コード65「別世界線:巻き戻す手立て」
第65話
前回、真実を聞いてから
「さて、君を帰そう。帰せる装置があるんだ。実際は帰すというより、”巻き戻す”になるけど。だけど、一つ問題がある。」
”どんな問題であろうと、解決してみせましょう。”
「その巻き戻す装置は、インペスト大山脈火口の下に存在してる。そこには、彼女が居る。魔剣ノ魔女だ。君は魔剣ノ魔女から逃げて、その装置を起動し、1分間持ちこたえてもらう。」
”…。”
”不可能では?
そもそも、私は今何も触れることが出来ません。
質量を持っていません。
ただの、心魂体です。”
「それについては問題ない。インペスト大山脈火山に、とあるものが転がってるはずさ。それの中に入れば、君はこの世界に干渉することが出来る。」
”あなたは、装置を起動することは出来ないのですか?”
「一応、理論上は可能だ。でも、色々と問題がある。一つ目、魔剣ノ魔女。彼女は”私達”に届く。痛いのは嫌だ。二つ目、私はその装置に触れることは出来ても、起動することが出来ない。」
”どうしてですか?”
「どうして…か。隠しているつもりはなかったのだけど、改めて自己紹介をしよう。」
彼女は魔女帽を外し、その顔が現れる。
「私は、大魔女の一柱。時間を司る大魔女。時環ノ大魔女さ。不滅の存在。世界を管理する者だよ。」
彼女が顔を晒した時、背中に時計のような光輪の魔術陣が現れた。
それは、ぐるぐると針が回転している。
「全ての時間軸を観測し、記録し、管理していた。だから、この事態にも気づくことが出来たし、君のような存在も認識できる。」
「話が逸れたね。私が装置を起動できない理由。それは、私の権能と関係している。私の権能は、”時を操る権能”。その権能と、巻き戻す装置が反応し、暴走するんだ。」
「そして、現在、大魔女達はその装置の使用権限を”剥奪”され、私の能力も一部ロックがかかっている。」
過去に使用を試みたが、使用が出来なかったという。
”どうしてなんでしょうか。”
「分からない。今の世界の最高管理者、あ~えっと、私たちの上の存在だね。俗にいう、新しい神かな。それが剥奪し、私の能力をロックしたんだと思う。管理者が変わる前は私以外の大魔女は使用できていたからね。」
”管理者…。どうして。”
マナはその存在の事を考える。
「まあ、深い事は考えなくていいよ。それは大魔女と神の問題だから。今はとにかく、君と世界を巻き戻さないと。」
時環ノ大魔女と一緒に空を飛び、インペスト大山脈へと向かう。
”私が入る予定の体というのは、具体的にどのようなものなんでしょう?”
マナは気になっていたことを聞いた。
「それはもうそろそろ先にある。付いてきて。」
時環ノ大魔女に連れられ来たのは、インペスト大山脈火山、火口が良く見える場所だった。
その山の上に、聖白之王と呼ばれた者が横たわっていた。
”これは…死んでるのでしょうか?”
「死んでは…ない。具体的に言えば、活動停止している状態。かな。詳しくは言えない。魔剣ノ魔女にやられたのだろう。負けるとは思わなかったけどね。何か原因があるんだろう。この子はもう動かないはずさ。まあでも、恐らくこの国最強の体だ。今のこの状況でこれ以上の体は存在しないよ。」
”それって、つまり死んでるってことですよね。”
無言の間があった。
マナはドラゴンと相対している時のカナリーのように、聖白之王の中に入った。
すんなりと入れた。見た目は女の子。
毛先が輝く水色で、長く白い髪に、真っ白な目、
そこへオレンジ色のひし形の瞳孔が現れた。
「インストール完了です。」
マナはゆっくりと起き上がった。
「じゃあ、装置の起動よろしくね。行ったら多分分かると思う。良い?起動して、世界が巻き戻るまで、1分は必ずかかる。それまで、魔剣ノ魔女から逃げるんだよ。元はと言えば、君が始めたことだ。ちゃんと戻してもらうよ。」
責任重大。
上手く行くか分からない。
「分かりました。世界を、マスターを救いに。行ってまいります。」
「幸運を祈ってる。行ってらっしゃい。」
火山口へマナは侵入していく。
熱い。
「目標確認。」
溶岩に浮かぶ岩石の上に、魔剣が突き刺さっており、
手を魔剣に置き、目を閉じた魔剣ノ魔女がそこに居た。
世界を元に。
時環ノ大魔女
世界を管理する大魔女の一柱。
魔剣ノ魔女、規格外のバケモノ過ぎますね。
マナは1分間耐えなくてはなりません。
聖白之王の体を借り、世界を元に。
第65話、読んでいただきありがとうございます。




