第3話 勇者ステータス
あれから新たな侵入者は入ってこなかった
「初日だと、皆慎重になってるのかな…」
テレビでは放送されないものの、SNSではその話題で持ちきりだ
「なろう系の時代が来たか!」
「勇者の時代や!」
「魔王ってなんだ?」
「俺んちの隣がダンジョンw」
などの感想に飽きたらず
『ダンジョン入ってみた』などの動画投稿が早速されていた
「中でもスマホ使えるんだな」
「電波は遮断されてますが、撮影自体は普通に出来ますね」
空き地には洞窟のような入口がSNSにアップされていた
どうやら、魔王と勇者のダンジョンの入り口は違うようだ
他のダンジョンに一回行ってみたいな…
自分のスペックを一度確認してみる
【勇者・魔王共通ステータス】
LV.1
身体能力 F
魔力 G
物理耐久 F
魔法耐性 G
【魔王用ステータス】
造命 G
錬成 F
【固有スキル】
・定型創造・錬成
ステータスの基準が分からんが、低いのだけは分かるな
「勇者用のスキルは無しか…この『定型創造・錬成』っていうのは?」
「ポイントで仕様通りの武器やモンスターを錬成するスキルですね。
さっきモンスターを召喚したのがそれです。その内レベルが上がると
獲得出来るスキルが出てきて、ポイントが貰えるので、スキルとステータスにそれぞれ振ってください
取得できる内容については、個人の素質、生まれ育った場所に影響を受けます」
「身体能力ってのも大雑把だな…」
「まあ、速さが上がれば威力も上がるんで、そこの区別が無い感じですね。身体的なスペックは上がっても個人の運動神経によってここは大分発揮できる力に差が出ます」
「なろう系の世界の癖に弱男側に救いが無いんじゃないか?」
「アラサーになっても世の中そんな都合がいいものだと思ってました?」
「勇者と魔王の両方にレベルがあるけど、俺がモンスター倒すとどうなる?」
「救いがあって良かったですね、勇者と魔王してのそれぞれの経験値と、勇者のGに魔王としてのポイントが貰える2重取りです」
相変わらず顔はキレイなのに、口が悪いガキだ
確認すると、勇者はポイントの代わりに、モンスターを倒すと経験値とGも貰えて
様々なアイテムと交換出来るようだ。それも俺は貰えるらしい
【装備一覧】 所持 100G
・皮の鎧(30G)
・銅の剣 (20G)
・銅の槍(50G)
・木の盾(10G)
・ロッド (50G)
・皮の兜(20G)
・鉄の剣 (200G)
・鉄の槍 (500G)
【アイテム一覧】
・ヒールポーション (10G)
・解毒ポーション (10G)
・解麻痺ポーション (10G)
・ハイヒールポーション (50G)
・神酒 (500G)
・リジェ(再生)ポーション (1500G)
「さっきのニート冒険者の持ってた物はドロップ扱いでご主人様の物となりますね」
【ドロップアイテム】
・銅の槍
・銅の剣
・皮の鎧
これは大分助かるな。
浮いたお金で「皮の兜」、「ヒールポーション×2個」、「解毒、解麻痺ポーションを1個づつ」
「ポーションや、使ってない武器はアイテムボックスに収納出来ます」
心の中で念じると、目の前に黒い空間とアイテムボックスの一覧がスマホに表示される
とりあえずはこれで近場のダンジョンに入ってみよう
「私は出れないんで見送りますね〜」
近所のダンジョンに来ると、空き地となっていた箇所に洞窟のような入り口が出来ていた
「怖っ…」
薄暗く、入り組んだ様子だったが、手持ちのスマホで天井と周囲を照らしながら進む
するとトラップスライムらしき影が天井から見えている事に気付く
「やっぱり皆考える事は一緒か…兜も買っといて良かったよ」
すると目の前にゴブリンが3体程現れた。
「うおっ!?」
急いで槍を構える
相手の装備を確認すると、ゴブリンの初期装備である短剣のみだった
周囲を確認しても他の気配は無い
「ガツッ!」
先手必勝、リーチを活かして槍で突き、すぐ引く
すると仲間がやられた隙に飛び込んできたゴブリンに対して横薙ぎをして転ばす
「痛っ!」
残り1匹は懐に入ってくるが、蹴り飛ばした際に
足に短剣が刺さっている
しかし、気にしている場合じゃない
すぐに抜き、足を引きずりながら、蹴ったゴブリンに槍を突く
「ぐちゃっ」
感触も、槍で潰されたゴブリンの顔も最悪だ
しかしそんな事を気にしてはられない
すぐに引き抜き、横なぎで吹き飛ばしたゴブリンに向かう
やはりリーチの差は正義、短剣が全く届かない位置で止めを刺すことが出来た。
「ふう」
一息ついてステータスを確認する
「やっぱりLv.は上がってないか…」
『経験値9獲得 6Gを手に入れた』
ゴブリンの死体をみると短剣が落ちていた
『ゴブリンのナイフ』×3
ドロップアイテムって事になるのかな…
ナイフを見ると、売っても2Gにしかならないらしい
この後もゴブリンを1体、スライムを3体程倒したがレベルは上がらなかった
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