第39話 対峙
「あ~疲れた~まだ3階層なの??」
「でも今回結構収穫あったよね~」
「オーガも簡単に倒せるようになるって凄くない!!??」
「動画の取れ高も大丈夫そうでしょ??」
「帰りも気を抜かずにいきましょうね」
引き返した陽キャ御一行がワチャワチャしながら帰路についていた
特に苦戦が無かった3階層についたせいか、気を付けていても若干の緩みが伺える
「そうだよね~」
茶化すように勝手に話に参加する
「残鍛迷途」×「ポルタ―ガイスト」×「一夜の名刀」
敵が開けた場所に入ったのをみて
探索の範囲外かと思われる位置から身体強化を全開にして走り込み、スキルを全開にして爆撃を行う
「敵です!!」
感知役の声で全員が準備を整える前に槍の雨が着弾する
ダメージ目的では無い攻撃が集団の足元近くへ着弾し、爆発と共に巻き上がる土煙が煙幕となり連携をする暇を与えない
同時に索敵範囲外から準備していたモンスター達で包囲する
ゴブリンチーフ、キャプテン、ゴブリンスナイパー、インプ、コカトリス、オーク等総勢40体程だ。敵が準備を整える前にインプ、スナイパーの遠距離攻撃を煙幕が晴れる前に打ち込んでいく
一呼吸置くと敵の風魔法で煙幕が晴れて反撃の攻撃が飛んでくる
タンク役がいることもあってか思ったよりもダメージは少ないようだ
敵ながら天晴だが、こっちもダメージが一番の目的ではないからな
遠距離の反撃から敵の前衛が出てこようとするが、そうなると数で勝るこっちも分が悪いからな
「身体強化Lv.3」×「強肩Lv.3」
そろそろ165キロ出せるんじゃないかと思うほどのバフを重ね掛けした投げ槍を行う
「きゃあっっ!!!」
悲鳴と共に敵の主力である薙刀使いの太ももを投げ槍が削り飛ばす
負傷した仲間を陣形の内側に引き込み、治療に人手が取られている間に遠距離攻撃で敵を削っていく。正面から戦えば、オーガなどがいない以上数で勝っていてもこちらが不利だろう
しかしゴブリンチーフやキャプテンにより包囲からの多角的な遠距離攻撃と先手を取った事により敵の足が止まり全て後手後手となっている
と俺が油断した瞬間に大剣使いが身体強化を全開にした素早い動きで包囲が薄くなっていた所へ突っ込み大立ち回りを始める。身体強化とスキルの重ね掛けした威力は凄まじく、1撃でオークとゴブリンが吹き飛ぶ
「おい、こっちだ!!」
突破口を開いた大剣使いが叫ぶが、そうはさせじと再度威力を調整した「一夜」を発動させて陣形の中心へ撃ち込む
何人かが負傷し、再度足が止まる。突破口を維持する為か、陣形から止まった所で大剣使いの足が止まり浮いた駒となる
タンク役を残し、ヴァーミリオンを装備した男と何人かが遠距離攻撃を止めるべく他の魔物の群れへ攻撃を仕掛け、弾幕が薄くなったところで全員が突破口から逃げようとする
だが、足の負傷が完全には治っていないのか薙刀使いは足を引きずって集団から遅れている。それにより集団のスピードが少し遅れ、再度弓矢の雨が降りかかる
奇襲を受けてから落ち着く時間が無い為、敵の混乱と焦りが目に見えるようだ
俺は再度「一夜の名刀」を発動させさっきより大きな爆発を起こし、大きな土煙を発生させる
そして身体強化を発動し、普段より増幅された大声で叫ぶ
「今だ逃げろ!!!」
全員が逃げなくてもいい。油断していた所に奇襲を受け、敵に包囲されている。突破口は既にあり敵からは強力な攻撃を受け続け、視界も悪くなった。今逃げれば助かる確率が高いという理由を用意すればいい
そして1人が逃げると陣形も友情も意味が無くなり、我先にと逃げ出した。「赤信号皆で渡れば怖くない」とでもいうのか、「一番先に逃げたのはあいつだ」という後で使える免罪符が容易されれば人はすぐに楽な方に逃げる
そうして、10人いた集団は居なくなった
足を引きづった薙刀使いを残して




