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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【花畑編:モニカ章】
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コード67「さよならじゃない」

第67話

前回、別世界線から分岐点まで戻って来たところから

マナは輝鳥歴24年に心魂状態で帰還した。

忘れずに、魔石核を輝鳥歴24年のこの都市に置いた。

そのことを確認した。


これで、未来が元に、戦争も無くなり、みんな、マスターも救える。



「うん、本当によくやってくれた。元に戻ったよ。君のマスターも未来では無事だ。私の権能で確認した。世界線が元に戻ったよ。」

時環の大魔女も付いてきてくれた。

本当に良かった。



「あら…あなたは…。」


以前にも似たようなことを言われた記録があった。

口調や声色は違ったが、それはマナがこの時代に初めて来たとき、

聞いた第一声のものと似ていた。


「モニカ様。」


モニカを救う手立てを考えていたところで起きた

未来への転移。


モニカは困惑していた。


マナの姿が、カナリーのような姿の心魂体だったから。

モニカにとっては初めて見る姿。

カナリーと違うところと言えば、目の中にオレンジ色のひし形の瞳孔があるくらいだ。



「あなた…姿は違うけど、ううん、絶対。マナちゃん…?よね?」


マナが消えたその数日後に戻ってこれていた。


「はい。確かに姿は少し違いますが、マナです。モニカ様を救いに戻ってまいりました。」


モニカはマナへ抱き着いていた。


「マナちゃん!会いたかったよ~~…!急に消えたから…この先ずっとひとりぼっちかと思って。」

モニカは声を上げて泣いていた。



「それで…私を救いにって具体的にどうやって…?」


マナはモニカの体に手をかざす。モニカの胸の前に魔術陣が施された。


「これは?魔術陣…?この術式は…。起動式…?これは…かなり複雑なもの?」


「それは、起動式魔術を行使できる魔術です。ずっと考えていたんです。モニカ様がモリア様に見つけてもらえるにはどうすればいいのかを。」


起動式魔術。

それはある特定の条件付けをし、その条件がクリアされた時

魔術が発動するという、マナが独自に組み上げた

新しいタイプの魔術だった。


「なるほど…。特定の条件を付けることで、本来の魔術よりも更に高度な魔術を行使できると…。条件はなんでもいいのかな。いや、良くはないだろうね。きっとそれなりの条件があるはず…。」

モニカは早口になっていた。


「条件のクリアが簡単なものなら効力の弱い魔術を設置することも可能です。ですが、高度な魔術を設置するとなると、高度な要求をされることになります。バランスが大事になりますね。」


この術式は、マナが未来に転移した時から、ずっと考えていた魔術式であり、

言わば、モニカを救うために、新たに構築した魔術だった。


「それで、それを使ってどうやって私を救ってくれるの?期待、してもいいんだよね?」

モニカは不安そうだった。本当にそれが可能なのかどうか。


「はい。でもこれは、私、モニカ様、モリア様のそれぞれの力が必要です。私達が上手くできても、花の研究をしているモリア様次第で大きく変わります。モニカ様はあの人に賭けられますか?」

モニカの親友であり、師匠であり、モニカの大切な人だ。


「それって…もしかして…。なるほど、賭けれるよ。私も見てみたいから。」


流れとしては、

ーーー

1.マナが条件を設定し、起動式魔術を設置

2.マナが未来に帰る。

3.モリアが花の研究を成功させる。

4.マナが未来でもう一度、起動式魔術のクリアした条件をエネルギーに変え、

設置された特別な魔術をその場で発動。

5.モニカに刻んだ魔術により奇跡を起こす。

ーーー

すべての条件がクリアされる事で初めて発動が可能となる。

一つがダメになれば、この魔術は破綻してしまう。

だが、マナとモニカはこれに賭けた。


そうして、マナはモリアの研究室の一角に、

設置起動式複合魔術<スペル・……>を設置した。


「ん~~!これは気長に待たないといけないかもしれないね。でも、これで待てる。ずっと待てるよ。ありがとね。マナちゃん。」

モニカの顔は待ち人の顔になっていたが、どこか清々しそうな表情だった。


「そうだ。マナちゃんはあれから帰れたの?自分の世界?に。」

マナはモニカに嘘をついていたのだ。

未来が変わるかもしれないなどと言う小さな嘘を。


「モニカ様、言わなくてはいけないことがあります。実は…。」

そこまで言うと、モニカに先に言われてしまう。


「ふふ、なんとなく気が付いていたよ。”魔術”の事、知ってたもん。それにそんな魔術式見たことが無かったから。マナちゃんって未来人。でしょ?」

天才的な頭脳を持っていると言われるモニカはマナの2度目の訪来、そして話の流れで薄々気が付いていた。


「嘘をついてしまったこと、大変申し訳ございません。未来が変わるかもしれないと思い、付いた嘘でした。」

マナは一度未来を大きく変えてしまって居る。

それと比べれば、小さな、些細な事だった。


「ちゃんと伝えてくれたことが嬉しい。」

モニカは屈託のない笑顔でそう答えた。



マナの体が輝きだした。

「これは…。」


時環の大魔女が観察する。

「この光は…巻き戻す力…?いや似てるけど違う。これは…"意図的"に君を別の時間へ移動させていたものだ。これは、光が、君を過去に送ったり、未来に送ったりしていたんだ。一体何が。調べてみないと分からないな。」

しかし、あまり詳しくは分からなかったらしい。


「あぁ、伝え忘れた。マナ、君は帰れるよ。この光から情報はあまり取れなかったけど、座標は見えた。ちゃんと、輝鳥歴224年に帰れるよ。」


そこまで言うと、モニカはほんの少しだけ寂しそうな表情をした。


「これで…お別れかな。輝鳥歴224年って200年後だね。だいぶ先だな~。でも…うん。私はずっと待てる。マナちゃんを信じれる。そうなれば、私復活できるんだっけ?」


「モニカ様は人間に復活するわけではありませんよ。結果は私にも分かりません。奇跡を起こす魔術と言うだけです。」


モニカは少しだけ勘違いをしていた。


「そっか。もし、希望を抱くなら、次は人間じゃなくて、精霊とかになりたいな~。お花の精霊とかね。なれたらいいな…。だからマナちゃん。絶対、会いに来てね。モリアの、私たちの研究室に!」


「はい。必ず。会いに行きます。未来で。」


マナの体が光に包まれる。


「さよならじゃない!またね!絶対!会いに来てね!待ってるから!マナちゃん!」



マナは時空を超えていく。

光の中で、一羽の輝く鳥がマナの横を通り過ぎるのを観測した。



そして、マナは輝鳥歴224年へ帰還を果たした。

条件に条件を重ねて、極めて難しい事を果たす魔術。

起動式魔術。マナの編み出した、戦闘向きではない魔術ですね。

天秤を想像してください。モニカが周りから見えるようになる為の魔術。

それに釣り合うように、条件を重ねていき、釣り合えば初めて発動が可能。

しかし、条件を設定することも、それをクリアすることも難しいものとなっています。


設置起動式複合魔術<スペル・……>

名前を隠したのは意図的です。次の話で必ず分かります。

「約束の花畑は時空を超えて」もあと少しとなります。


ちなみに、マリナの精魔体(マインズフレーム)ではなかったのには理由があります。

マナは心魂体のみ、未来に転移しました。

マリナの精魔体(マインズフレーム)から抜け出て、未来に飛んだからです。

帰ってくる時にマリナの精魔体(マインズフレーム)の座標に合わせられなかったから心魂体だったというわけですね。


精魔体(マインズフレーム)の簡単な補足説明。

魔力さえあれば復元が可能となりますので、輝鳥歴24年に置いてきたとしても、輝鳥歴224年に戻れば、時間はかかりますが必ず元に戻ります。ただ、その時代に置いてきた精魔体(マインズフレーム)は漂うことにはなります。

綿の入ってない人形を想像してもらうと分かりやすいですね。


第67話、読んでいただきありがとうございます。

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