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デートしようか!

超久しぶりの更新です。

部活も終わったし、大学入試以外は好きなことして過ごしたいです。

もっと読んでもらうためにはどうしたらいいんでしょうか?

「………んぁ?」


 俺は背中に痛みを感じながら体を起こす。


 イタタ…。どこだ?ここ。

 俺って死んだんじゃなかったっけ。


 俺はやたらデカいベッドで眠っていた。

 俺が下に目線を落とすと、昨日の美少女がすやすやと寝息を立てていた。


「…っ。雄介(ゆうすけ)、おはよ」


「お?うん…ここは?」


「私の家だよ?昨日、気を失った時に連れてきたの。感謝してよね?」


 誰のせいだよ!とは思ってるけど、口が裂けてもそんな事は言えません。だってこの女、サイコだもん…。

 ひとまず、ここは女子の部屋ということだ。やばぁい、緊張してきた。

 ベッドには大きなくまのぬいぐるみがある。部屋は女の子の部屋っぽい装飾がしてある。白い机は本などが散乱していて、生活感がある。積み上がった本に刺さっているのは昨日見た、血で出来たナイフ。


 ………"倉咲(くらさき)の部屋"ですね。

 俺の緊張はなくなりました。


「でもなんで俺を連れてきたの?信用できないって言ってたじゃんか」


 俺は気を紛らわせるために言った。

 倉咲は右上をぎらっと見て、考え込んだ。


「ん〜、何でだろうね。でも君なら信用できると思ったの」


「………あ、そう」


 俺は釈然としないまま、返事をした。

 倉咲はじっと俺の顔を見てくる。


「え?なに?」


「ん、ああ!なんでもないの!」


 おかしな奴だ。

 この"ゲーム"してる奴はこんなのばっかなのか?

 逆に俺みたいなのがレアケースと言えるのかもしれない。


 倉咲は「よいしょっ」と言って腰を上げる。


「さてと、ご飯食べよ?」


「へ?」




***




 美味しかったです。

 ごちそうさま。倉咲さん。

 俺が満足して手を合わせていると、倉咲は立ち上がった。そして、向かいに座っている俺に近づいてくる。


「あ、あの?」


 平静を装っているが、心臓の音がうるさい。


 怖ぇし、かわいいし、なんか良い匂いするし、ん?待て。そんな嫌じゃない?


 倉咲はスマホを取って、俺に手渡してきた。

 俺が呆けた顔をしていると倉咲は言った。


「ほら、"ゲーム"のこと!知りたいんでしょ!はやく開いて!」


「ああー、そういう…」


「…?なんだと思ったの?」


「………なんでもない」


 …言えるわけないよね。だって怖いもん…。


 俺は"ゲーム"を開いて倉咲の指示通り、ヘルプを開く。20分後に俺はヘルプを読み終わった。


「終わった?どう?」


「理解はできたよ。ただポイントの価値がわからないな」


「なら少し行こうか?"スラッシュ"とのバトルで貰ったポイントと私と戦った時に移動したポイントがユースケの銀行口座に入ってるはずだよ?」


 俺の銀行口座に勝手に金が入る?

 え?そんなの入力してない。

 一体どうやって…?


 倉咲は俺の顔を覗き込んで、ニヤニヤと口元を緩めた。


「大丈夫だよ、このゲームにバグはない、ポイント使わない限り勝手に減らないよ」


 倉咲さん。そーゆーことを心配してるんじゃなくて。

 俺は引き()った笑いを浮かべることしかできなかった。


「せっかくならデートしようか!準備してくるね?」


 俺は倉咲の言葉に首を傾げる。

 俺は着替えてきた倉咲に手を引かれて外へ出ていく。


「あ、あの倉咲?」


 俺がそう言うと、倉咲の動きがピタッと止まる。そしてゆっくりと振り向き、俺を睨んだ。


「その呼び方、イヤ」


 へ?何を言っているんだ?小娘。


「え?」


「だからその呼び方!下の名前も知ってるでしょ!?」


 俺は人と関わるのが苦手である。それが女性ともなるとなおさら。

 まして、倉咲ほどの顔の整っている女性には目を見ることすらもままならない。

 名前で呼べ。なんて、イジメですか?イジメですよね?通報しておきます。

 俺は倉咲の凄まじい勢いに負けた。


「わかった……しゅ、朱季(しゅき)


 俺がそう言うと、朱季の表情はパァっと明るくなり、満足そうに首を縦に振った。

 そういう顔をされると勘違いしそうだから、やめてほしい。俺だって男だ。こんな綺麗な人を目の前にすれば、下心も湧く。

 朱季は俺の手を放して、向き直って歩き始めた。

 俺は握られて温かくなった手の行き場を無くした。俺の手はふらふらと周りを彷徨い、髪の方へと昇ってくる。髪をわしゃわしゃと掻いて熱を誤魔化した。

 朱季の家は都内のタワーマンションの最上階だった。

 見た感じ、俺と朱季の年齢はあまり変わらない。それでもひとりでこんな家に住めるということはそれだけ多くの人間を殺したということなのだろう。

 エレベーターに乗り込み、ボタンを押すとゆっくりとドアが閉まった。エレベーターは浮遊感を感じさせて、俺たちを下へ引きずっていく。

 ちーん。ドアが開いて、俺は朱季の後ろをついていく。


 ポケットの中でスマホが震える。

 俺がスマホを取り出して、通知を見ると…。


「ゲームから?イベント通知って」


「え、雄介にもイベント通知来たの?」


 イベントは年に1から2回ほどしかない。そのイベントが来月にあるようだ。

 イベントには全員が参加できるわけではなく、ゲームの運営側が決めた200人が参加できる。


 始めて1週間しか経っていない俺が選ばれた。

 運営の悪意を感じる。

 運営の奴ら、呪ってやる。


「え、俺にも?」


「うん!私もそのイベント通知が来たよ」


 そう言って、朱季は自分のスマホ画面を見せる。俺は急いで朱季の手を取る。

 朱季は顔を真っ赤にして、俺の顔を見ている。


「…?どした?」


「いや手…なに?」


 俺が視線を落として、ガッツリと手を握っていることを自覚した。パッと手を放して慌てて口を開いた。


「あ!いや、ごめん。嫌だったよな!」


「…に…じゃない。」


 朱季がぼそりと呟くが俺には聞き取れなかった。聞き直したが、「なんでもない」と返されてしまった。


「…でどうしたの?」


 朱季はいつもの調子を取り戻して、歩き出した。嫌われてはいないようだ。


「あぁ、そのイベント中だけでもいいから俺と組んでくれ」


「え?逆に組まないの?」


 俺は「え?」と聞き返す。どうやら朱季は最初からそのつもりだったようだ。朱季は俺に笑いかけた。


「私とチームを組んでよ?」


「チームって、クランか?」


 朱季は頷く。クランはゲーム内でのチームのことだ。このゲームではクランを設立することの難易度が高いらしい。クランの人数制限やクランでどのような方針でゲームをしていくか。などの厳格な条件に準じることでようやっとクランとして認められるらしい。


「それ、俺で良いのか?」


 満面の笑顔が俺に向けられる。やはり美人はズルいと思う。

 俺たちはショッピングモールへ入り、洋服店へと向かっていく。


「これ、どう?」


 朱季はオフショルダーのトップスを手に取り、俺に見せてくる。


「……似合ってる」


「ほんと?」


「あぁ、すごい。きれいだ。」


 俺が言うと、朱季は頬を赤らめた。

 朱季は手に持っているトップスで顔を隠す。


「じゃあこれ買ってくる…!」


 朱季は浮かれた様子でレジへ向かう。

 なにをそんなに、はしゃいでいるのだろうか?

 俺みたいな男とデートしていてなにを楽しんでいるんだ。あの美人。


 クランを設立してほしい。

 朱季に言われたが、それにはメンバーが足らない。俺にはこのゲームをやっている友達がいない。周りにいるなら、メンバー集めも簡単なのだろうが………。


「あれ?でも太一って………。」


 俺にゲームの招待メッセージを送ってきている。少なくとも太一は知っていたということになる。太一。どこにいったんだ?


「しかし、まぁ…。」


 そんなことよりも重要なことはイベントがあるにも関わらず、俺はまともに能力が使えていないということだ。

 俺が放った"スラッシュ"の能力も使えるようになった感覚はない。

 口元を押さえていた俺が正面を向くと、きょとん顔をした朱季が立っていた。


「どうしたの?考え事?」


「うん、俺の能力がわからないってことはイベントの勝敗に大きく関わってくると思う」


「大丈夫だよ!だって雄介は私に勝ってるからね!」


 朱季の励ましに俺は微笑んだ。


「ありがとう!このイベント生き残ろうな?」


 朱季はパァッと明るい顔をして俺の手を取った。

 勘違いするからそういうのやめてほしい…。


「………アンタら」


 スタジアムジャンパーを着ている男が俺たちに近寄りながら、話しかけてきた。

 ちょっと!俺たち付き合ってないです!嫉妬はやめて!!


「アンタ、朱季だろ?そいつがお前の男か?」


 朱季を知っている。

 しかし朱季の顔を見る限り面識はないらしい。

 俺はこの男がゲームのプレイヤーということを瞬時に察する。


「全然違う!なんだお前!?」


 俺が男に向かって言うと、男はニヤッと笑った。


「俺は佐藤(さとう)祐磨(ゆうま)。ゲームのプレイヤー…だ?」


 祐磨の話す表情が少しずつ固くなる。祐磨の視線は俺の隣へと向かっている。俺は朱季の方へ目をやる。

 朱季は目をぱっちりと開き、俺を睨んでいた。


「え?」

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