第21話 偵察
「ん~、どうしよう」
昨日の俺は今日の俺に全部ぶん投げて寝てしまったようだ
さすがに全部人任せはどうかと自分ながら思うよ
急速に勢力を広げてきている埼玉県川越市と板橋区の魔王
直近で対処すべきは板橋区の魔王だろう。単純に俺の住んでる埼玉県朝霞市に近い
しかも都民ならもっと都心に行くべきなのに、埼玉の方に進んでいる
敵ダンジョンへのワープが1日1回なら、明後日にでもこのダンジョンに来るだろう
余っているポイントを振り、「視覚共有」を取得した俺は
ゴブリンとライカンを数体、今日侵略されるであろう隣のダンジョンへ派遣した。更に明日、明後日は侵略の恐れがある為俺のダンジョンに居てもらうように女性陣へと伝達する
「後は、負けた時に靴を舐める練習でもしておこうかな…」
と現実逃避をしたくなるが、こんな事を考えていても仕方がないので
朝霞市の隣にある志木市のダンジョンに潜る事にした
板橋区の魔王のダンジョンに潜ろうかと思ったが、主力と鉢合わせなんてのはごめんだ。偵察隊の結果を待つことにしよう
志木市のダンジョンでは1人だった事もあり、2Fまで探索して帰る事にした
運営側がランダムにアイテムを置いてくれている話は本当だったようで
ポーション複数個と効果付きの武器を手に入れた
「懐毒の小刀」
効果:傷を負わせた敵に『毒』を付与する
「でも毒耐性って安いんだよなあ…」
正直、実験する度胸が無いので毒の効果の程が不明だが完全に防げないなら
嫌がらせ程度の効果はあることを信じよう
今のところ敵の情報は無い為、対策の幅を増やす為に、今日のポイントは温存することにした
「あと出来る事か…靴舐める練習しか思いつかねえ」
思考停止になってしまいそうだったが、舌技には自信があった事を思い出す
自分の使っても損が無い資源と言えば、魔力だろう
今日使い切っても明日には回復する。俺は土魔法の地形変形能力を使って、最終フロアにあたる広間に落とし穴を複数個設置して竹やりを突き刺していく
魔力を使い切った俺は1日の疲れを癒すべく、風呂上りにポテチと炭酸をつまんでいたところ
視覚共有を発動していたライカン達の観た光景が頭に流れ込んできた
流れてきた映像は…大量のオークとダンジョンを闊歩する巨大な大仏だった




