鐘がなる、いつもの時間
教室の窓側の隅の席、いわゆる主人公席に座っているのは桐里 綴。高校2年生である。
昼休みを告げる予鈴が鳴る。この40分間は億劫な時間だ。
近頃はだいぶ涼しくなったな、夏も終わりか、、、
一人っていうのも悪くはない。秋風に触れることもできる。セーラー服はなびき、少し肌寒ささえも感じる。
隅で一人で弁当を食べ、趣味である音楽を聞く。 それがいつもの日常だ。
そして適当に授業をこなし、家に帰り、趣味の音楽鑑賞をして、一日を終える。彩りなんてない。
昔はバンドをやっていた。転校前はこれでも軽音部で音楽に携わっていた。
だが今は少し距離をおいている。ギターは埃を被り、心なしか寂しそうに思える。
だからといって、音楽が嫌いになっているわけではない。いまでも音楽は大好きだ。
最近はハマっている弾き語りのライブを永遠に聞いている。やはり聞いていて気持ちがいい。
澄んだような美しい声、力強いギターの音色。その奏でられる音一つずつに、まるで精があるかのように感じる。とくに高音域の歌声が聞いていて心地よい。
クラスメイトにはこの趣味やもともとギターをやっていたことはいっていない。
認識は教室の隅にいてずっとイヤホンしてる無口でやばいヤツとしか考えられない。
「ねえキミ、ちょっといいかな」
振り返ると、 目が大きくショートヘアの似合う可愛げのある女子が私の聞いている動画を覗き込んでいた。
転校直後を除いて初めて声をかけられた瞬間である。(よっしゃあ!声かけてくれた!)私は内心喜びながら、話の続きを聞く。
「この弾き語りいいよね〜私もファンなの!」
どうやらおなじ趣味を持つ者同士らしい。一応形式的な自己紹介をする。
「私、刈山麻音。よろしくね!」
案外トントン拍子で会話は進んだ。一応のコミュ力は残っていたらしい。
記念すべき転向後初友達の誕生だ。それも趣味の音楽関係でだ。
心のなかで空白だった私の楽譜に音部記号が刻まれ、新しい物語が始まった。
はじめて小説を書きました。まだまだ荒削りですがよろしくお願いします!
更新頻度は週2.3回で900字程度を一話として書いていきたいと思います。
お時間あるときに見ていただけると幸いです。