第40話 1対1だな
「置いてきぼりにされたみたいだね」
「ひっ…」
魔王の顔は化け物に見えるみたいだが、どんな顔に見えているのやら
ヘル〇ングみたいに「掛かってこい化け物、戦ってやる」とまではさすがに言えないか
「もう、逃げるのもキツイだろう。眷属になるなら命は助けるよ」
しかし、俺の誘いは断られてしまったようだ
足を引きづり怯えながらもスキルを発動させ、武器を構え始める
ポーションの効果か血は止まっているが、削げてしまった部分は完全には元に戻っていないようだ
足を引きづっていても薙刀の有段者なら警戒しなければいけないが、眷属にした後の事を考えると接近戦で力の差を見せておけば色々とスムーズだろう
近接戦を選択し鋼鉄の剣とラウンドシールドを構えながら、身体強化と魔帯纏鎧を重ね掛けし正面から突っ込む
「人馬薙ぎ!!」
足をひきづっているが固有スキルと身体強化の重ね掛けした横薙ぎの一撃
防壁の輪による防御陣を破壊した一撃にラウンドシールドも間に合わず
俺の横腹に直撃する。しかし
『魔帯纏鎧』×『金剛不壊』を発動させた防御力と鋼鉄の鎧に鎖帷子を重ね着し斬撃耐性のあるインナー月影の織衣のお陰で多少の衝撃はあったものの、ダメージはほとんど無い
受け止めた俺は剣を手放しそのまま薙刀ごと体を抑えつけ、金剛不壊を発動する
「なっ!離して!!」
金剛不壊は体が固まることで防御力が大幅に上がるが、同時に動きにくくなるため素早さが大きく下がる
しかし同時に敵に組み付いていれば敵が抵抗してもスキルの副作用がメリットに働き、敵を拘束する事に利用できる
掴まれた手から逃れようともがいて隙が出来た瞬間に金剛不壊を解除し腹部へ一撃を加える
「ぐうっっっ!!」
片膝をつき苦悶の表情を浮かべるが
「悪いな」
容赦せずに2発、3発と叩き込んでいく素人の腹パンでも身体能力とスキルの差でダメージはしっかり通るようだ両膝をつき倒れ込もうした所を
装備で重くなった体を活かし、馬乗りに組み伏せると首と腕を押さえつける
「もう一度聞くぞ、眷属になるか??」
痛みに顔を歪ませながらも意思は固いのか拒否される
やはりボディだけじゃ心までは折れないか
しかしさすがに女の顔面を容赦なく殴れる程俺はイカれていない
一呼吸置き、精一杯悪い顔をしながらお約束の脅しをかける
「そういえば、お前のお仲間はまだダンジョンから出られていないみたいだなあ」
どう受け取っても脅しとしか取れない言葉を投げ掛けると自分を見捨てた仲間でも情があるのか彼女は眷属になる事を選択した




