コード74「ケーシィのプライド」
第74話
前回、ケーシィとランニングした後から
ケーシィとカナリーの組手が始まる。
ケーシィは深呼吸をし、カナリーは準備運動をする。
「では、初めですから、魔術の使用は禁止で、魔力操作はあり、どちらかが地面に倒れれば終わりでよろしいですわね?」
マナは少し考えた。
「魔力も無しでやってみましょうか。投げ技などで、体を地面に倒す。に変更しましょう。完全な接近戦のみです。」
カナリーとケーシィはそれに了承した。
マナは限界値までカナリーの魔力を抑え込んだ。
カナリー、魔力出力0.003。
「では、初め!」
ケーシィがまず、ジグザグに移動する。
魔力を一切使っていないのに、かなり早い。
アッパーが繰り出される。
カナリーは身を後ろに傾けそれを避ける。
「ふん!」
足で思い切り踏み込む。
砂埃が立ち上る。
カナリーはそのままケーシィの肩を掴もうとする。
ケーシィは気配察知でそれを躱した。
(一度体勢を立て直さないと。)
後ろにジャンプし、ケーシィは様子を見ようとする。
「やぁ~!」
カナリーが殴りかかる。
ケーシィはそれを足で止めようとした。
が、カナリーは寸止めし、フェイントする。
(このまま、回し蹴りを…!)
だが、足をカナリーに掴まれてしまう。
「ぐるぐる~!」
カナリーがケーシィの足を掴み、ぐるぐると回転し、
投げ飛ばした。が、空中で体勢を立て直し、着地。
(あっぶなかったですわ…!立て直してなければ、木に当たるところでしたわ…。)
「おお~!ケーシィさんすごい!それなら…。」
カナリーは地面を蹴り、ケーシィのお腹に飛び込んだ。
頭突きし、クリーンヒット。そのまま抱きかかえようとしたところで、
マナに制止された。
ケーシィは気絶していた。
「マスター、ケーシィ様の骨が折れてないか等、状態を確認しますね。」
マナによるとケーシィさんの骨は折れていなかった。
良かった。
「マスター、魔力を扱わない状態での、動きはどうでしたか?いつもと何か変わりましたでしょうか?」
そういえば、変わっていなかった。
「特に変わってなかったよ。いつも通りかな?あ、でも加速は無かったかも?」
魔力のほぼ全てを制限していたのにも関わらず、
いつもと変わらない様子で動いていました。
格闘技術に関しては置いておいて。
「マスターの体ってどうなってるんですか?スキルで見てみてもよろしいでしょうか?」
カナリーは体を抱きかかえ、
「それは…ちょっと恥ずかしいからやだ。」
神秘です。魔力操作無しにも関わらずあの動きが出来るだなんて。
魔術や魔力を使用してきて、身体もそれに耐えうるように変わっていったのでしょうか。
しばらくすると、ケーシィが目を覚ました。
「はっ!カナリーさんは!?」
カナリーはケーシィに膝を貸しており、
木の根元の影で休ませていた。
「起きましたか?お腹のとこ、すみませんでした。ケーシィさんの動き、とてもかっこよかったです!」
マナが回復をかけていたおかげで、ケーシィが起きてから痛みはなかったという。
「悔しいですわ…またやりましょう!今度は魔術もありですわよ!」
(もっと強くなりたいですわ…。カナリーさん、あなたの隣で一緒に戦いたいです。)
ケーシィは力を渇望していた。
「ケーシィ様、少しよろしいでしょうか?」
ケーシィは顔を上げる。
「ケーシィ様の動きから、ライジェル流を覚えました。知らない技までは再現不可能ですが、ケーシィ様の出せる技と、構えから、全て理解出来ましたので、ケーシィ様にそれを伝えることは可能です。どうなされますか?」
え、そんなことが可能なんですの?
マナさん…本当にこのお二人はすごいですわね…
わたくしの持っていないものを、わたくしが欲しいものを
このお二人は持ってらっしゃる。
羨ましい限りですわ。
これを本来は受けるべきなのでしょうね。
でも…。変なプライドが邪魔をしますわ…。
「少し、考えてもよろしくて?ちょっといきなりすぎて、混乱していますわ。」
きっと、マナさんは善意から言ってくださっているのでしょうね。
あぁ、羨ましい。
この感情はきっと良くないものですわね。
「お気持ちはありがたいですけれど…。」
そこまで言うと、リーナが動きやすい服装で出て来た。
「お~やってるやってる。私もま~ぜて。」
リーナは遠距離系の魔術使い。
接近戦などは本来の得意としない部分なのだろう。
以前、授業で魔力球や、魔力矢で戦っているのを見た。
ケーシィはそんなことをぼんやりと考えた。
リーナとマナが組手を始める。
マナは新しく覚えたライジェル流を上手く使い、立ち回る。
一方のリーナはというと、
「ふっふっふ~そんな硬い動きじゃ…!あれ?」
リーナは柔術でマナを組み伏せた。
いつもなら、引っかからないのに。
「あれ、マナさん?本気出してる?いつもなら、私が投げ飛ばされてるのに。」
ケーシィは気が付いた。
あの動きは、ケーシィの動きそのものだった。
体の重心も少し傾いている。
自分だけじゃそれに気が付くことが出来なかった。
マナはそれを気付かせるために、あえてケーシィの動きをした。
(プライドだとか言ってられませんわね。)
ケーシィは自身の頬を両手でパチンと叩いた。
何か吹っ切れた様子だった。
「マナさん、わたくしを弟子にしてくださいまし!」
マナとカナリーはにこやかにしていた。
「え?マナさん?本気出して?」
リーナはマナに少し不満そうだった。
リーナはその後、本気を出したマナにボコボコにされていました。
ケーシィの心境も分からなくないですよね。
流派として学んでいなかった者が急に出来るようになって
教えてもらうだなんて、ある程度プライドのある人なら傷付いてしまいます。
それでも、強くなりたいと願うケーシィはプライドなんか関係なく、
教えてもらうことになりましたね。
ケーシィは強い女性になっていきます。
カナリーの魔力を限界まで引き下げる事により、
一般人(より少し強いくらい)にまで下げる事が出来ました。
第74話、読んでいただきありがとうございます。




