第31話 山車ってなんだっけ
『山車』
大きめの祭りに出てくるあれだ
なんかデカい荷車みたいなのに木の塔が立っていて
その上に人形が立っているやつ
川越は秋祭りで街中を山車が練り歩くらしいが
そっから来ているのかな…
ていうか大仏やら山車やらいい加減にして欲しい
それだったらゴーレムやらドラゴンやら出せよ
剣と魔法のファンタジー体験させろや
…疲れた頭では何も浮かばない為、明日の自分に丸投げする
これも社畜に必須のスキルだ
冬の朝、付けっぱなしのエアコンに喉をやられながら起床する
コンビニパンと牛乳で簡単な朝食を取り
昨日の自分を恨みながら川越魔王の対策を考える
昨日みたステータス値だと
身体能力、物理耐久ともにBだった
もはや何が身体能力かは不明だが
仏僧がいるという事は魔法も使えるのだろう
1対1なら大仏の方が強い事は確かだ
しかし敵は4体。大仏を盾にして遠距離戦をしてもこっちが不利だ
うーむ、正直出たとこ勝負になる可能性が高いか…
悩みながらも本日分のポイントも使い作戦を練る
午前中の早い時間から早速女性陣達とダンジョンへ潜る事とする
今回は川越魔王のではなく、隣のダンジョンだ
集合時に今日の予定と作戦を伝えていたせいか
二人とも顔がこわばっている
正直フォローして好感度を上げたいが
作戦の立案者が俺な以上無駄だろう
領域が1つしか無い魔王のダンジョンは余裕が無いのか
2階層からボアやらグリズリーが出てくる
昨日の反省を活かしたいところだが
そこまでの余裕はまだない。『善良なる隣人』を試しながら
Lv3の魔法で蹴散らしていく
魔力のステータスを上げたおかげか
ある程度の余裕を持って次の階層につく
するとそこには広間があり、魔王と思わしき人物と
ボア、グリズリー、オーク、アーチャーが計40体程いた
なんか魔王の目が怖いんだが…
人の話を聞かなそうなお薬決めてそうな目だ
一応、話合いをしてみるか…
俺の勢力図は見えてるだろうし
「なあ、降伏してくれれば命は奪わ----」
「うるせえええ!!」
魔法と矢が飛んでくる
交渉は決裂だ
防御壁を発生させながら
Lv.3の土魔法で身を隠せる土壁を大量に発生させる
敵のモンスターが近づくまでの間に
ユキの『戦いの唄』で強化された人形達を前線に配置し
俺はポルタ―ガイストを使い槍の雨を降らせて敵を牽制し
ミユが合成魔法を撃つまでの時間を稼いでいく
敵の魔法はLv.2止まりなのか、矢と合わせても脅威を感じない
【焔槍旋嵐】
炎を纏った竜巻の槍が一斉に敵のモンスターに襲い掛かる
動物の断末魔は猛獣でも心にくる物があるな…
若干お腹が減る匂いを出しながら竜巻でミンチにし
炎で敵を焼いていく
「ヒッ…」
敵の魔王は背を向けたがもう遅い
「強肩」の投げ槍で重傷を与え
ポルタ―ガイストで槍の雨を降らして動けなくしてから
「小鬼の頭目」で呼び出したゴブリン達で止めを刺した
さすがにイカれやろうだとしても自分で止めを刺すのは避けたい
ユウト
Lv.16→17
身体能力 D
魔力 D−
物理耐久 E+→D−
魔法耐性 E→E+
【獲得スキル】
強肩Lv.1→Lv.2
眷属:ユキ、ミユ Lv.14→16
身体能力 F+
魔力 D−
物理耐久 E+→D−
魔法耐性 F+→E
【ユキ:獲得スキル】
・土魔法Lv.2→3
獲得固有スキル
『傀儡葬陣』
1日だけ死体を操るスキル(数によって魔力消費量は変動)
【ミユ:獲得スキル】
・クイックリロード Lv.1→2
・治癒魔法 Lv.1
獲得固有スキル
『灼式』
・火属性が強化される
魔王攻略ボーナス
・同田貫
・ユニークスキル 『一夜の名刀』
武器の威力を大幅に上げるが1度使うと1秒後に爆発する
上昇幅、爆発の威力は武器の元の威力に比例する
今回は中々の豊作だ
どうやら、同田貫は魔王の持ち物だったようで
シンプルな形だが、有名な刀の名前だけあって威力は高そうだ
そしてこのユニークスキル
どう考えても俺の今のスキルとの相性が良すぎる
ご都合主義のようだが、ようやく敵と戦える戦力が揃ったような気がする
早目に戦闘が終わったので、川越魔王との戦いに備えて
ホームセンターへと向かう
「ホームセンターの魔王って名前変えます?」
とか銀色の奴がいっていたが無視する
お財布的に痛いが魔力とポイントを消費出来ずに
出来る事があるならやっておくべきだろう
若い女の子2人と一緒に買い出しなんて学生以来だ
2人は楽しそうにしていなかったが
まあ良しとしよう
諸々準備が終わった後はスマホと睨めっこしながら時間を潰す
気合いを入れる為にエナジードリンクを一気飲みする
どう考えても体に悪そうな科学的な味にしつこい甘さ
それが炭酸と冷たさによってグイグイイケてしまうなんて不思議だ
なんて事を考えていると午後7時頃
隣接していたダンジョンが川越魔王の侵略を受け
敗北したと知らせが入った
その瞬間、俺はワープを使い侵攻を開始した




