コード70「輝鳥歴についてと試験」
第70話
前回、花畑編が終わってから
私の名前は、カナリー・アステライトです。
今は、期末試験へ向けて猛勉強中です。
喫茶店バリーシュタインにて、モニカさんに勉強を見てもらっています。
「あ、そこの公式間違えてる。そこは~…」
ほんのりと初夏を感じるくらいの暑さ
もう少ししたらサマーバケーション。通称、夏休みが始まります。
「輝鳥歴の成り立ちは覚えてる?必ずと言っていいほど試験に出るからここは抑えておいてね!」
氷の入ったグラスには、トロピカルドリンク。
ストローで、喉を潤します。たまに、氷がからんと鳴る音が
暑くなってきた体に響き渡ります。
「はい~~、頑張ります…。」
マナ捜索に時間を費やしていたなど言い訳にしかならない。
ちゃんと講義を聞いていれば…。
「輝鳥歴というのはね、ある王様が亡くなってから始まった年号なんだよ。」
昔々、あるところに世界の王様が居ました。
その王様は皆の事を愛し、この世界を愛していました。
しかし、その王様は消えていなくなってしまいました。
死んでしまったと言われています。
王様の突然の死。
世界中は大パニックとなりました。
大きな墓地庭園も作られました。
世界中の皆も王様が大好きだったのです。
その王様は、輝鳥様と言われていました。
輝く鳥のように、そのお姿は凛としていて、
誰もが目を奪われているような女性でした。
しかし、何故かそのお顔を覚えている者は誰一人として居ませんでした。
そんな彼女の事を世界の皆はもう二度と忘れたくないと、
新たな年号を、『輝鳥歴』としたのです。
「まあ、その輝鳥様が居なくなったことで、内乱や、クーデター。その他諸々色んな事があって、輝鳥歴の始まりから数年は慌ただしくしていたみたいだよ。あ、ちなみに、今の王様は聖白様ね。」
モニカさんの教え方はとても優しく丁寧に教えてくれるから、頭に入りやすい。
「輝鳥様…そんなに皆に愛された人、どんな人なんだろう~!そうなると、輝鳥歴の前って何歴だったんですか?気になってきました。期末試験に出るでしょうか?」
輝鳥歴が始まって224年。前の時代ももちろんあっただろうとカナリーは推測する。
「あるよ。でも、期末試験に出るかな…。まあ、一応言っておくね。輝鳥歴の前は…」
すると、勢いよくバリシュのドアが開いた。 (喫茶店バリーシュタインの略)
リーナが息を切らせながらそこに居た。
「カナリー様、折り入って相談したいことが。というか、ご報告があります。」
なんだろうと、カナリーはペンを置く。モニカもリーナの方を見る。
「実は…。」
皆が見守っている。グラスの中の氷がからんと音が鳴る。
「くじ引きで団体旅行券が当たりました~!みんなで旅行に行けます!行きたいです!行きましょう!?」
リーナがくじ引きで当たりを引いてきたらしく、団体の旅行券を手に持っていた。
カナリーの顔が輝くように笑顔になる。
「わぁ~~~!え、旅行!?ほんとに!?リーナさんすごい~!」
「カナリーちゃん、待って。その前に期末試験。あるよね?それを乗り越えなきゃダメだよ。」
モニカさんが期末試験の事について言及する。
カナリーの顔がみるみるしょんぼり顔に変わっていった。
「う…それなら、マナやリベラさん、リーナさんだって…期末試験あるよ…。」
しかし、人選を間違えた。
「マナちゃんの成績はトップクラス。何も教えることが無いほどにね。リベラさんとリーナちゃんはそもそも編入組。サマーバケーション中に補講で代用されるの。」
リーナは補講がある事を知らなかった。
「え」
リーナの顔も、カナリーと同じようなしょんぼり顔になってしまった。
「2人とも…。ふふっ、私もサポートするから、頑張ろう!ね?旅行は全部終わってから!」
「うぅ…はーい。頑張ります!」
期末試験をとりあえず頑張らないといけない。
そういえば、マナの姿が見えない。どこだろうか。
一方その頃
マナは1人、作業室で何かに向かって作業をしていた。
そして夕暮れ時になり、
「んー、これくらいなら。うん、カナリーちゃん頑張ってる!これならきっと大丈夫だよ!」
モニカさんと模擬試験を行っており、合格ラインを見極め、
OKを貰っていた。
「じゃあ、うちらは帰りますか~。モニカさん、本日もありがとうございます。さ、カナリー様一緒に帰ろう~。」
そして、期末試験
筆記、調合、実技の3つの試験が3日に分かれている。
1日目
筆記に関しては、魔術式や国の歴史等
モニカさんから教えてもらっていた為、割と手ごたえを感じた。
2日目
調合に関しては、カナリーの苦手とする科目であり、
毎回調合の際にフラスコを爆発させてしまっていた。
モニカと猛特訓し、なんとか合格ラインギリギリに到達することが出来ていた。
恐らく、きっと大丈夫。
3日目
実技、先生と魔術の撃ち合いをすることになっている。
そこで先生からの評価を得て、得点にするといった形式。
「魔術同士の撃ち合いってまだしたことないから、私の開発した魔術がどれだけ通用するのか楽しみ!」
カナリーは期末試験とはいえ実技が一番楽しみにしていたらしい。
他の生徒達は皆それぞれ先生と魔術の撃ち合いを行っている。
レイゼル先生も試験官として居た。
評価は、攻撃、防御、応用性を見るらしい。
カナリーがワクワクしながら待っているとそこに現れたのは
「え、もしかして、あなたが試験官ですか!?」」
謎のエルフが現れた。
学園長が変質魔術で体を変質させて出てきている。
カナリーは前に見たことがあった。
「あの美人な先生、見たことあるか?」
「え、あんな先生見たことない~!綺麗!」
「なんか、立ち振る舞いが可憐だ。」
等の声が上がっている。
「さて、カナリー・アステライトさん、あなたは私が担当します。魔術の撃ち合いを始めましょうか。」
学園長もウキウキしていた。興味を持つカナリーの魔術を見ることが出来るのだから。
「楽しくなってきましたね!では、行きますよ!先生!」
2人とも構えた。
輝鳥歴の成り立ちについて、
王様というか、女王様は何故いなくなったのか。
輝鳥様とは。
謎は深まります。
そして、輝鳥歴にはちゃんと前があります。
それは今後また出てきます。
ついに、学園長とカナリーがぶつかりますね。
まあ試験なので、そんな豪快な戦いにはなりませんし
お互いに全力ではないですね。
ちなみに、リベラさんも成績はトップです。
本来補講を受けるほどではないですが、特別扱いも出来ないため、
夏の休みにリーナと一緒に補講を受けることになっています。
第70話、読んでいただきありがとうございます。