コード54「夢と賞状」
第54話
前回、魔弾編が終わり、新章から
輝鳥歴224年 6ムーン
雨。
こちらの世界でも梅雨というものがあるらしい。
リーナとの戦いの時でも嵐が来ていた。
魔力を多く含んだ雲と、魔力を多く含んだ風による
乱気魔流。
これにより陸地であろうと、嵐がやってきたり、
雨が続いてしまうのです。
他にも、風竜と呼ばれる、属性持ちワイバーンが
群れとなり、風竜雲となり嵐となる場合もある。
定期的に発生するらしい。
前世の日本でも、定期的に台風が発生していたのを思い出した。
カナリーは学生寮の自室のリビングにて、大窓から見える外を眺めながら
雨がザーザーと鳴り響く音楽に耳を傾けていた。
「マスター、マスターは明日は学園長からの受賞があります。明日も雨の確率100%です。お気をつけてくださいませ。」
そう、私は何故だか学園長に呼び出されていた。
なんでも、イベントスタッフにて、
極悪犯を足止めし、確保に貢献したためだとか。
「表立ってするわけでもないらしいし、別に良いんだけど…何か言われたりするのかな~…。それだけが心配。」
リーナ、リベラは2人で部屋の掃除をしつつ、
マナは外が雨の為、部屋干しをしていた。
ザミエルはあの後、力を失ってしまったらしいけど、
時間をかければその力は戻って来るらしい。
リーナの体へと戻っていた。
次の日
カナリーは朝早く起き、
みんなで朝食を食べたのち、
皆で傘を差しながら学園へと向かっていた。
リーナにはお留守番をしてもらっている。
入学の手続きなど時間がかかるらしかった。
「今日も雨だ。なんかちょっぴり憂鬱~。でも、雨の音は好き。」
プツン。
ザーと雨が降ってる。
ピッ…ピッ…と音が聞こえる。
ここは…?私は…。
えっと…目を開けられない…。
真っ暗だ。
「……めです……それは…!……」
「……をつか……。いや、…しか…。」
声が聞こえる。
でも声が遠い。誰?
病院……?
「脈…低下!心停…!心…蘇…し…す!離れ…!」
揺れてる
真っ暗だ。
「……な…!目を…けて…!」
「…か……!」
「…かな…!」
20■■ ■/■ 23:■5:1■
眩しい……。
はっ!はぁ…はぁ…!
しまった…うとうとしてしまっていた。
何か夢を見ていたような気がする。
なんだったっけ…。
何か大切な…夢だったような…。
午前、講義中。
「~~。…。このようにして輝鳥歴となったわけです。あ、鐘がなりましたね。次回は、輝鳥歴の前の時代の話をします。では。」
「マスター、おはようございます。汗がすごいです。これ、ハンカチです。大丈夫ですか?」
マナが心配してくれている。
カナリーは息を整える。
あれ、涙が。寝起きだからかな。
私は首筋と服の中の汗をハンカチで拭った。
「何か…変な夢を見た気が…。でも思い出せない。」
マナが真剣な眼差しでこちらを見ていた。
「そういえば、今回の授業ってもしかして割と重要だったりした?」
なんだか気まずくなったため、話題を変えた。
「そうですね。聞いていてとても興味深い内容ではありましたね。もし興味がありましたら書庫や図書館エリアに行って文献を読んでみるか、講義の内容を私がマスターにお教えいたしましょうか?」
寝てしまってた私が完全に悪い…。
「ごめん、寝てた私が悪いし、図書館に行ってみるね。ごめんね。また別の時にでも教えてくれたら嬉しい!」
休憩時間、廊下でリベラさんに出会う。
少し汗をかいている様子だった。恐らく、運動系の授業だったのだろう。
「あ!リベラさん!体育の授業ですか?お疲れ様です~!」
「ありがとうです。体を動かすのは気持ちが良いですね。」
リベラさんは少しずつ学園に慣れていった。
初めの方では、
「あ、あれが!教室!あれが!黒板!上下に動くんですね!机も段々になってて見やすくなっている…すごい…。」
「はっ!あれは!学生寮とはまた違う、学園内のフードコート…!たくさんの美味しそうなものが…良い匂い…」
「廊下のランタンの灯が勝手に…!す、すごい…。」
「お手洗いも全体が真っ白で綺麗…!!!鏡も、ピカピカ…!」
「ひぇぇぇ!大きな階段…!!!!横に広くて、まるでお城みたいです…!!!」
等、多くの事に一喜一憂するリベラさんは見ていてとてもかわいかった。
「何よりも、人の行き交いが多くて、賑やかでとっても楽しいです。」
リベラさんが学園に入れて本当に良かった。
「楽しそうなのが見ていて分かってこちらも嬉しい気持ちになりますね。あ、そうだ!もし、どなたかと約束していなければ、お昼どこかで、私達とご一緒しませんか?」
リベラさんをお昼に誘ってみた。
「はい。もちろんです。もとよりそのつもりでしたので。」
こうして一度、リベラさんと別れ、休憩時間が過ぎていった。
3人で、楽しくお昼ご飯を食べた。私とマナは時間があったため、
私一人で学園長室へ向かった。
賞を貰えるとかなんとか。
マナは哀愁を感じさせるような表情で雨が降る外を見つめていた。
「マスター…。」
大きな扉。
1人で開けられるだろうかと不安を感じるほどの大きさだった。
ノックをしようとすると、勝手に開いた。
学園長室の中は庭のようになっており、
小川まで流れている。
鳥や蝶々が舞っていた。
奥を見ると、知らない女性?が立っていた。
「あの、学園長さんに呼ばれていたので、来ました…。学園長さんはどこに?」
しかしその女性は一言も発さず、にこっと軽く笑った後、どこかへ消えてしまった。
暫く待っていると、学園長が奥からやってくる。
「待ってたよ。立ち話もなんだ。座って話そう。」
いかにもお茶会をするような席に座るように促された。
「お腹はすいていない?これは良いお菓子でね。おっと、紅茶を忘れていたよ。」
学園長は手をパンパンと二回叩く。
紅茶が浮いて運ばれてきた。魔術だろうか?
「そうそう、ゆっくりとね。」
学園長はティーポッドとカップに話しかけている。
「では、頂こう。」
「あ、はい、いただきます…!」
クッキーを口に運ぶ。
っ!?お、美味しい…。
私は固まってしまった。
優しくて甘い、それでいてほんの少しほろ苦い。
そのクッキーと紅茶を一緒に頂いた。
紅茶も香りがとても良く、クッキーとよく合っていた。
「あの、とても美味しいです…!」
私はまだ少し緊張していた。
学園長に呼ばれ、おやつを一緒に食べるだなんて思っていなかった。
「そうかそうか!ならもっと食べなさい。たくさん作ったからね。」
え!?これ、学園長が作ったの!?すごい…
学園長さんごめんなさい、ちょっぴり可愛く見えてきました。
一通りの種類を食べ、紅茶で喉を潤す。
「確か、なにか賞があるとか…?」
学園長は忘れていたというように思い出したらしい。
「いや~すまない。私としたことがつい。」
?学園長って、『私』呼びだったっけ?
あ、でも演説の時も私呼びだった気がする。
「はい、これ。」
学園長は座ったまま、賞状を手渡ししてきた。
これって割と軽いものだったんだ。
私はそう思ったが、内容を見ると紅茶を吹き出しそうになった。
実際に吹き出してはいないけど。
内容。
ーーー
拝啓
貴殿の卓越した能力を発揮し、悪意ある勢力に果敢に挑んだこと、敬意を表します。
貴殿の勇気と正義感溢れる行動により、多くの善意ある人々が守られました。
その多大なる功績に対し、この度特別な賞状をお贈りいたします。
なにはともあれ、活躍おめでとう。
あと、学園長権限で仮魔術士→魔術士Dランクに上げておいたので、
魔術大教会で確認すると良い。
今後も、貴殿の活躍を楽しみにしている。
敬具
表彰者:カナリー・アステライト
発行者:ソロモリア・オーディウス
ーーー
なんだか、途中面倒になってる…?
いや待って、私、仮魔術士から魔術士Dランクになったの!?
学園長権限で!?
「う、受け取れません!え?え?え!?」
混乱する。頭が真っ白になった。
「はっはっはっは!受け取ると良いさ。君はそれほどの活躍をしたのだから。前に叱ったことがあったね。それとは別に考えて欲しい。君はすごい子だ。」
本当に貰っていいのかな…。てか、学園長権限って…。
「賞状はとても嬉しいです…でも、あの、仮魔術士から魔術士Dランクというのは、取り下げてください!これは受け取れません!ちゃんと、正規な方法で上がりたいのです!」
緊張した。でも、言えた。
こんなズルみたいな形で上がっても嬉しくない。
学園長は笑っていた。
「あっはっはっは!面白い!気に入った!では、それは取り下げておこう!その代わり、クッキーをお土産に持っていくと良いさ。」
穏便に済みそうで良かった。
だが、扉が急に開かれる。
誰かが入ってきた。
輝鳥歴224年 6ムーン 通称6月
カナリーが今いる世界の年号がついに出ました。
これも講義で出したかったので
遅くなってしまいました。
ただ、カナリーは寝てしまっていた為、
その歴史を聞くことが出来ませんでしたね。
カナリーの見た夢
忘れないでください.
第54話、読んでいただきありがとうございます。




