第2話 最初のモンスターと侵入者
ユリシアに案内され、俺はダンジョンの中を歩いていた。
「……まさか、自分の部屋の下にこんな空間があるなんてな」
「現代日本の建築基準法など、神々の盤には無意味ですからね」
「いや、その理屈で納得できるやつ、何人いるんだよ……」
石畳の通路、壁の松明、天井から垂れる蔦。完全にファンタジー世界だ。地下鉄の駅より広い空間が
自宅の真下にある。
「さあ、ご主人様。まずはダンジョンに配置する“モンスター”を選びましょう」
スマホには「モンスターショップ」とでも呼ぶべきメニューが表示された。
【所持構築ポイント:100】
・スライム(3pt) 総合値 G-
・コウモリ(5pt) 総合値 G
・ゴブリン(5pt) 総合値 G
・トラップスライム(10pt) 総合値 G
・スケルトン(6pt) 総合値 G
・ライカン(40pt) 総合値 F+
・グリズリー(120pt) 総合値 C
「予算……少なっ」
「最初の支給ですから。ダンジョンを守って実績を上げれば、毎朝の支給ポイントも増加しますよ」
「なるほどね。まずは実績ってことか」
「あと、通知の所を見て下さい。初回ログインボーナスの300ptが出ます。」
「まんまスマホゲーじゃん…」
よく調べると
【モンスター用武器】
・銅剣 3pt
・銅槍 5pt
・竹槍 1pt
・木の盾 2pt
・弓 5pt
・矢(10本) 2pt
・鉄の剣 30pt
・鉄の槍 50pt
【建築関係】
・階層増加(初回限定0pt)
・模様替え(1pt〜)
・壁 (5pt〜)
【トラップ関係】
・落とし穴(60pt)
・トラバサミ(60pt)
・ 回転扉(30pt)
・地雷(100pt)
【食事】
・おにぎり (1pt)
・ピザ (3pt)
・水 (1pt)
・てりやきバーガー(2pt)
・コーラ (1pt)
「食べ物もあんの?」
「勇者側には知られてないんですけど、魔王側は一定範囲から出られないんですよ。魔王側は引きこもりやらニートが主なんで、そんなに問題は無さそうですが」
「スライムの能力は?」
「粘液が刺激性の為、目に入ると危ないですね。それ以外は雑魚です。ちなみに服とかは溶けません。」
俺の事なんだと思ってんだ…
「えー、悩むなあ…」
「あと、入ってきた勇者を屈服させると、『眷属』と言って魔王の配下にする事が出来ます」
「なるほどね~」
「ちなみに、もう勇者側は侵攻出来るんで、早くしないといきなり鉢合わせになりますよ?」
「最初に言えよ!」
「階層も広いんで、モンスターの数ケチると素通りでここまで来ちゃうかもしれないですね〜」
とりあえず、階層を増やして、2フロアに
罠は高いし、都合良く踏んでくれなそうだから、とりあえずいいかな
「とりあえずモンスターは、トラップスライムを10体に、コウモリを10体
ライカン3体にゴブリンを20体で」
これで一応少し残しとくか…
「了解しました。配置場所はどうします?」
「入口付近にスライムの群れ、トラップスライムは……分かれ道にさしかかる所で各所に配置」
ゴブリンは分かれ道の先に2~3体でそれぞれに配置
ライカンは奥の方に1体設置で残りは俺の護衛
コウモリは飛び回るみたいだから、野生に任せよう
配置が完了すると、青白い粘体のスライムがぬるりと姿を現した。
「おお……ゲームでしか見たことないけど、意外とリアルで可愛いな」
「ご主人様、あまり油断しないでくださいね。目に入ると最悪失明しますので」
「笑顔で怖いこと言うなよ!」
設置が終わり、ようやく一息ついたそのとき。
警告音のような効果音が、空間に響いた。
《警告:不正侵入を検知しました。勇者ランク:F、単独侵入》
「もう来たのかよ!? 早くない!?」
「都内は人が多いとはいえ、確かに早いですねえ…」
画面に映し出されたのは、槍と剣を持った小太り、部屋着の上に皮の鎧を纏った男性だった
「これで勇者…?」
ユリシアが無表情で淡々と答えた。
「誰であろうと、肩書きは勇者です。おそらく、引き篭もり無職の自分に「ついになろう系主人公になれるチャンス‼️とでも思って勇み足で入ってきたんでしょうね」
「なんで引き篭もりの心理に詳しいだよ…」
スライムを見つけるや否や、画面の中の男性は槍を持って
「……うわ、意外と冷静に戦ってる」
槍さばきは素人っぽく、明らかに運動不足ではあるが、ゲームやアニメの知識からか、スライムの弱点である“魔核”にしっかり狙いをつけている。
剣じゃなく、リーチがある槍を持ってるのも賢いな。
スライムを倒した後、嬉しそうにスマホを確認しているが、表情が曇る
「さすがに、これじゃあレベルはあがりませんよ」
尚も男性が進んでいくと、分かれ道に配置したゴブリンの姿を発見し、槍を構えた
すると天井に張り付いていたトラップスライムが、ずるりと降下。
「ふふ、引っかかりましたね」
ユリシアがわずかに口角を上げる。
ぺちょん!
男性の頭部をスライムが覆うと
「あ、ああああああ‼️目が、目が‼️」
ムスカの様に転がる男性、狙い通りに無抵抗となった男性はそのままゴブリンの餌食となった
中々グロそうだったので画面を消していたが
――5分くらい経つと警告が切り替わる。
《捕食成功。吸収報酬:60ポイント獲得》
男性の姿が消えた
「捕食?」
「ダンジョンに食べられたって意味ですね」
「人が死んだってのに実感が湧かないもんだな…」
「相手が美少女だったら罪悪感も出るかもしれませんね」
こいつ...
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