コード45「影は照らされ岩は動く」
第45話
前回、それぞれが動き出し、カガヤとリベラの戦闘が始まったところから
カガヤの攻撃は激化するが、
リベラは優雅にカガヤの攻撃を躱していく。
それどころか、別の場所でも爆発が起こっていたことに
気にかけていた。
(他の皆さんの安否が心配です。この人は口ぶりからして恐らく部下…親玉を聞き出せるでしょうか。)
「おらぁ!逃げんな!肉を引き裂いてやる!」
カガヤは完全に頭に血が上っていた。
「はぁ…頭に血が上り過ぎです。そんな適当に攻撃して当たるわけがないです。」
「あ?口答えするんじゃねぇよ!”クソガキ”!」
リベラは一瞬動きを止めた。その瞬間、カガヤの爪がリベラの顔面に直撃した。
かと思われたが、リベラの魔力爪がカガヤの影オオカミの爪を止めていた。
「クソガキじゃないです。そろそろ黙ってろ。です。」
リベラの超高速魔力爪引き裂き攻撃で影の毛皮を一瞬で
引き裂いた。カガヤ本体に街灯の光が照らされる。
リベラがカガヤ本体の顔面に回し蹴りを食らわせていた。
カガヤは壁にめり込み、白目をむいていた。
「ん…制圧完了…です。ところで、さっきのバーガー…あ。完全にのびちゃったです。親玉の事も聞けずですね。やっちゃったです。」
リベラはイベント会場が騒がしくなっていることに気をかけ、
カガヤをロープで縛り、他の皆のところへ走り出していた
リルフ視点。
「あんた…もしかして…兄貴か…?ここで何してんだよ。」
展覧会会場の地下でビルが男に向かってそう問いかけた。
男は、ピエール・カリュエールだった。
「弟よ…そうか…ここで警備の仕事をしていたのか。僕と一緒に来ないか?」
癖の強かったピエールはビルの前では至って普通の兄貴だった。
カリュエール家は裕福な家だった。
だが、彼らの母親も魔力漏核にかかっており
お金をどれだけつぎ込んでも次第に体力がなくなり亡くなった。
魔術騎士だった彼らの父親は酒に溺れてしまう。
素行が悪くなっていき、次第には魔術騎士を解雇されてしまう。
ピエールは教師に、ビルはフリーターながらも仕事を探しながら
2人で頑張った。
「それ、なんだよ。てか、ここは立ち入り禁止だ。外に出てから話そう。」
リルフは人見知りを発動しながら2人の話を聞いていた。
「いや、この任務を遂行しなければならない。分かってくれ。これが終わったら大金が入るんだ。ビルにも分けてやる。大人しくしていてくれ。」
そういうと、岩だったものが集まり、岩石人形が動き出した。
上の階層は魔道具展覧会、博物館のようになっているエリアだ。
地面を突き抜け、岩石人形が顔を出した。
「何意味わかんないこと言ってんだよ!兄貴!それ止めろよ!」
ピエールは岩石人形の肩に乗り、魔道具展覧会会場から出ようとしている。
「この岩石人形をある男の元に持って行かなきゃならない。また後でなビル。」
ピエールが岩石人形を歩かせようとし、天井と建物が崩壊しそうになる。
「自然樹蔦魔術<スペル・樹枝拘束>!」
リルフが岩石人形と天井を枝と蔦で崩壊を止めた。
「待ってください!建物を破壊し、人々を恐怖に陥れるのは僕が許しません!」
ピエールと岩石人形はリルフにより止められるが、
岩石人形の力が強く、樹木の蔦や枝が振りほどかれてしまう。
大きな展示スペースまで来る。
岩石人形の全長は約5m。
現在いる天井は約10m。ここでは崩落の危険はないが、
外に出させるわけにはいかない。
ここで止めるしかない。
「小癪な!どけ少年!別に我らは大量殺人をしたいわけではないのだ!」
岩石人形はリルフにより枝や蔦で何度も止めようとするが、
そのたびに振りほどかれてしまう。
そこへ、薄群青色の髪をした魔女帽を被った少女がやってくる。
「ど、どうしたですか!?岩石人形!?危険です!建物が崩壊するです!」
リベラが外からたくさんのお客さんが避難してきたのを確認し、
中で何が起こっているのかをお客さんから聞き、突入してきたのだ。
「出し惜しみしてられないです…!リルフさん、一緒に!」
リベラはリルフに合図を送る。
「はい!自然樹育魔術<スペル・植樹成長>!」
「魔力武器!発動です!来て!魔力鎖!」
たくさんの枝が岩石人形の足元から生え、その体を絡めとり
その周りをリベラが魔力の鎖で動きを止めた。
「そんな…僕の最高傑作が…!いや…ここは魔道具展覧会…!なにか!あ、あれは!」
ピエールが岩石人形から降り、走り出す。
「逃がさないです…!」
リベラがピエールへダッシュし、ピエールを地面に倒し左手を後ろへ回し拘束する。
だが、
「ふっふっふ…遅い…!もう手に取った!これを!」
ピエールが岩石人形へ何かを投げた。
岩石人形に魔石が投げられた。
しかし、ただの魔石ではなく、希少価値のある
魔道具展覧会に展示されていた水性が含まれた魔石だった。
その魔石が岩石人形に当たった瞬間、魔石が取り込まれた。
岩石人形が姿を変えていく。
翼が生え、体が変わり、岩のような腕が人のような筋肉へと変貌していく。
「実験段階では…完成出来なかったが…やはり、普通の魔石ではダメだった…!水性魔石じゃないと反応しなかったのか!」
ピエールが拘束されながらも、興奮気味に何かを言っていた。
「完成だ!これぞ、最高傑作中の最高傑作!魔石彫刻獣だぁぁぁ!」
岩石人形は魔石彫刻獣へと変貌した。
カリュエール家のピエールとビルの母が魔力漏核により亡くなってからは
地盤が壊れたかのように、それぞれ壊れていった。
ピエールは自身を守るため、あのような性格を演じていた。
本当は家族思いの常識人。
岩石人形 全長5m。岩のようなもので形成されている体。
分類としては、従魔。野生のものも存在している。
魔石彫刻獣はただの魔石では作り出すことは不可能。
属性魔石を取り込ませることで、その姿を変える。
雨の匂いが強くなり、黒い雲が近づく。
第45話、読んでいただきありがとうございます。




