コード88「拍手喝采と友人から」
第88話
前回、皆無事にゴールしたところから
拍手喝采。
予選が無事に終わる。
カナリーはエリナのもとに向かう。
「あの!大丈夫でしたか!?無事に意識が戻って良かった!エリナさん?って名前なんですね!」
カナリーは張り出された魔術スクリーンを見上げながら
ニコニコとエリナに笑顔を向ける。
「エリナって私の事でしょうか?私、どうしてここに居るのか、自分のことも分からなくて。」
エリナはモンギィ・レクスとカナリーからの雷を受け、
雷の魔力を手に入れたと同時に記憶がなくなっていた。
「え…!もしかして記憶が…!?えっと…どうしよう!ここじゃなんだし、とりあえず控室に行きましょう!」
カナリーとリーナ、エリナの3名は控室へと向かう。
その様子を見ていたマナも席を立ち、控室へと向かった。
「これにて!サマーデュエル、スペルマラソンは終了いたします!また後日、サマーデュエル本選を開催いたします!詳しくはまた明日ご説明させていただきます!2日間長い間ありがとうございました!ラフィー・ルンルーナでした!もう一度、ラフィー・ルンルーナでした~!明日も解説に回りますので、覚えて帰ってくださ~い!お疲れさまでした~!」
控室にて
カナリーはエリナの話を聞いていた。
「私、何も記憶が無くて…。起きたら、あなたが視界にありましたね。助けていただいたのでしょうか。申し訳ないです。」
困った。記憶が無くなるだなんて思いもしなかった。
あの暴走したお猿さんに殺されるよりかはマシだと思った。
それでも、カナリーは自分のせいだと認識する。
「申し訳ございません。私がもっとちゃんと守っていれば、ごめんなさい!」
エリナもまた困っている。
そんな様子をリーナは黙って聞いていた。
(空中で見てたけど、どっちが悪いとか本当はないんだけどな…。強いて言うなら、オレスティエ中の魔物らをビビらせたあのドラゴンが全部悪いんじゃね?うん、それだわ。ベアトリクスさん、討伐出来たのかな。また話聞いてみたいな。)等とリーナは考えていた。
そこへ、マナも入ってくる。
「マスター!無事でなによりでした。そちらの方、エリナ様というのですね。初めまして。マリナ・アステライト、マナとお呼びください。中継で全て見ていました。災難でしたね。その…記憶の事も。」
しばらく、沈黙が場を満たす。
沈黙に耐えられなかったのはエリナだった。
「あの、顔を上げてください。私は大丈夫です。身体的にはなんともありません。記憶が無いというだけなので…。でも、きっと私を救ってくださったのですね。なんとなくわかります。命の恩人なのですね。本当にありがとうございます。カナリーさん。」
エリナはほんの少しの笑顔を向ける。
「カナリーさん、私は貴方に救われたも同然です。私にできることがあるのなら、何でも言ってください。」
エリナは礼儀正しく、片膝をつき、胸に手を置きながら、カナリーに向け
信頼を寄せた。
記憶のないエリナにとっては、初めて視界に入った人物。
手を伸ばし、助けようとしてくれた人物。
既に、命を救ってくれた恩人。
信頼を寄せるのに、十分な理由がそこにはあった。
エリナは記憶が無くなり、新たな人格が生まれている。
そのせいか、礼儀作法や身のこなし方が以前と大きく変わっていたのだった。
「そんな…!私は出来る事をしただけで…。それでしたら、私とお友達になってくれませんか!それが私の願いです。記憶を取り戻すお手伝いもさせてください。元はと言えば、私のせいのようなものでもありますので…!こんな形になってしまったこと申し訳ございません。」
エリナはそんなカナリーの言葉に対して、
深い感謝の気持ちが湧き上がってくる。
この方のお言葉は不思議と優しく感じられ
どこか心地良い。
マナはカナリーを見つめる。
「謝らないでください。あなたは私にとっての命の恩人なのですから。あなたのそのいたたまれない気持ちがあるのでしたら、私は喜んで友人になります。なりたいです。これからよろしくお願いいたします。」
こうして、エリナ・シャアトレスタと知り合い、友人となった。
フェニやケーシィ達とも合流する。
「カナリーさん!無事でしたか!心配で心配で…!本当に良かった…。」
ケーシィはカナリーの無事を喜ぶ。
「…言いたいことはたくさんある。でも、今はただこうさせて欲しい。無事でなにより。おかえり。」
フェニは、カナリーを抱きしめていた。
「あはは…苦しいよ。でも心配してくれてありがとう。」
衛星都市サテリッズの外壁
「ん?なんだあれ?」
超高速で走ってくる長槍を持った小さな女の子が走ってくる。
門番らの目の前で止まった。砂埃が立ち上がる。
「通して欲しい。私は、あー…メイド。アステライト家のメイドなんだ。」
しかし、なかなか通してくれそうに無かった。
「身分を証明出来る物は携帯していますか?例えば、ロードベルト民カードか、魔術士カード等。その他、それらを持つ者の同伴など…」
ベアトリクスは困り果てた。
「分かりました。では、オービット魔術学園、女子寮、寮母のアミルダへ確認を取って欲しい。私の名前はリベラ・ミクストだ。」
門番は通信魔具にて、学園へ連絡。
女子寮へ繋いでもらい、確認が取れた。
「はい。確認が取れましたので、通行を許可します。もし今後もこのようなことがあるのでしたら、身分証明カードの発行をお願いします。では。」
ベアトリクスは大きな槍を背中に背負いながらサテリッズへ、皆の元へ戻った。
カナリーの声には不思議な力があるようですね。
どこか優しくて、柔らかくて心地良い。
エリナという仲間が増えました。
カナリーを通して皆とも友達となります。
1人だった彼女には頼もしい仲間達ができました。
ベアトリクスさんがリベラだと名乗ったのには、
自分は過去の人物。魔剣ノ魔女の名は通っていないが
そう言った方が都合が良かったからですね。
ちなみにルナリアへはまだバレていませんね。
そもそも、リーダーのみがリベラの名前を知っており、
構成員らは、R・Mというコードネームしか分かっていません。
ただし、それはリベラにのみ限ったこと。
リーナの事はルナリア構成員の多くの者が知っている。
つまり、本選へ行ってはいけなかったわけですね。
ルナリアに捕捉されるのも時間の問題です。
どうなるのでしょうか。
第88話、読んでいただきありがとうございます。




