第20話 ダンジョン改装
4階に着くと意外にも2人が待ってくれていた。本気で心配そうな顔をしていて
「ちょっとは仲良くなれたかな…」と感動したが、俺が死んだらこいつ等も道連れだったことを思い出す
魔力ポーションとハイポーションをがぶ飲みして回復してから
慎重にダンジョンを脱出する。本日はこれで解散となった。
お金的にはほぼマイナスだが、Lv的には大儲けだ
帰りがけにスマホを確認すると、川越市と板橋区で他の魔王同士の戦いがあったらしい
「こっちにも他の魔王からの侵攻ありましたよ」
「え、そうなの?」
相変わらず「報・連・相」が出来ないやつだ
聞くところによると、ゴブリン数匹とライカン1体だったとのことで1F途中で全滅したそうだ
「そういえば、視覚共有みたいなスキル出てきてたな…」
俺がダンジョンに行った方が早そうだけど、取っといた方がいいな
明日は警戒も兼ねて家にいる事にした
朝起きると、もはや日課になっているモンスター召喚を行う事にする
今日はインプやら、中型のモンスターの召喚を中心に行っていき
召喚が終わるとルールの確認を行っていく
最近ルール変更多すぎて頭が全然追い付いていない
「ダンジョン内に侵入者が滞在するだけでポイントが貰えるのか…」
まあ、単純に勇者を殺さないとポイント貰えない仕様はきついからなあ
1つ案を思い付いたがアラサー男性の感性では難しいな
午後にユキを呼び出し、協力を仰ぐ事にしよう
昼食はコンビニの冷凍パスタで済ませる。味のクオリティは年々上がってはいるが、それに比例する様に値段も上がり、反比例して量が減っていくのに悲しみを感じる
「おまたせしました~」
欠伸をしながらユキがやってくる
昨日はハードな1日だったし、疲れが残っているのか俺との距離感が近くなってきているのか。それとも朝まで彼氏と疲れる事をしていたのか、気になるが詮索はしない。誰も幸せにならないからだ。しかし、この年になっても「誰々とやったぜ!」という下の報告はダメージがデカいのはなぜだろう…
余計な雑念を振り払いながら、アレコレこうして欲しいと伝える
「私、こういうの結構得意かもしれないです」
ニッコリと笑いながら微笑むその笑顔、眩しすぎるぜ。この子のあんな顔やこんな顔を知っている彼氏が羨ましい
打ち合わせをしながら作業を行うこと1時間後…
Before
薄暗く湿気がこもった狭いダンジョン、現れるのは醜いゴブリン達
after
なんという事でしょう。あの薄暗かったダンジョンから一転、青い空と白い雲。見渡す限りの草原と草花、明るく木漏れ日が差し込む神秘的な森。醜いゴブリン達の代わりにいるのは、妖精を思わせる神秘的な小人達
「おお、思ったよりクオリティが高い…」
そう、やりたかったのは「SNS映えダンジョン」だ
この年になってSNS映えなんぞ意識するとは…
まあ、失敗しても大したダメージは無いし、人生はトライ&エラーよ
何でもやってみよう。でも理にかなっているとは思う。そもそも、誰もが大した報酬も無しに命懸けのダンジョンに入ってきてくれるとは思わない。それだったら降って沸いた「剣と魔法のファンタジー」に気軽に触れてみたいと思う気持ちを利用するのはありだろう
今日はダラダラする日と決めているので、ダンジョンを改装した後は
SNSに「鋼鉄の槍」や「防壁の腕輪」などを載せて終わりにする
寝る前に一応スマホをチェックすると
川越と板橋区の魔王の征服したダンジョンがまた増えていた
「ペース早くね…?」




