく
そこにキンキンのコーラを流し込むと、口の中が洗い流され
残る冷たさ、甘さが動いた後の体に心地いい
「ジャンキーな物食べると生きてるって気がするぜぇ…」
あんなに血生臭い戦いをしたあとに、ピザとコーラ。現実味がバグっている。
「一応、他のダンジョン見られた訳ですが、今後はどうされるんですか?」
「聞きたいんだが、他のダンジョンを制服する方法は?また勇者がダンジョンを制覇したらどうなるんだ?」
「ダンジョンの征服方法は、魔王の殺害か、ダンジョンコアと呼ばれる珠の破壊ですね。そこの壁に貼り付いてるのがそれです」
「え?」
「勇者も同様の手順です。ただ、魔王の場合は勢力圏を引き継げますが、そのダンジョンを閉鎖するか、自分の支部として運営するか選べます。勇者が制覇すると、そこは閉鎖されてその分の経験値やレアアイテムがランダムで貰えます」
俺のリアクションは無視で説明が進んでいく
「そうなると、のんびりしてられないな。他のダンジョン制覇した奴がきたら終わりだ」
なので俺は…
SNSアカウントを開設した
『どうも、アラサー勇者としてやっています‼️
初めての方、他の方の冒険について一緒に情報共有出来ればと思います‼️ ※パーティも募集中です。臨時でのお誘いも歓迎!』
「最初にやる事がこれってアラサーなのに現代っ子ですね」
「インターネットくそ野郎なんでな。
それに1人でダンジョン入るのは怖過ぎる」
「リア友とかいないんですか?」
「いない事も無いけど、この年になって『ダンジョン行こうぜ!』は恥ずかしい…」
顔もマスクとメガネで隠していく事にする
「さて、次はダンジョンか…」
ptを見ると、20pt程増えていた
敵のモンスターを倒したときに得られるのは約25%のポイントみたいだな
正直、今はみんな奥まで踏み込んでこないだろうし
ライカンを2体程増やし、今度は少し浅めでうろつかせよう…