コード71「期末試験:実技試験」
第71話
前回、輝鳥歴についてと、試験が始まったところから
ソロモリア・オーディウスの魔術が行使される。
レンガが宙に浮き、カナリーへと射出される。
カナリーは魔術を使わず魔力でそれを防御。
「カナリー・アステライトさん、魔術で防御してください。次それやったら減点対象ですからね。」
実技試験では防御も魔術を使用しなければならないらしい。
「すみません!次はちゃんと使用します!お願いします!」
モリアが手をかざし、風を切る動作をした。
カナリーは何も見えなかった。だが何かが来ると察知する。
魔力之魔術<スペル・魔破片>
魔破片を剣のような扇子のように生成。防御した。
「なるほど、防がれてしまいましたね。では、次はそちらから撃ち込んできてください。」
カナリーは次は攻撃に転じることになった。
魔素之魔術<スペル・魔空針>
モリアへ向け、指で鉄砲の形を作る。空中に魔空針が生成され、発射した。
期末試験だったため、マナが事前に魔力制限をかけていた為、ほぼ最低威力で発射する。
「通常防御魔術<スペル・魔力膜障壁>。ん?」
モリアは障壁を生成。しかしその障壁は破壊され貫通する。モリアは少し焦っていた。
「軌道変質魔術<スペル・反射変質>。」
カナリーの放った魔空針が上に反射された。
演習場の天井に穴が開いた。
変質反射はボロボロになり無数の針が刺さっていた。
「まさか、変質反射を使わされるなんて。カナリー・アステライトさん合格です。」
その場で合格を言い渡された。
(最初に見た魔術は見たことのない魔術だった。でも針の方の魔術は、"あの子"の魔術に似ていたね。)
「では、次、マリナ・アステライトさん、前へ。」
マナがすぐ後ろに立っていた。
びっくりした。気配が無かったから。
「はい。エルフの先生。私も実技試験をお願いします。」
今度はモリアからマナに向け先制攻撃を行った。
「物体変質魔術<スペル・組換変質>。」
モリアがレンガを2つ持ち、それが重なり、斧へと変質される。マナに向け射出された。
マナの新しい魔術が発動される。
割込巻戻魔術<スペル・小戻球魔>
マナが斧の側面に手で触れる。
斧が2つのレンガに戻された。
モリアは驚きを隠せずにいた。
防御や破壊ではなく、元に戻す魔術を使われるとは。
小戻球魔
マナの発動した新たな魔術。小戻球魔は掌に極小の小さな球を生成。
変質された斧をレンガに巻き戻したのである。
ただし、これは掌の小さな球に当てなければならず、
マナの手から離れるとすぐに球が消えてしまう為、
直接手で触らなければ効果が発揮しないものとなっている。
現時点では、生物以外の物質を数秒前に巻き戻す魔術である。
「ふむ、なるほど。マリナ・アステライトさん、合格です。」
学園長のモリアでさえ、マナの魔術の原理を理解することが出来なかった。
ケーシィさんも、期末試験を受けており、無事に突破。
「こんなんじゃ、ダメですわ…。あの鬼の人にはこんなんじゃ勝てません…。もっと、強くならなくては。」
しかし本人はまだまだ納得のできる動きではなかったらしい
リルフ君も、先生を樹木で絡めとり、突破。
あとは筆記試験なども合算して、
期末試験の合否を待つだけである。
そんなこんなで、期末試験は全員突破することが出来た。
前半期、終業式を迎えた。
「え~、みんな。怪我のないようにサマーバケーションを楽しんでください。」
ソロモリア・オーディウスの一言だけのスピーチを聞き、
課題を確認した後、学生寮へ戻った。
リベラさんとリーナさんは1週間ほどの補講を受け終わり、
そして、サマーバケーションがやってきた。
「やった~~!サマーバケーションだ~!夏!青春!いっぱい楽しむぞ~!」
カナリーとリーナは大はしゃぎ。
マナとリベラはその様子を後ろから微笑む。
モニカさんは、モリアさんのお手伝いなどをしているらしく、
少しだけ忙しそうにしていた。
「あ、そうだ!旅行だったよね!何人で行く?私、マナ、リベラさん、リーナさん、ケーシィさんにリルフ君、それから…お姉ちゃん!」
フェニ・アステライトには、まだリベラとリーナを紹介していないため、
それも兼ねて、旅行のメンバーに姉を組み込んだ。
合計、7人での旅行となった。
「旅行は8ムーン中間ほどなので、まだまだ先ですね。その間にも、夏のサマースペルフェス、通称、SSFが8ムーン中にあるのでイベントは盛沢山ですね。」
小戻球魔
かなり強い魔術ですね。ただし、今のところは維持が難しく、
掌から離れるとすぐに消えてしまいます。
術式もかなり複雑化されており、
マナが独自に経験から、巻き戻す力を解析し、
魔術に転用したわけですね。
さすがとしか言えません。
サマー編が始まります。
想定ではかなり長いですが、
大まかに見ればというだけで、
あまり深く考えずに読んで頂ければ幸いです。
夏休みの間に起こる多くの話というくらいに考えて頂ければなと思います。
第71話、読んでいただきありがとうございます。




